鍼灸師「おおしたさん」のブログです

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メタボのなりやすさは胎児期に

2009年03月27日 | 安産・逆子

gooニュースを見ていると「メタボのなりやすさは胎児期に」と題して興味深い記事が…

 

メタボ対策 生活習慣の改善 理研科学講演会 最新研究成果を紹介

 2009年3月11日(水)08:05

 
健康科学の最前線を伝える理化学研究所の科学講演会が東京都内で開かれ、生活習慣と病気の関係や、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)などに関する最新の研究成果が紹介された。

 ▽肥満とメタボ

 国立国際医療センター研究所の春日雅人所長は「肥満はなぜ体に悪いのか」というテーマで、脂肪細胞の働きとメタボリックシンドロームの関係を紹介した。

 中性脂肪を蓄える脂肪細胞が肥大化して肥満になると、インスリンの働きが悪くなり、糖尿病高脂血症になりやすい。生活習慣の改善で肥満を解消することがメタボ対策として重要だという。

 また英国で最近、「メタボのなりやすさは胎児の時期に決まる」という興味深い研究がまとまった。胎児期の栄養不足により、出生時の体重が2500グラム以下の低体重の子供は、高率でメタボを発症するという。

 春日氏は「日本では低体重の子供がこの10年間で倍増している。20代のやせた女性が増えていることが一因とみられ、メタボが今後、増加する危険性が高い」と指摘した。

……

 

最近研究がまとまったような感じで書いてありますが、成人病胎児期起源説のバーカー仮説由来のもの、もう何十年も前の研究なので、いまさら…という感じです。

こういう本もあります

胎内で成人病は始まっている―母親の正しい食生活が子どもを未来の病気から守る デイヴィッド バーカー(著), David Barker(原著), 藤井 留美(翻訳), 福岡 秀興 (Amazon.co.jp)

 

私も前にチョコッとこれらの記事に関係することを調べたことがあるのでリンクしておきます。

生活習慣病と胎児期の低栄養

2007年04月04日 | 安産・逆子

 

確かに最近は妊娠期の体重管理を言わない病院も増えているように思います(あれだけどの病院でも体重管理がうるさかったのに……)

 

 

最近妊婦の患者さんが多いです。そんな中で思うことが、病院の指導は病院ごとに…いや、もっと言えば、病院の中でも先生ごとに違うことを言われているということです。

 

妊娠期だけでなく、病気についても同じことが言えると思いますが、過ごし方も直し方も方程式があるわけではありません。

だからこそ自分にあった妊娠期の過ごし方を探る必要がありますが違う事を言われると、どう過ごしていいのかわからなくなる妊婦さんが多くなるような感じがします。

お子さんのいる患者さんに妊娠中の事を聞くと、妊娠期に必要なのは「安心」だよね~!という話がかえってきます。

でも病院では先生も助産師さんもとっても忙しそうで…、それに2時間3時間待たされた後に聞く気力も失せてしまう…なんていうのが現状のようです。

 

 

体重管理の事を言えば、09年3月25日の読売朝刊に「やせすぎ 子に悪影響」という記事がありました。

 

この記事によると1990年に前出生数の6.1%だった低出生体重児は、2006年には9.6%にまで上昇した(厚生労働省による)。

 

これは妊婦さんが太らないようにしているための必然のようです。

 

で、体重管理をどうしているのかを妊婦さんに聞いてみると、太り過ぎない注意として、食べ物に気をつけている!!という方がほとんどです。

身体を動かすことで太りすぎの予防をしている…と答える方はほとんどいません。

もちろん過度に身体を動かすことは問題があるということは言わずもがな…ですが、ほとんどの方が太りすぎに注意してね!といわれるだけで具体的にどうしたらいいのかの説明が無い場合がほとんどのようです。

 

これでは食事制限をするしか方法を考えることはできませんよね。

 

そんな中で読売のこの記事は、ただやみくもに体重増加を制限するのではなく、妊婦さん自身の肥満度に応じた推奨体重を設定していました。

 

 

 1年間に生まれる赤ちゃんの数は少子化の影響で、減少傾向にあるが、2500グラム未満で生まれる「低出生体重児」の割合は増加している。厚生労働省によると、1990年に全出生数の6・1%だった低出生体重児は、2006年には9・6%まで上昇した。

 兵庫県立柏原病院副院長の上田康夫さんは、「妊婦が太らないようにしているため。特に、やせ形や標準体形の人までが体重抑制したことが大きい」と指摘する。赤ちゃんの大きさは、母体の体重増加に関係する。体重増加が7キロ未満の妊婦は、2500グラム未満の低出生体重児を産みやすいと言われる。

 こうした傾向は、30年以上前から提唱された「小さく産んで大きく育てよ」という考え方と日本人女性のやせ願望が重なったためとみられる。妊婦の肥満は、妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)にかかりやすく、体重4000グラム以上の巨大児が生まれる率も高く、難産にもつながるとされてきた。

 しかし、最近、「小さく産め」という指導はやめるべきだとの声が高まる。2500グラム未満で生まれる子どもが増えている上、低出生体重児は成人後、糖尿病や高血圧などになりやすいという研究が相次いでいるからだ。

