空を見上げて

事務所猫チャコと家猫ごん太 2ニャンと楽しい日々

ゆれる

2006-10-24 14:42:46 | 映画
家業を継いでガソリンスタンドを営む兄、早川稔。
田舎を出て東京でカメラマンとして成功している弟、早川猛。
幼馴染の智恵子を連れて出かけた渓谷で、智恵子が吊り橋から転落死してしまう。
別件で取り調べを受けていた稔の口から、自供ともとれる告白。
果たして本当に稔が美智子を突き落としたのか、それとも事故か・・・。


兄のひとつひとつの言動のたびに心が揺れ動く弟を、オダギリジョーが見事に演じている。
そして、気の弱いうだつの上がらない兄が豹変するさまを、香川照之が怪演。
見ごたえのある映画だった。

罪悪感からか、最初は必死になって稔を救おうとする猛。
けれど面接に行った刑務所の中の稔は、いつもかばってくれていた優しい兄ではなかった。
戸惑う猛。
本音をぶつける稔。
二人の兄弟の心が、少しづつ離れてゆく。

その瞬間を猛は見ていた。
しかし、真実を見ているはずの猛の記憶が、感情が揺れ動く中で曖昧になってゆく。
猜疑心、嫌悪感、嫉妬・・・マイナス感情は真実を見えなくさせてしまう。
いや、あばたもえくぼの諺もあるように、プラス感情もそう(悪い事ではないが)。
人間の感情は真実を歪めるものなのだ。

それにしても、裁判での猛の証言に対して稔が微笑んだのは、何故なんだろう・・・。
その顔は、いつもの優しい兄の顔になっていた。

この映画を見終わった後も、香川照之の顔が頭から離れなかった。
もう一度見たい映画だ。
コメント
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