近年稀に見るドラマティックな大会だった第106回全国高校野球選手権が、京都国際の優勝で幕を閉じた。
2024年シーズンが終わったので悲願校番付を更新した。
盤石の2横綱の背中が見えてきたのが帝京三。同じ山梨の富士学苑よりも近年特に成績が安定しているので、来季にはポイントで追いつく可能性も出てきた。
本来は早く卒業してほしいが、最近の山梨は山梨学院・東海大甲府の絶対的二強に、日本航空が完全復活を果たし、三強状態となっているため、ここを抜け出すのは相当厳しくなってきた。
2020年代の活躍が目覚ましく、飛び級で幕内入りしたのが昌平と帝京長岡。この二校の方が、各県の情勢を見る限りまだ卒業の可能性は感じられる。
綾羽は20年近くかけてジワジワと番付を上げて大関昇進。
今年の高校野球は明らかに前年から野球が変わった。個人的には徐々に勢力図も変わっていくと思う。1・2年の間は常連私学vs.公立の強豪という図式となり、結果的には選手層の厚いチームが上位を占めるのではないか。
ただ今年の野球を見て高校を選ぶ世代が上級生となる2~3年後になると混戦時代に入ると予想する。
こういう観点から行くと、番付からの卒業が近そうなのは仙台商や津久見あたりか。少し先になると帝京三や生光学園にもチャンスが出てきそう。
神宮大会も終わり、来春のセンバツの一般枠の選考材料が出揃った。
北海道・中国・四国・九州はおそらく無風、実績順で決まるのではないか。
他の地区は逆に非常に難しそう。
まず東北は3枠。決勝に進んだのは青森の2校。同県だが3枠に増えたことでこの2校は確定。
難しいのは3校目。ベスト4の一関学院・学法石川のどちらかで間違えないだろうが、全くの5分と言ってもよいと思う。
一関学院は県1位、東北大会で負けた相手が優勝校という部分で、学法石川は東北大会3勝、準決勝は1点差惜敗という部分で先行要素として相手より上回る。
2000年以降甲子園出場の無い学法石川の頑張りを推すという意味でやや有利な気がするが…。
次に関東・東京。計6枠。関東ベスト4と東京優勝の関東一は当確と言ってよさそう。
最後にどちらかの地区から1校が迷える。(そもそもこの仕組みにする意味がよくわからないが…)
関東ベスト8の4校と東京準優勝の創価の中からだと思うが、敢えてつければ桐光学園→中央学院→創価の順位か。
桐光学園はMLB挑戦のOB松井投手の母校という話題性、全国屈指のレベルである神奈川0校になってしまう寂しさを避けたいのではという思いから優位としたが、個人的には敗者復活から勝ち上がってきた中央学院を評価してほしいという思いが強い。創価を3番手にしたのは過去2年東京が2校出ているという単純なものだが、東京決勝のスコアも接戦の域だし、大きな差をつけるものではない。また、帝京三の目も僅かながらあると思っていて、準々決勝で負けた相手の作新学院が圧倒的な力で関東を制覇し、神宮大会でも準優勝を成し遂げたので、桐光学園・中央学院とも能力的には遜色ないのではないだろうか。ただ同県の山梨学院が確定なので、本当に極小の可能性しかないと思う。
東海は3枠。決勝進出の愛知2校は確定、3校目も優勝した豊川に接戦の末敗れた宇治山田商がかなり高確率で選出されると思うが、2年前の謎選考のお詫びもかねて静岡県勢にという可能性も多少考えられる。
北信越は通常2枠の所、星稜が神宮枠を獲ってきたが、これにより全地区中最も難航しそうだ。準決勝で星稜に5点差で敗れたが県大会で敦賀気比に勝って福井1位の北陸、県大会で星稜に敗れ、福井3位の敦賀気比にも敗れたが接戦だった日本航空石川の比較となるが、星稜の優勝は石川県のレベルの高さを示したとも取れるし、近年の甲子園での成績を見ると日本航空石川に分があると見る。ただ2校が互角すぎることで、ミラクル地域性の発動の可能性もあると見ていて、準々決勝で敦賀気比に6点差ではあるが延長まで粘った帝京長岡も押さえておきたい。
最後に近畿は6枠。ベスト4とベスト8ながら優勝した大阪桐蔭に接戦で敗れた地元の報徳学園までは確定だろう。残り1校は普通に考えれば成績と地域性から近江が妥当だが、絶対視はできないと思う。地元の公立・須磨翔風にしてもレベルの高さは織り込み済みの履正社にしても簡単に落とせる成績ではないし、和歌山二強を立て続けに破った田辺も一般枠でも可能性はある。
予選から波乱が続き、大阪桐蔭・智弁和歌山・明徳義塾の「高校野球のプロ」ともいえる超常連のいない大会が、慶應の優勝で幕を閉じた。