 国立保健医療科学院母子保健室長の滝本秀美さんは「やせた妊婦の増加は、子供の発育を損なう。適正な体重増を知ることが大事」と話す。

 厚生労働省は、肥満度の国際指標「BMI」による「普通」「やせ形」「肥満」を基に、妊娠中の体重増加量の目安を公表している。普通なら7~12キロ、やせ形の場合は9~12キロを推奨する。

 滝本さんは、「日本人の感覚では太りすぎと感じるかもしれないが、子供のためには一定の体重増も必要」と語る。

2009年3月25日  読売新聞) 

 

「やせていれば9から12キロ、太っていれば5キロ(医師に相談)」…これならわかりやすいですよね。

でも…体重管理のことを考えると…生まれる赤ちゃんよりも、安産の方が大切ではないか…と思うくらいです(もちろん冗談です)。

 

もちろん赤ちゃんは小さめの方がお産は軽いというのは本当のことだと思います。しかし目的はあくまでも元気な赤ちゃんじゃないかな…

 

「小さく産んで大きく育てよ」

が提唱されたのは戦後の栄養状態が悪い頃の話…

小さく生まれた赤ちゃんの親御さんに対する、安心の言葉だったと良いように解釈しています。

だって小さい赤ちゃんだとお母さん…不安だものね。

それに対する先生方のお産のねぎらいの言葉だったのではないでしょうか。

その後大きい方がイイ!という話になり、大きい子が多くなると出産しにくいということでまたまた「小さく産んで……」なんて話に…

なんだか時代を表していますね(^^♪

 

 

まあ…体重管理を妊婦さんに求めるのなら、もう少し具体的な体重管理の指導をするべきだと考えるのは私だけでは無いと思いますがいかがでしょうか?

以上のことは海外の方や海外で出産された方の話をきくにつれ、ますます考えてしまっていることです。海外の方は体重管理なんて全く考えていませんから…。

 

ところで…逆子についてはここ数年で病院での指導が劇的にかわりました。

その話はまた今度ということで…

 

以下はメタボと胎児のことがもう少し詳しく載っています。

 

【はてなは、はてなし】論説委員・坂口至徳 小児に目を向けたメタボ対策

産経新聞社 

「小さく産んで大きく育てる」という常識が覆りつつある。むしろ「通常の体重」で出産し、乳児のときから栄養過多にならないように育てることが推奨されている。

 胎児のときに栄養が不足すると、成人してからメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)や生活習慣病になりやすいことを示す研究成果が相次いで出て、その考え方が定着しつつあるからだ。それは、メタボ予防対策は、成人だけでなく胎児のときから成長期まで視野に入れる必要があることにもなってくる。

 このような研究の広がりを踏まえ、日本学術会議の生活習慣病対策分科会(委員長、松澤佑次・住友病院長)は提言の中で、「胎児期や子供について健全な環境づくりは、生活習慣病予防に不可欠で緊急の課題」と警告した。

 胎児期の栄養と生活習慣病の関係については、英国のデイビッド・バーカー博士が疫学調査などのデータに基づいて1986年に発表した仮説がある。胎児期に栄養不足だと臓器が十分に発育しない場合があり、加えて栄養分を過剰に吸収して補うように体内システムができあがってしまう。このシステムは成人になっても持続する、というのだ。

 提言によると、この説を裏付けるデータが日本でも出ている。例えば職場の健診で40歳以上の約2500人を調べたところ、肥満が原因の2型糖尿病発症率が2500グラム未満の低出生体重児だった人は11・6%と通常の体重で生まれた人の倍近くあった。

 個人差があり、低体重児のすべてが肥満や生活習慣病になるわけではないが、厚生労働省の人口統計によると、日本で新生児の平均体重は男女とも減少しつつある。なかでも低体重児が増え続け、平成18年では全体の9・6%(約10万5000人)に達している。その背景にある主要な原因は、日本では特に若い女性のやせ志向が強いことだ。むくみなど妊娠中毒を防ぐための妊婦の体重抑制の指導も過度に受け取ってしまう。その結果、母体が栄養不足に陥り、胎児も同様の状況に置かれることになる。

 提言では「さらにデータを集め、研究を深める必要がある」としながらも成人になるまで適切な栄養管理や運動の指導を徹底する。そして社会全体の問題としてとらえ、健康に対する意識改革や健康環境の整備を呼び掛ける。

 生活習慣病は10~20年かかってぬっと姿を現す。それだけに、つぎ込んだ医療費に対する本当の効果は10年単位で評価するのが順当だろう。特に次世代を担う子供たちの対策は早ければ早いほど劇的な効果があるに違いない。付け焼き刃の対策は医療現場を混乱させるだけだ。

 40歳以上の生活習慣病については、厚生労働省の特定健診・保健指導が行われている。

 ここにきて健診の根幹をなす日本のメタボの診断基準について国際基準に合わせてはどうかとの声が出ている。

 しかし、日本の研究は、唯一CT(コンピューター断層撮影)で内臓脂肪の面積を精密に測った科学的なデータを基にしており、むしろ世界の肥満研究をリードしている。米の白人と日本人は明確に体形が異なり、内臓脂肪の付き方も違う。このような理由から基準について欧米の研究に合わせる理由は見当たらないのだ。

 日本のメタボ研究は明確な指針を持ち続け、存在感を示してほしい。

(2008/10/29)

 


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