尚雲堂のはしら暦

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りゅうのひげ

2009-04-28 13:58:00 | Weblog
ユリ科(APG植物分類体系ではスズラン科)の多年草。雑木林等に自生。
高さ7~15センチの湾曲した花茎に、数個の薄桃色の花が総状につく。花柄はやや曲がり、花は下を向く。
薄い果皮は破裂して種子は露出したまま成熟し、コバルトブルーに色付く。
長さ10~30センチ、巾3ミリの細長い葉は、束になって根元から生える。
和名は葉の形に由来(しかし龍のひげの実物を見た者がいるのだろうか?)。
根はところどころ太くなり紡錘形をとる。

中国名は麦門冬(ばくもんどう)でこの根を薬剤とする。この場合は「~麦冬」と産地や形状を頭につけて分類される。
性は甘微苦で寒。これには諸説あるので以下のとおり。
 ①『神農本草経』:味甘で平
 ②『名医別録』:微寒で無毒
 ③『医学啓源』:気寒で味微苦
 ④『医林纂要』:甘淡微苦で微寒
帰経は肺・胃・心経に入る。これも諸説あるので以下のとおり。
 ①『湯液本草』:手太陰経に入る。
 ②『本草蒙筌』:手太陰少陰に入る。
 ③『本草経疏』:足陽明に入り、兼ねて手少陰太陰に入る。
効能として養陰潤肺・清心除煩・益胃生津。
対症として肺燥干咳・吐血・喀血・肺痿・肺癰・虚労煩熱・消渇・熱病津傷・咽干口燥・便秘。
用法・用量は煎じた湯あるいは丸薬・散剤として1日12.5~25g。
選方は以下のとおり。
 ①燥傷肺胃陰分、或いは熱或いは咳に「沙参麦冬湯」『温病条弁』
 ②吐血、衄血不止に「麦門冬飲子」『聖恵方』
 ③衄血不止に「麦門冬飲」『済生方』
 ④歯縫出血成条に「蘇軾麦門冬」
 ⑤骨蒸肺痿、四肢煩熱、不能食、口干渇に「麦門冬湯」『聖済総録』
 ⑥肺癰涕唾涎沫、吐膿如粥に「麦門冬湯」『聖済総録』
 ⑦火逆上気、咽喉不利に「麦門冬湯」『金匱要略』
 ⑧虚熱上攻、脾肺有熱、咽喉生瘡に「麦門冬丸」『普済方』
 ⑨消渇、喉干不可忍、飲水不止、腹満急脹に「麦門冬湯」『聖済総録』
 ⑩陽明温病、無上焦症、数日大便不通、当下之、若其人陰素虚、不可行承気者に
「増液湯」『温病条弁』
 ⑪瘧傷胃陰、不飢、不飽、不便、潮熱、得食則煩熱愈加、津液不復者に「麦冬麻仁湯」」『温病条弁』
 ⑫燥傷胃陰に「玉竹麦門冬湯」」『温病条弁』
 ⑬熱傷元気、肢体倦怠、気短懶言、口干作渇、汗出不止、脚欹眼黒、津枯液涸に「生脈散」『千金方』


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