悲願校番付を更新した。大きな変動は無かったが、駿台甲府が一気に三役目前までランクアップし、富士学苑・帝京三に続き上位に山梨県勢が三校もいることになった。
出場校数が少なく、元々は公立優位の土壌に三、四十年ほど前から複数の私学勢が強豪化し、その中から二強が抜け出し絶対的強さを持つようになる、という特色がこの状況を生んでいるのかもしれない。
高知や福井も近い状態に思えるが、高知は今年高知中央が明徳義塾・高知の絶対的二強を破り甲子園出場を果たしたし、福井は敦賀気比・福井工大福井が強いが今年の北陸や啓新も数年前に選抜出場している。奈良もやや近いが奈良大付が甲子園に出ているし、他にあと一歩まで来ているチームがあまりない。
今大会の結果を見ると悲願校や無名校のチャンスも今後かなり広がるような気もするし、逆に来春以降はまた初出場校が0になるなど常連校が席巻しそうな気もする。
ただやはりあと一歩で逃し続けているチームは、やはり監督の采配もその要因として大きいと感じる。ある地方大会の決勝・延長タイブレークで、負けたチーム(※)が1点ビハインド、1死満塁で取った作戦はスクイズ。結果失敗。バントが得意なチームではあったようだが、決して打てないチームではなかった。ここはやはり、サヨナラのチャンス、一気に決めに行かないといけない場面だったと思う。負けていて攻撃しているチャレンジャーが守りに入っては勝てない、とそう感じた。
※…平成以降に甲子園出場しているので、ここで定める悲願校ではないが、近年常連校に何度も甲子園行きを阻まれている強豪校。
今夏の甲子園出場校「希望」マップ。
常に応援しているのは何度もあと一歩で出場を逃している「悲願校」。
この中から一校でも多く甲子園出場の切符を手にしてほしいが…。
北北海道の帯広南商は既に敗退してしまった。
最大の候補は秋春県制覇の昌平。
混戦模様の中シード権を得ている松本第一、松阪商にもチャンスはありそう。
東西の悲願校横綱・富士学苑と生光学園は全く注目されていないが組み合わせが厳しい。
https://zh-sae.wixsite.com/s-kattenahomepage/sbh-a1
21世紀枠候補の9校が決定し、来春の選抜出場候補も絞られてきた。
一般枠で有力とされている学校を見ると、選ばれれば春夏通じて初出場となるのは彦根総合くらいで、出場校はほとんどが常連校で占められそうだ。埼玉の昌平と山村学園も逆転選考の希望はあるが、今年の選抜の不可解選考の事もあるので、順当に行くのではないか。今年の春夏の甲子園大会を見ていると、大阪桐蔭や智弁和歌山などの超強豪校は別として、戦力が分散してきて今後は混戦模様になっていくのではという感じがしたが、全く逆の結果になりそうだ。
判官びいきな性格で、少しでも多くの学校に甲子園に出場してほしいので、個人的にはやや盛り上がりに欠けるが、いざ大会が始まれば楽しんで観戦することになるだろう。
選抜選考について、再来年の96回大会から地区別出場枠の抜本的な見直しを図ると高野連が発表しているが、出場枠だけではなく、もっと根本的に選考方法についても考え直してほしいと思う。
今年の選抜選考でも物議を醸したが、問題なのは明確な部分とグレーな部分が混在していることだと思う。センバツは夏とは違い、あくまで招待試合であるから、実力順に選ぶ必要はないと思う。ただ実力で選ぶ部分と、招待の部分をハッキリと分けて選考すればよいと思う。地域間の比較枠と21世紀枠は導入されて大分経つのに未だにしっくり来ない。
参考にしてほしいのはアメリカのカレッジワールドシリーズである。
カレッジワールドシリーズはリーグ戦が終わると64チームのトーナメントが始まるが、その64チームは31の優勝チームと33推薦チームで構成されているそうだ。
これを参考にセンバツであれば、例えば10地区の優勝・準優勝校20校と推薦枠12校の32校にする。神宮枠はあった方が神宮大会の意義が高まるので、推薦枠を削るか、北海道と東京を優勝校のみにして神宮大会優勝・準優勝の地区を1枠増として神宮枠とするのも良いと思う。推薦校は、どういう理由で選んでもよいことにすればよい。例えば数年前の大船渡高校のように超高校級の投手がいるとか、何年もあと一歩の所で甲子園出場を逃しているとか、勿論文武両道とか。秋季大会の成績の最低基準は設けた方が良いかもしれない。
一例を挙げたが、どういう形でもよいので、大幅な改革を期待したい。