八咫烏 蒼天の旅人

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人の心は儚きもの・・・『ある場所の物語』

2013年11月13日 07時17分24秒 | 日記

 ある英語のうたを訳してみました。


 『ある場所の物語』


その「ある場所」は変わりゆく。吹く風のように、流れる雲のように。
その場所は、人の心と同じように、その変化が止まることはないであろう。

その「ある場所」は、遥か彼方にありて、そしてまた、離れていくのみであろう。
我々人の手がそこに届くことはおそらくない、ただ我々は思いを馳せるのみだ。

その「ある場所」は遠く高き場所にありて、そして人は誰も辿り着くことはできないだろう。
そして時間(とき)の移り変わりのなかで、人はその場所を忘れていってしまうだろう。

それは我々、誰もが望んだことではないだろう。しかし、悲観することではない。
その「ある場所」はまだそこに在り続ける。あの彼方に、遠き遥か彼方に。


微風はその「ある場所」を駆け抜けていく。永遠に絶え間なく、そのあらゆるところで。

水面に浮かぶ小舟がたてるさざ波の如く、微風は吹き抜けていく。

その「ある場所」は我々人に何ももたらさず、おそらく何も見えることはないだろう。
そこでは何かを求めたとしても、あたかも砂を掴むかのようにむなしくこぼれ落ちるだろう。

その「ある場所」は深きところにありて、そこに照らす陽光は弱く儚い。
しかし人は気づくだろう。それでも「ある場所」には、小さき小屋が在ることに。

誰人々も気にとめることがなくても、それは人の何ものにも染まらず在り続けるだろう。
それだからその小屋はまだそこに在り続ける。たった一つだけの、孤独にも。

微風は止まることはなく、そして風は空へと舞い上がっていく。
陽光を浴びた樹の緑のように、そこでは微風は生まれ変わり成長していく。

その小屋には新しき住人がいた。だがそれは、我々人と他の何ものとも違っている。
それらはまるで幼き子が作った玩具のようで、しかし、しっかりとした心を持っていた。

そのものは無口で静かな、儚い偶像であった。
いずれ、それは我々も知るであろう。彼は本当は誰にも止められないほどのおしゃべりであることを。

もうすぐ微風は雪雲を纏う。辺りは雪の白に染めらていくだろう。
夏草は姿を消し、陽光は陰り、その影は薄くなっていく。


その場所は深雪に埋もれていく。砂の城が崩れていくように。
その影の先のように、その儚き姿は失われていくだろう。

その小屋は深雪に埋もれていってしまった。大いなる時間(とき)流れの中に沈み込んでいく。
『染まらないもの』は染められてしまった。あとは対峙できる何かを待つだけ。

たとえ、その全てが癒されたとしても、そこには須らく何も戻らない。
それでもその「ある場所」はただそこに在り続ける。あの彼方に、遠き遥か彼方に。


その「ある場所」は変わりゆく。吹く風のように、流れる雲のように。
そこは、人の心と同じように、その変化が止まることはないだろう。

その「ある場所」は遠く高き場所にありて、そして誰も辿り着くことはできない。
そこはまだそこに在り続ける。あの彼方に、遠き遥か彼方に。

 


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