みゆきな日々

チワワのチェリー女の子&私・年金暮らしのジッちゃんに絶賛親孝行活躍中

夫はヤクザ

2010年10月24日 | 2010年ブログ

夫の職業はヤクザ

50歳の夫は通算20年は塀の中で過ごした

1番、重い実刑は人殺しではなく拳銃発砲事件

新聞にデカデカ載った

20代だった彼は犯罪のオンパレード

覚せい剤所持で逮捕も2度

傷害や恐喝

私がオムツをしていた頃の彼は刑務所を入ったり出たり忙しい

男と女の縁とは不思議だ

彼はファンクラブが出来る程にハンサム

中学時代は机に入りきらないラブレターの数

部屋に忍び込んだ女までいたと言う

親世代と同じ時代に育ったヤクザの彼

知り合った時は彼がヤクザだなんて思いもしなかった

ダブルのスーツを軽く着こなすメタボお腹のオッサン

何処かの会社役員

奈美子にはそう見えた

出会いはバイトしてたスナック

気づけばバイトの仕事を辞め彼の情婦

一日中ゴロゴロする日もある彼

会社の役員と疑わない若い奈美子

仕事の事はあえて口に出して聞かなかった

時折、姿勢の低い部下が何らかの用事で部屋を訪ねる

生活費には困らない

彼は毎月、奈美子に50万の給与を渡す

不自由のない暮らしに満足してた

度々の外食や旅行にも連れてく優しい彼

ただ、彼は車の免許を持っていない

私も持っていない

彼の為に免許を取った

免許を取得した当日に彼は車を買ってくれた

日産フーガの新車

初心者の私には大きすぎて運転が難しい

若葉マークを貼ろうとしたら

『よせ』

と一言

私は貼るのを止めた

シートベルトをするのも嫌がる彼

『シートベルトもするなカッコ悪い』

免許を取って半年もしないのに講習を受けるはめになった

初心者は反則3点で講習

せっかく苦労して取った免許

無くしたくない

彼が見てない時や乗らない時は若葉マークもシートベルトもした

ある日、彼を乗せて買い物に出かけたスーパーで接触事故

半べその私に優しく

『大丈夫だよ、奈美子は悪くない』

『止まってる車にぶつけたのよ』

初めての事故に手も言葉も震える奈美子

『軽自動車のくせに白線から、はみ出てるじゃないか』

『でも私、運転が下手だし』

止め方が悪いから、ぶつけたと軽自動車にツバを吐いて言う

『軽のくせに白線から、はみ出して止めるなんて良く免許が取れたな』

そう言いながら、軽の回りを歩き回りボンネットを叩いた

『ボコッ』

鈍い音がして叩いた場所のボンネットが凹んだ

彼の行動は有り得ない

最悪の状況、彼の行動は弱り目に祟り目

幸いにフーガには目立った傷はない

相手の車は、ぶつけた衝撃でバンパーが垂れ下がってるし

ボンネットの凹みとバンパー損傷

免許を取得した事を後悔して胸が痛い

やがて、軽自動車の運転手が買い物を終えて戻って来た

学生風の若い男だ

『おい、この車の持ち主はお前か?』

軽自動車の運転手の顔が青くなった

『白線から、はみ出すような止め方するんじゃねえよ』

『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。』

『白線の中に綺麗に止める癖の付いてる俺の女が事故ったのはお前の

止め方が悪い』

そんな屁理屈が通用するはず無いのに

自然と涙ぐみ目を伏せた

『今度から白線の中に綺麗に止めろよ』

軽自動車の運転手に強い口調で言った彼は千円だけ渡して

『これでテープでも買って直せ』

『は・・ハイ、済みませんでした』

ぶつけられた運転手が彼に謝った

『さっ行けよ』

バンパーを引きずって軽自動車は走り去った

有り得ない

『なっ、お前が悪くないって分かったか?』

素敵に強く私を守る行為に彼の為なら死ねると思った瞬間だった

1

                    実話なのだ

              またまた出ました【 みゆき劇場 】