読書と映画とガーデニング

読書&映画&ガーデニング&落語&野球などなど、毎日アクティブに楽しく暮らしたいですね!

佐藤多佳子「明るい夜に出かけて」

2024年05月03日 | さ行の作家
新潮社2016年9月 発行284頁心に傷を抱え、1年の約束で大学を休学して独り暮らしを始めた冨山他人、特に女性とのコミュニケーションが苦手なため、コンビニで深夜アルバイトをしていますそんな冨山が関りを持つようになった、先輩男性、客としてやってきた高校生、高校時代の同級生でただ一人、自宅に遊びにきていた友人との日々を描きます冨山たちは、親の立場からみたら、頼りなくて心配でたまらない、少しだけ世間とズ . . . 本文を読む
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塩田武士「朱色の化身」

2024年04月22日 | さ行の作家
講談社2022年3月 第1刷発行313頁ライターの大路亨はガンを患う元新聞記者の父から辻珠緒という女性に会えないかと依頼を受けます一世を風靡したゲームの開発者として知られた珠緒でしたが、突如姿を消していました珠緒の元夫、大学の学友、銀行時代の同僚等を通じて取材を重ねる亨は、彼女の人生に昭和31年に起きた福井県の芦原大火が大きな影響を及ぼしていることに気づきます前半の第一部「事実」では、主人公・亨と . . . 本文を読む
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澤田瞳子「月人壮士」

2024年02月23日 | さ行の作家
中央公論新社2019年6月 初版発行302頁あるルールのもと、古代から未来までの日本を舞台に、ふたつの族が対立する歴史を描いた競作企画、螺旋プロジェクト作品のうち『古代』8世紀前半、首(聖武天皇)の時代を描きます東大寺大仏の開眼供養から4年仏教政策を推進した帝の宝算は尽きる道祖王(ふなどおう)を皇太子にとの遺詔が残されるも、その言に疑いを持つ、前左大臣・橘諸兄(たちばなのもろえ)の命を受けた中臣継 . . . 本文を読む
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塩田武士「歪んだ波紋」

2024年02月18日 | さ行の作家
講談社2018年8月 第1刷発行275頁「誤報」にまつわる5つの物語「黒い以来」-誤報と虚報「共犯者」-誤報と時効「ゼロの影」-誤報と沈黙「Dの微笑」-誤報と娯楽「歪んだ波紋」-誤報と権力新聞、テレビ、週刊誌、ネットメディアリアルもフェイクも混じった膨大な情報に囲まれている現代その混沌につけ込み、真実を歪ませて「革命」を企むグループがこの国で蠢いています小説としては、登場人物は重なるものの、バラバ . . . 本文を読む
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佐藤正午「鳩の撃退法」

2023年06月05日 | さ行の作家
小学館2014年11月 初版第1刷発行上巻 476頁下巻 477頁かつて直木賞も受賞した作家・津田伸一は、とある地方都市で銀行員の女性宅に居候しながらデリヘル嬢の送迎ドライバーをして糊口をしのいでいます以前から親しくしていた古書店の店主の訃報が届き、形見のキャリーケースを受け取ったところ、中には数冊の絵本と古本のピーターパン、それに三千枚を超える一万円札が詰め込まれていましたその中から行きつけの床 . . . 本文を読む
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佐藤正午「月の満ち欠け」

2023年04月21日 | さ行の作家
岩波書店2017年4月 第1刷発行322頁生まれ変わりを題材に時空を超えた男女の究極の愛を描きます仙台で妻と娘の3人で穏やかに暮らしていた小山内堅突然の交通事故で妻・梢とひとり娘・瑠璃を失い、今は故郷の八戸で老母と暮らしていますある日、三角と名乗る男性が訪ねてきて、瑠璃は面識のない彼に会いに東京へ行く途中で事故に遭ったのだと聞かされます小山内、三角、正木という名の3人の男性と「瑠璃」という名の女性 . . . 本文を読む
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塩田武士「罪の声」

2023年03月15日 | さ行の作家
講談社文庫2019年5月 第1刷発行2020年11月 第12刷発行535頁塩田さん初読小栗旬さん、星野源さん主演の映画を観て読んでみましたモチーフは1984年と1985年に大阪府と兵庫県を舞台に食品会社を標的とした一連の企業脅迫事件『グリコ・森永事件』です登場人物以外、各事件の発生日時、犯人による脅迫状、挑戦状、事件報道は極力史実通りに再現したそうです京都市内で父親から受け継いだテーラーを営む曽根 . . . 本文を読む
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瀬尾まいこ「幸福な食卓」

