プチ早期退職者の資産運用+αブログ

個別銘柄:トヨタ自動車(ついに1万円に到達)

 やがては1万円になると思って2004年から保有してきたトヨタ自動車が今年6月に1万円に到達した。私のこれまでの売買や最近のニュース等についてまとめておく。長年の配当の効果、アルファ値やベータ値など内容豊富で少し長めの記事になった。


トヨタ自動車の値動きと売買

 トヨタ自動車は、日本を代表する企業で、世界首位級の自動車メーカーだ。昔から国際優良株と言われてきた。

 2003年以降の月足チャートに売買時期だけを追記したものを以下に示す。売買が2004年から2006年に集中しているので、いつものような吹き出し形式での追記だとうまく入らなかった。

 


2004~2005年購入時の状況

 トヨタ自動車(以下、トヨタ)を買った理由は、自動車メーカーの中では面白みがなくても総合力でトヨタ一択だと思ったし、日本経済がダメになってもトヨタは生き延びるだろうと思ったからだ。株価もやがては1万円に達するだろうと思っていた(想像以上に時間はかかったが)。

 2003年4月には日経平均がバブル後最安値を更新する7,607円を付けた。トヨタもその時に底値の2,445円を付けたが、その後は順調に上げていた。私は2004年9月21日に4,200円、2004年12月13日に3,890円、2005年3月22日に4,010円で100株ずつ買った。普段は下げが続く過程で買い始め、難平買いで株数を増やす場合が多いが、この時は2004年7月の高値からの押し目を買う形になっていた。私の過去の株式売買記録を確認すると、上げ相場で幾つかの銘柄を利食った資金を順次回していた

 銘柄管理用のエクセル表に残っていた四季報2004年秋号の見出しは以下のようになっていた。
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[増 額]アジア・北米中心に世界販売を前期比48万台増の720万台に上方修正。国内はクラウン増販や輸出車拡大で堅調、北米・欧州・アジアの増産効果も本格化。円高(1$105円想定)でも利益続伸。
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2006年以降の株価と利食い・買戻し

 その後は順調に上げ、2006年5月11日に6,680円で100株だけ売った。急騰していたので、一部利食いすることにしたのだ思う。しかし、売ってすぐ急落したので、2006年5月22日に6,090円で買い戻した

 2006年末の私の株式保有状況を確認してみると、トヨタは投資額ではベスト5、時価総額ではベスト3に入る主力銘柄になっていた。この後は追加投資をしなかったので、今では相対的に投資額/時価の割合は下がった。それでも、値上がりもあって準主力銘柄にはなっている。

 2007年2月には8,350円の高値を付けているが、利食いはしなかった。いったん利食いした実績はあったし、いつかは1万円という思いがあったからだ。しかし、その後はリーマンショックを挟んで低迷した。2009年から2010年にかけてトヨタは米国で叩かれたり、リコールしたりしていたので、買い増しも考えなかった。

 2011年11月には大底の2,330円を付けているが、東日本大震災後の円高の影響が大きかった(商船三井の場合と同じ)。アベノミクス相場で2015年3月には8,783円を付けて2007年2月高値を更新したが、やはり利食いは考えなかった。

 2016年6月はBREXIT決定による株式市場の急落と円高で5,000円割れまで下げたが、その後は戻した。2000年3月にはコロナショックで大きく下げたが、その後は順調に戻した。


目標に到達したが一部売却は見送り

 2021年6月15日についに1万円に到達した。その後は、1万円をはさんだ値動きが続いている。根拠のある明確な目標という訳ではなかったが、2004年9月にやがては1万円になるだろうと思って投資を始めてから、実に16年9ヵ月かかった。

 本来なら目標達成ということで一部利食い(記念売)をするところなのだが、一般口座分なので税金の他に国保保険料もとられること、一度売ると買い戻せそうにもないこと、そもそも指標的に見ても割高感はないことから売りは見送った

 とこまで信頼するかは別にして、最近の証券会社のレイティングを見ると、定期的に確認しているJ.P.Morganの8月4日付のアナリストレポートではNeutral、目標価格10,000円になっている。野村證券は8月4日付で強気(Buy)継続、目標価格13,000円に引き上げた。従来は11,700円だったが、好決算を受けて業績予想を上方修正した結果だ。

 トヨタ株は9月末には5分割される予定なので、一部売却はその後にでも改めて検討しようと思っている。


トヨタの業績と配当金の推移

 2007年3月期以降の分になるが、トヨタの業績推移と年間配当金の推移の情報を載せておく。


 出所:マネックススカウター


 (適切な図表が見つからなかったので、過去の配当金情報から筆者作成)

 業績はリーマンショックや米国でのトヨタ叩きで大きく落ち込んだが、その後は順調に回復した。年間配当金は概ね業績に連動しているが、以前に比べると最近は配当金(配当性向)が増えているし、減配は避けているように見える


長年の配当金の効果

 2007年3月期から2021年3月期までの1株配当金を合計すると2,280円になり、税金分復興特別所得税は省略)を20%として差し引くと1,824円になる。私の300株の平均取得価格は4,734円であるから、2007年3月期以降の配当で既に38.5%分は回収できていることになる。

 別な見方では、15年間の年間平均配当金は税引後121.6円であり、2.57%の配当を15年間もらい続けてきたとも言える。ゼロ金利の時代にである。2021年分でみれば税引後で4.05%の配当利回りになっているし、今後も少なくとも同程度は期待できそうだ。

