黄昏時の瀬田川東岸をそぞろ歩いていると
西の空に伊丹空港へ向かう飛行機の白い軌跡が
次々いくつも続いている。
混んでるなあ・・・
瀬田の唐橋の橋桁の間をこれまたスイスイと
練習を終えたボートが何艘も帰路に向かっている。
ふと見ると、先ほどから漕ぐのをやめた1艘が
茫然と身動きもせずに波に揺られている。
その姿はまるで何かにはぐれてしまったように
孤独に包まれているようだった。
川面に光の帯がキラキラと
こちらへ伸びて来て彼をすっぽりと包んだ。
どれくらいそうしていたのか
やがて彼はギヤを入れなおしたかのように
その光の帯から抜け出して行った。
がんばれ・・・心の中で小さく手をたたいて
彼の悩める「青春の時」を見送った日のこと・・・