京都の初夏を彩る祇園祭りは毎年七月一日の吉符入りから三十一日までの一カ月間とり行われる。
その期間の中でも十三日~十六日に行なわれる宵山(よいやま)、「コンチキチン」の祇園囃子が奏でられる山鉾巡行(やまほこじゅんこう)がこの祭のハイライトで、地元はもちろん、全国各地からの何十万人という観光客で京都全体がにぎわう。
関西に住んで43年になるが祇園祭りの山鉾巡行は今まで生で見たことは無い。
テレビの中継では何度か見たことがあるがこのくそ暑いときに人込みの中に好んで行く気になれなくまた、普通は平日なので会社を休んでまでなかなか行くわけにはいかない。
今年は死ぬまでに一度は見ておかねばハジと思い雨の中、行って見る事にした。
雨なので車は京都に近い中書島の伏見港公園に置いて電車に乗り換えて行った。
四条河原町が鉾の辻回しのハイライトの場所である。交差点の植木の中に陣取っていたが警察官にやんわりととがめられシブシブ場所を移動した。しかし雨がやまないので、どこに移動しても前の方の傘が邪魔になり見えにくい。
時間は9時だがこの交差点には45分後になる予定なので濡れながら見るにはつらいものがある。
外人のお嬢さんは濡れることにまったく抵抗がないようで晴れ晴れとした顔には驚いた。
40分にコンチキチンの音がしてきた。最初に現れたのは豪華に飾り付けられた長刀鉾の登場だ。
豪華な装飾は雨よけのビニールの下にかすんで豪華さが半減である。辻回しが始まると鉾が向きを変えその度に観衆から拍手やどよめきが沸きあがった。
車輪の下に青竹を敷いて回すのであるがその様子は残念ながら前の観衆で見ることが出来なかった。
この動く美術館は32基もあり3キロの行程で、すべてが終わるのは4時間近くかかる。 最初の長刀鉾までは我慢をして見たがぎゅうぎゅう詰めなのでこれはたまらんと思い場所を三条側に移動することにした。移動してみて三条側は楽々で拍子抜けしてしまった。
しばらく鉾と山を見たが喉に乾きを覚え目の前にあるアサヒのビヤホールへ飛び込んだ。ジョッキの大1、250円を頼み窓越しに見物だ。大はなかなか飲みごたえがある。
ビヤホールで見たらこんな感じである。
飲み終えたら巡行の最終地点に歩いて行ってみた。新町通りは道幅が狭く鉾と電話線が接触して見ていてヒヤヒヤした。
行列にいる稚児は5時間も拘束されて今にも泣きそうな顔をしている。ご苦労さんの声をかけてやりたい。よくよく見れば外人さんも参加していた。
その後、腹が空いたので三男が結婚する前に相手のご両親と一緒に食
事した錦市場のそばにある「ト一」という魚専門の店に3年ぶりに行った。
注文はビールとヤリイカのさしみ、アナゴのテンプラ、白エビの掻き揚げだ。
新鮮な具で揚げたてなので涙が出るくらい美味かった。
今年の人出は雨の影響で昨年の半分の13万人とのことであった。
巡行が終われば小さい山はあっという間に解体されていた。
【祇園祭の概要】
日本三大祭りのひとつ「祇園祭」は、今からおよそ1100年前の貞観11年のこと、都に疫病が流行するのは牛頭天王のたたりだと、天王を祀り祈願したことに始まりました。悪疫を封じ込む御霊会として発展した祇園祭は、町衆の勢力と信仰が強まる中で、より豪華絢爛な祭りとなり、今日の形態をとるようになりました。
最大のもので高さ25mにもなる「鉾(ほこ)」や「山」は各々を担当する町がそれぞれ大切に保管・整備をしており、それは祇園祭は単なる伝統やしきたりだけではなく、京都町衆の市民精神の華であるという部分で語られることが多くあります