京都右京区嵯峨鳥居にある祇王寺は
新緑の美しい季節に入ると真っ先に思い浮かぶお寺です。
嵐山から嵯峨野を抜けそぞろ歩くと
二尊院や落柿舎などのほど遠くない所にある
竹林と楓に包まれた慎ましやかな草庵です。
真言宗大覚寺派の尼寺なんですね。
平安時代、平清盛が権勢をふるっていた頃
白拍子の祇王はその舞を愛でられ寵愛を一心に受けていました。
そんな時、仏御前という白拍子が
自分の舞を見てほしいと申し出るのですが
清盛は、舞は祇王に勝るものなどいないとはねつけて
祇王のとりなしでやっと望みが叶います。
仏御前の舞をみた清盛は途端に心奪われ
だんだんと祇王から遠ざかり
扱いも仏御前の風下に置くようになったのですね。
世をはかなんだ祇王は母や妹と出家し入寺します。
そこが祇王寺でした。
のちに、心ならずも恋敵になってしまった仏御前は
自分は舞を見てほしかっただけなのだと
こちらも出家し後を追うように祇王寺に入寺したのです。
綺麗に手入れされた苔も美しいここは
平安の昔にそんな女人たちが身を寄せていたのだと
いにしえへと思いを馳せることですね。
見上げると幾重にも重なり合う楓の葉が
何色ものみどりのグラデーションとなって
シャワーのように降り注いでくるようです。
五月っていいな~ ・・・
緑っていいな~ ・・・
生きてるっていいなぁ~ ・・・
庭の竹林をよぎる風が
サワサワと枝葉を揺らして心地よいですね。
時が渡っていくのが感じられるようです。
雑踏から離れて
ここは静かに時を過ごしたい人には
とても良いところですね。
祇王寺も
こんな時期なので当分拝観は自粛のようですね。
過去写真からの掲載です。