鍼灸師「おおしたさん」のブログです

東京都港区南青山で開業20年 / 6月から広島に帰る予定です

「死ぬ瞬間」と帝王切開

2015年07月11日 | 安産・逆子

一昨日のブログのあと…

「おおしたさん、「楽」は違うと思いますよ。」

という話を患者さんと…

そうなんですよね

 

母乳が出ても色々あります

母乳が出なくても色々あります

いずれにせよ、楽ではないのは確かです

失礼しました!

 

妊娠出産の経験のない私がする話ではないのですが、色々試したけど母乳が出なかった…、それが本当に辛かった & 母乳ネット販売での憤り…

お話をお聞きして、ちょっと気持ちが入りすぎてしまいました

 

今日は先日書いた記事の補足みたいな感じです

 

帝王切開について、本の紹介とその不安についてちょっと思ったことについて…

2015年07月07日 | 安産・逆子

 

現在のターミナルケアを考える上で大切な文献の一つであるキューブラー・ロス著「死ぬ瞬間」

そこに書かれている「死にゆく過程の5段階」

逆子と帝王切開を考えた時にいつも思い出します

 

その5段階を大雑把に言うと

【第1段階「否認」】

末期がんを告知された時に先ずこう考えます

「これは何かの間違いに違いない」

先ず「否認」をすることで事故防衛をはかります

 

【第2段階「怒り」】

「何故自分が…」

否認できないと悟った時、あらゆることに「怒り」が向けられます

 

このステージにいる妊婦さん

「大丈夫、私も逆子だったけど直ったよ!」

という無責任な言葉は、火に油を注ぐ事態になりかねないので要注意です

 

【第3段階「取引」】

「神様、人のために役立つ人になるからどうか私を助けてください」

現実を少しでも遠ざけようと、交渉する段階に入ります

 

「身体を冷やさないように注意するし、お灸もチャンとします

だから帝王切開にはならないように助けてください」


いろんなことをしはじめ(体操とかヨガとかお灸とか…)、場合によっては切迫になるほど頑張る方がいるので、近くにいる方は気をつけてもらいたいところです 

 

【第4段階「抑うつ」】

もう死ぬしかないのか…

取引が無駄だということがわかり、運命に対抗できなくなる

無力感、失望

この段階を抑うつと言います

 

もう帝王切開しかない…

ここまでくると、逆子の場合は次のステージに向かいやすい感じがします

 

【第5段階「受容」】

4段階を経て生への希望に別れを告げ、死に向けて気持ちを整理し始めます

 

ようやく帝王切開を受け入れ、赤ちゃんの誕生を喜ぶ事に気持ちをシフトできる


逆子=帝王切開

ホントにつらい

から気持ちが変えられない方は結構おられます

よかれと思っても逆効果になる言葉があるので、気持ちが固くならないように、言葉を遮ること無く本人のお話を聞いて、気持ちをリラックスしてもらう…そういうケアもしていただきたいと思います

(思った以上に逆子という言葉にダメージを受けている方がいるので、気持ちよく妊娠期を過ごせるように、すこしだけ気を使ってもらいたいところです)

 

帝王切開とターミナルケアを一緒に考えるのは大げさかもしれませんが、帝王切開を受け入れるまでの葛藤は近いところもあるので参考までに…

「重要なのは告知という当面の悲劇よりも患者への共感である、と私たちの患者全員がそう力説した。あらゆる手段がとられること、自分たちが「放り出されない」こと、まだいろいろな治療法があること、病状が非常に進んだ場合でもかすかな希望があることーーこれらによって患者は自信を取り戻せるのである。このようなやり方で告知されれば、患者は医師を信頼しつづけることができ、さらにこの新たな危機的状況に対処するために起こるさまざまな反応を、余裕をもってしのいでいくことができる。」

死ぬ瞬間 キューブラー・ロス著

医療に携わる端くれとして、妊婦さんの今に共感する

これを心に留めて治療に励みたいとおもっています


おおした


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