やんふう、 子供の時不幸だった。
悲しみだけの世界で生きていた。 毎日泣いていた。 みじめだった。
当時大ファンだったアグネス チャンの歌
「素敵なことばかりないけど、みんなとおんなじくらいには幸せ、なりたいのです。」
幼いやんふうの気持ち全てを凝縮している歌詞だ。
そう、せめてみんなとおんなじくらいには…
あの頃——— 歌手の歌う歌詞、女優のセリフが全部、歌う人、演じる人の真実の気持ちと思っていた。
(誰か教えてやってよお〜)
人気者で不幸のカケラも無さそうな可愛いアグネスちゃん(このちゃんはひらがな)が幸せに
なりたいなんて!! 驚きで世の中の複雑さをどうしようもなく、整理しようにも出来なく、
人の、 幸、不幸、とは一体どういうことなの、と やんふうの小さな脳みそは混乱した。
あの頃——— 世界一の不幸者はやんふうだと思っていた。
やんふうだけが不幸と思っていた。
それが、アグネスちゃんも不幸だったんだ!!
ああこれで生きていける。 何故かそう思った瞬間だった。