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安藤昌益

2005年09月22日 | 東洋医学、東洋思想

安藤昌益は江戸時代の医師であり独創的な社会思想家です。

人によってはフランスの思想家であり哲学者であるジャン・ジャック・ルソーと並び称される事があります。

この二人は、たんに同時代の人間であるばかりでなく、人間の解放と不平等の撤廃をめざし、そのための手段として、自然の回復と農業の重要性を主張する点でも共通しています。

 

安藤昌益は理想の社会を、農業を基本として全ての人間が平等な社会を築こうと提唱しました。

今から約300年あまり前の事です。

彼の中では平等の根を下ろさなければならない必然があったのかもしれませんが、当時の社会背景を考えてみれば、このような過激な人間と思想が存在したことは奇跡のように思います。

 

安藤昌益の思想の中心は「直耕」というものです。

直耕とは「農業に従事する事であり、広くは生産活動全体」を意味する言葉ですが、ひいては転定自然の生成運動や、動植物・人間の生存活動のすべて包括する創造的活動を意味します。

彼は農民を中心に生産に従事する人を、「真人」と呼び、耕さないで聖人の教えを売っている儒者は罪人扱いしています。士農工商も否定しています。 

いかなる階級も無い社会「自然世」こそが彼の理想の世界 です。 安藤昌益にかかれば孔子も老子も釈迦がとなえた仏教も誤りです。彼によると人の幸せのために教えを強要すること自体が誤りなのです。とにかく自然の摂理に忠実にあろうとした所が、元祖エコロジストとして世に紹介される事となった由来のようです。 人為的な差別のない自然をゆがめ、自然に反する制度を作る事により階級社会を正当化する手助けをした聖人や、宗教者、学者などの欺瞞を彼は徹底的にあばきつくそうとしました。 


安藤昌益の思想の一つに、農業と男女の交合を人間の直耕としてその思想の根幹に位置づけたことが挙げられます。農業も男女の交合も個体と種の維持にとって欠かせないもの です。   

この食と性の重視が農本主義と人間観の根拠となっています。

人間も動物の一員であり、自然から離れる事こそ人間が不幸になることにつながると考えたのではないでしょうか。

ですから、動物の最もシンプルな目標である「種族保存と個体維持」を農業と男女の交合に求めたのだと思います。   

自然を観察してシンプルに生きる……。

江戸時代にこの思想を考えついたことに驚嘆します。

  

で……何で注目しているのかというと、陰陽五行論を否定しているんです。

五行を対等な立場とせず、土を根源的な存在として自己運動を行い、木・火・木・水の四元素を表裏で八気として宇宙・自然を解き明かそうとしているんです。

陰陽五行論では心を「生の本」とか「君主の官(最高指導者)」としますが、そうすることにより五行の中にも優劣がつきます。

   

その事を批判しているのだと思うのですが、確かに昌益は「男女」に「ヒト」と振りがなして人間を意味させ男女の完全な対等性とを示しているようなので、このような考えに至ったのかなあと感じるしだいです。

  

昌益を勉強すると五行がもっと分かるかも……

人間の解放と不平等を考え抜く……。

並大抵のことではなかったと思います。

日本にもこんな人がいたんですね。


参考 安藤昌益研究会 より


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