ふと手にとって読んだこの本がなかなかよくて、、
本書は脳死、出生前診断、非配偶者間人工授精について書かれています。
どの章も読み応えありましたが、非配偶者間人工授精の編は子どもの側からの思いを書いたもの、そこに思い至る事はなかったので、なかなか衝撃的でした。
「14歳からわかる」というだけあって、わかりやすいと思います。
わかりやすいがために、改めてこれらの問題の複雑さを、より深く感じる事が出来たように思います。
一筋縄ではいかないこれらの問題。
尊厳死や出生前診断の問題点があぶり出されて、色々考えてしまいますが、結局その場のその立場、その問題に対する立ち位置により、賛成も反対もできなくなるような気がします。
立場によっていろんな意見が生ずるこの話、ほんとうに複雑です。
わかったような気にはなりますが、何も分かっていないというのもわかっています。答は出ない問題だということがわかるがゆえに、これからも考え続けていくのでしょう。
そういう意味でも読んで良かったと思います。
著者は基本、脳死に対する尊厳死や出生前診断には反対のスタンスですが、スタンスがはっきりしているからこそ、問題の複雑さが理解出来たように思います。
このブログのタイトルにした「 知らない誰かの精子から産まれた私」は第4章の表題です。
誰の精子から生まれたのか分からない私だからこそ「自分の中に流れている何かを確かめたいというような」というくだりがとてもリアル。
墓場まで持っていこうとする両親
でも、遺伝子検査が簡易になり、父親が遺伝上の父で無いのが早々と露呈してしまうことも…
日本ではこのような話は基本タブー。
気持ちを分かち合える場所がないというのも不安が増長する理由です。
なかなかに考えさせられました。