「おじさん、これは・・・」
小さいけれど・・・
「それ、サワラ」
「そうだよね!」
知っているような、
知らないような、
と思ったのは顔を知らないんだ。
ほとんど切り身でしか見ない。
小ぶりのサワラ一匹は、
二枚おろしの二つ切り。
半分味噌漬けにしよう。
ハモ、
の湯引きはよく知っている。
けれどやっぱり顔は知らなかった。
「よし」
おじさん、包丁を二度三度変える。
また変える。
ザッザッザッ
ザッザッザッ
長い、
骨切りの音。
アジがあるとたいてい買う。
たぶんいちばん食べている魚。
だけどこんな形でこんな尻尾で、
こんなひれで、
顔で。
今、こうして描くまで
知らなかった気がする。
アジか、それともイボダイか。
どちらもあると悩む。
それくらい親しんでいるイボダイ。
え、知りませんか?
こんな魚です。
エボダイ!
ウボゼ!
シズ!
ボウゼ!
などなど名前がいっぱいある魚。