鍼灸師「おおしたさん」のブログです

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インド旅行の思い出(6)感染症に罹患した人を多くみて

2023年04月18日 | インドの思い出
インドの滞在では感染症罹患者に多く出会った(インドで会った)。特に印象的だったのはハンセン氏病の患者だ。容姿が特徴的でお恥ずかしながら目を背けることも多々あった。その時はまだ若く、何の病気だかわからなかったが、関心を持つようになって改めてインドでの記憶がよみがえった。そして色々な本を読んでみたりもした(いのちの初夜)。象皮病だと思われる、足が胴体よりも膨れ上がった人が縁側でボードゲームを楽しんでいるとか、そういえばカルカッタで同宿だった人の介抱のために日本人領事館に行ったこともあった。そこの紹介で日本語のできる病院に連れていき、診てもらったらアメーバ赤痢。それで急遽帰国させることとのなり、駆けずり回ったのも懐かしい思い出だ。

感染症のことはしばらく忘れていたが、子どもの予防接種の時期になり、感染症を患った人に出会っていたのを思い出してからは、「ウイルスなめんなよ!」と考えるようになった。だから反ワクチンの言動は、あの爛れた皮膚やあばた、膨れ上がった足を見たらちょっとは考えると思うのだ。いや、この清潔な日本でそんな聞いたこともないような感染症が流行るわけがない、と言うのなら、なんとお気楽で能天気者な人達だと思ってしまう。

しかし以前は自然派を標榜していた事もある。実際無農薬有機野菜を育てる農家に何年も奉公していたし、そこで出会った人に感化されて、ワクチンなんて必要無いと思っていた時期も長くある。しかし実は私のワクチン歴は結構なのだ。青年海外協力隊での事前研修で多分ほぼ全てのワクチンを接種している。記録を見ると黄熱ワクチンも接種していた。そういえばこのワクチン、アフリカにゴリラを見に行った患者さんが「1バイアル5人分のものしかなく、東京検疫所で接種する場合は人数が集まって初めて接種可能となる。だから時間指定をされた」と言っていたのを思い出した(黄熱ワクチン)。あと、HPVワクチンを娘に接種するかどうかも悩んだし、コロナでの諸々もそうなのだが、ワクチンは絶対ダメという人も、全肯定の人もあまり信じなくなった。そのあたりの中庸、偏りすぎない冷静な視点を持つ人だけと付き合うことにしたので、それができない人の排除ができたのはワクチン騒動の恩恵かもしれない。

インドの街中で出会う感染症、狭い路地裏の雑踏の中からふいに現れるハンセン氏病を患う人、目を背ける自分自身に大いに失望したものだ。こんな些細な事でさえも思い出したくもない出来事。でもこの年になりそんな出来事も思い返すことができるようになった。そう、こんな私でさえも色々な体験をしているみたいだ。「あなたの体験は誰もあなたから奪うことはできないフランクルの体験価値)」誰の経験も他人が追体験することのできない貴重なもの。自分の体験、思い出すだけで恥ずかしさがこみ上げるもの、感動したこと、あの経験は二度としたくないといった苦しい思い出も、すべては今の自分を作り上げたてくれた貴重な経験。ブログを書くにあたり、ネタ切れで自らの経験にまで手を出してしまったが、記憶を手繰り寄せようとすることで断片的にいろいろ思いだしたのは、それはそれで良かったのかもしれない。封印してきた数多の思い出、それを許容できるようになり、年齢を重ねたものだとつくづく思う今日この頃である。










2019年8月より、同年5月に厚生労働省の承認を受けた「黄熱ワクチン1人用」(YF-VAX1dose)による予防接種を開始した(これまでは1バイアル5人用のYF-VAX 5dose)









 

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