鍼灸師「おおしたさん」のブログです

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インド旅行の思い出(7)味噌汁がカレーに、、

2023年05月11日 | インドの思い出




デリーから汽車でカルカッタに向かう途中、いくつかの町に立ち寄った。手近に何の資料も残っていないのでGoogleマップを見ながら足跡を追うと、カジュラホからバラナシ、ブッダガヤを経てカルカッタに行ったみたいだ。かなり昔なので思い出せる事は少ないが、絞り出してはみる。とりあえず今回はカジュラホでの思い出を書こうと思う。

カジュラホはミトゥナ像と呼ばれるエロティックな彫刻で有名である。エロに20歳そこらの男子が興味の無いわけがなく、旅行を決めた時から行きたい場所の一つにしていたように思う。でも実際行ってみると、言われたらそうかな、といった程度の彫刻だった。少なくとも私の海綿体への影響はそれほどではなかったように思う。あまり覚えていないが。

ここで泊まったホテルにはすでに日本人が、それも慶應や早稲田といった、小洒落た大学に通っている学生が何人かいた。さもインドで人生を変えに来ましたといった、雰囲気を作り込んだ輩が中央に陣取り、自作の水パイプでマリファナ祭りをしていたのだけは妙に覚えている。同宿の義理かどうかわからないが、そこを通るたびにこの水パイプに誘われた。この時はあまり興味がなかったので、生返事を繰り返しているうちに、私に興味がなくなったのだろう、二度と誘われる事はなかった。

多分3、4日はカジュラホにいたのではないだろうか、毎朝朝食を食べていた屋台の人と仲良くなっていた程なので、最低でも3日くらいは滞在していたと思う。とりあえず、1日もたたずマリファナ集団とは疎遠になったが、途中仲良くなったインド長期滞在の男性に誘われ、彼が持っている味噌汁を飲むためにその屋台に向かった。彼は1年くらい旅をしてきたそうだが、そろそろ日本に帰るので、どこだかで手に入れたインスタントのその味噌汁を消費したいとのこと。それで少しばかり懇意になっていたこの屋台の女性に頼んで、インスタントの味噌汁にお湯を注いでもらった。久しぶりの味噌汁に胸が高鳴るこの私、だが味噌汁はカレー味に。うんありがとう、でもこれじゃない。求めていたのはこれじゃない。

その女性が美味しく食べてもらいたいと気を利かせてくれたのだろうか。なんでも日本人はうま味をかなり細かく舌で分析できるみたいだが、インド人は辛味について細かくわかるという。辛味がわかる代わりに旨味は日本人ほど認識できないと聞いたことがあるが、その舌が味噌汁を不味いと判断したのだろうか。それとも沸かした鍋そのものにカレーがこびりついていて、それで沸かしたお湯が味噌汁に勝ってしまったのだろうか。いずいれにせよ、久しぶりに味わう味噌汁を私がどんなに楽しみにしていたか、あの女性は全く気がついていなかっただろう。そうなのだ、私は残念な日本人なのだ、異国においても直接不満をぶちまけることはできなかった。


インドの街中で出会う感染症、狭い路地裏の雑踏の中からふいに現れるハンセン氏病を患う人、目を背ける自分自身に大いに失望したものだ。思い出したくもない出来事はたくさんあるが、思い返してみると、こんな私でさえも色々な体験をしている。「あなたの体験は誰もあなたから奪うことはできない(フランクルの体験価値)」そう、誰の経験も他人が追体験することのできない貴重なもの。


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2 コメント

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Unknown (kobatsuyo1220)
2023-05-11 20:18:30
インドではそんな感じなんですね。
過去、出張でアジア圏行きましたが、お気持ち察します。
Unknown (おおした)
2023-05-12 08:10:48
もうかれこれ30年以上前の話なので思い出せる事を書いているのですが、インドはそんな感じでした(*^^)v

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