2023年03月04日 | さ行の作家
講談社文庫2007年6月 第1刷発行解説・うえやなぎまさひこ272頁瀬尾さん原作の映画「そして、バトンは渡された」を観て読んでみようと手にしました瀬尾さん初と思っていましたが、一昨年アンソロジーに収録されている1編のみ読んでいましたごく普通の大人しい少女、中島佐知子中学校教師の父は父であることをやめ勉強しなおし大学の薬学部を目指すと言い出します幼い頃から天才と騒がれた兄は、人生がすこしずつ歪んでず . . . 本文を読む
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佐藤亜紀「黄金列車」

2022年10月23日 | さ行の作家
角川文庫2022年2月 初版発行解説・杉江松恋380頁第二次世界大戦末期の1944年12月16日、東からソ連軍が迫りくる中で国有財産を守るべく、ユダヤ人の没収財産を積んだ黄金列車がハンガリー王国の首都・ブタペシュトを出発オーストリアを経てドイツに向かいます列車に乗り込んだ大蔵省に奉職して30年になるベテラン官吏・バログはユダヤ資産管理委員会の現場担当として寄せ集め役人たちの権力争いや、混乱に乗じて . . . 本文を読む
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重金敦之「落語の行間 日本語の了見」

2022年05月24日 | さ行の作家
左右社2020年11月 第1刷発行248頁落語に登場する、今は全くといっていいほど使われなくなった言葉、用法、故事、行事、風習、職業などについて例を挙げながらわかりやすく解説されたものです私の周囲だけかもしれませんが、タイトルに使われている『了見』も日常ではあまり耳にしません第一話 志ん生の「フラ」と文楽の「本寸法」第二話 遠くて近きは男女の仲 近くて遠きは夜の火事第三話 丁半からはんちくまで「半 . . . 本文を読む
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島本理生「よだかの片想い」

2022年01月27日 | さ行の作家
集英社文庫2015年9月 第1刷2019年6月 第4刷解説・瀧井朝世246頁生まれつき顔にあるアザに劣等感を持ち、あえて地味に生きてきた前田アイコ、24歳理系の大学院で研究一筋の生活を送っていますある日、顔にアザや怪我のある人のルポルタージュ本の取材を受けたことで彼女の日常は一変その本が映画化されることになり、監督の飛坂と対談したアイコは自分の顔を肯定的に受け止めてくれる彼に惹かれていきます24歳 . . . 本文を読む
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佐伯泰英「雪華ノ里 居眠り磐音(四)決定版」

2021年11月17日 | さ行の作家
文春文庫2019年4月 第1刷《特別エッセイ》祇園の味と粋-映画「居眠り磐音」公開に寄せて346頁故郷・豊後関前藩の内紛終結に一役買った坂崎磐音しかし、故郷に許嫁・奈緒の姿はありませんでした病気の父のため自ら苦界に身を落としたと聞いた磐音は、奈緒への配慮が足らなかったことを深く後悔し、関前から肥前長崎、京島原、加賀金沢、そして江戸吉原へ東へ東へと奈緒を探す旅を続けます先々でわずかな時間差で磐音の手 . . . 本文を読む
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島田潤一郎「父と子の絆」

2021年10月19日 | さ行の作家
アルテス2020年11月 初版第1刷発行199頁ひとり出版社・夏葉社の代表、島田潤一郎さんがつづる子供との暮らしと親の願い38歳で父親になった島田さん奥さまは40歳での初産で心配事も多かったようですが無事に長男が誕生さらに長女も生まれ、一人っ子同士だった両親は子どもたちに振り回されながらも楽しい毎日を過ごしておられるようです島田さんの優しさ溢れる美しい文章は読みやすく、心に響きますタイトルの「父と . . . 本文を読む
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佐伯泰英「花芒ノ海 居眠り磐音(三)決定版」

2021年09月23日 | さ行の作家
文春文庫2019年3月 第1刷特別対談 佐伯泰英x谷原章介「磐音は最高のユートピアだ!」359頁江戸での遊学を終え故郷に戻った当日と翌日の僅か2日のうちに親友2人を失った夏から一年江戸深川六間堀の金兵衛長屋に暮らす元豊後関前藩士の浪人・坂崎磐音は鰻屋での鰻割きの仕事だけでは日々食べていくのが精いっぱいです残り僅かな米櫃を眺めながらまとまったお金が入る当てはないものかと思案しているところに、富岡八幡 . . . 本文を読む
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佐伯泰英「寒雷ノ坂 居眠り磐音(二)決定版」

2021年05月20日 | さ行の作家
文春文庫2019年3月 第1刷特別対談 佐伯泰英x谷原章介「磐音は最高のユートピアだ!」379頁江戸・深川六間堀の長屋で浪々の日々を送る坂崎磐音糊口をしのぐべく、直心影流の剣さばきで用心棒稼業に励む中、関前藩勘定方・上野伊織に再会します藩を揺るがす疑惑を知った磐音友と共に大志を抱き故郷・豊後関前に戻った日に起きた凄惨な事件は仕組まれたものだったのか!?巻末に収録の特別対談で映画続編制作への期待が益 . . . 本文を読む
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