 また、15年間に受け取った配当金の総額で見ると税引後で54.7万円になっている。そしてそれは再投資の原資となって、さらに運用益を産んでくれている。株式配当による複利運用だ

 売買履歴だけ見れば2004年から2006年にかけて投資した資金(約140万円)をずっと塩漬けにしていたようにも見えるが、配当金という形でお金は働き続けてくれていた訳だ。トヨタへの投資も高配当株、連続増配株への投資の一例と言っていいだろう。

 また、底値圏で買っていなくても、長期投資に耐えられそうな株を選んで買って放置しておくだけで、それなりの成果が得られることも分かる。なので、放置投資家も悪くはないと思っている。

 もちろん適切に売買できれば、ずっと効率よく資金を増やすことはできる。後からチャートを見れば特にそう思える。しかし、思惑通りに行かなければ失敗するし、値動きにつられて短期売買すると失敗しやすいと思う。人それぞれでよいのだけれど。


最近のトヨタ関連のニュースなど

 ツイートしたものなど、メモ代わりに残しておく。

 トヨタの2021年3月期の決算は、コロナ禍をほとんど感じさせないものであった。上の業績推移のグラフを見ても分かる通り、売上や利益など平常時レベルと言ってよいものだった。他の自動車メーカーと比べると異世界にいるような感じだということを日経ビジネスの記事が解説してくれている。


 私は、異世界転生もののアニメもよく観るのでニュアンスがよく分かる。総合力でトヨタ自動車一択だと思って投資したことに間違いはなかったようだ。


 2021年4月の販売実績のデータを見て、5月28日に以下のツイートをした。
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#トヨタ自動車
北米でバカ売れ、前年比288.5%。米国はすでにアフターコロナの好景気みたいだ。日本もやがて同様になると、昨年度ですらよかった業績はどうなるのだろう。それを織り込めば一段高もあるかな。9月末の5分割と1万円到達のどちらが速いだろうとか思ってしまう。
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 2020年7月に米国のテスラの時価総額がトヨタの時価総額を超えたということで話題になっていた。私としては、現在の実力や本来価値はトヨタの方が上だと考えているが、米国市場が大崩れでもしない限り夢を買うバブリーなテスラが上回り続けるだろう。以下は今年6月24日の東洋経済の記事だが、 両社の時価総額の推移等、最近の状況の整理としていい記事だと思う。



 8月4日に2022年3月期第1四半期決算が発表された。連結税引き前利益は前年同期比11倍の1兆2572億円に急拡大、通期計画の3兆1100億円に対する進捗率は40.4%の好業績だった。第1四半期の売上営業利益率も前年同期の0.3%が2.6%に急改善した。ただ、通期業績予想は据え置かれた。
2022年3月期第1四半期決算情報(2021年8月4日)

 第1四半期の業績がよくなりそうなのは4月の販売実績を見た頃から分かっていたことだし、今回は通期業績予想が据え置かれたこともあって、発表後の株価は少し下げた。結局、6月上旬以降、概ね横ばいの株価となっている。この間、TOPIXも横ばいだし、日経平均は下げ気味なので、市場環境が良くならないとトヨタも上がらないだろう。


 6月の情報に戻るが、以下の東洋経済の記事は一読しておいた方がよいと思っている。今後、自動車の商流とか売り方が大きく変わっていくだろうという話だ。



トヨタはアルファ値が小さくなり、ベータ値が1に近い

 資産運用についてある程度勉強したことがある人はアルファ(以下、α)とかベータ(以下、β)というのを聞いたことがあると思う。 私の理解でざっくり説明すると次の通りだ。

 αとは運用者の判断の結果がもたらす付加収益のこと。例えば、割安な銘柄をうまく買えたので、その後、市場平均の上昇と比べてn%余計に儲かったとすれば、そのn%がα値だ。

 βとは投資対象資産の市場全体の変動率との連動度合いのこと。ある銘柄が
インデックス(日経平均やTOPIX)の変化に対して、どれだけ大きく動くかを数値化したもので、例えば、ベータ値が1の銘柄はインデックスと完全に連動するが、ベータ値が2の銘柄は2倍動くということだ。

 第1四半期の業績のところで「市場環境が良くならないとトヨタも上がらないだろう」と書いたが、これは「トヨタはβ値が1に近い」と同じ意味になる。実際、トヨタと日経平均の比較チャートは以下の通りだ(期間は上の月足チャートと同じ)。

 2003年以降のトヨタ自動車株と日経平均の比較


 日本を代表するトヨタの株価の動きは、結局のところ日経平均(日本市場全体)と強い相関性を持っているということだ。2017以降、若干ズレが拡大したように見えるが、ファーストリテイリングやソフトバンクG等の幾つかの銘柄の集中売買によって日経平均を操作するようなことが行われているせいではないかと思っている。

 別な見方をすれば、多くの機関投資家や個人が投資対象とするトヨタぐらいの株になるとα値は小さくなる(その時の市場環境では常に適正に評価されている)とも言えるだろう。ただし、だから言って儲ける機会が少ないということではない。長期チャートを見れば明らかなように、市場全体が暴落しているときに勇気をもって買い向かえば報われる。何度も書いてきたことだけど。


【2021.10.12追記】

 トヨタ自動車株は9月末で5分割され、保有株数が1,500株になった。株価の方は、6月に1万円(現2,000円)に到達して以来、多少大きめにぶれることはあっても2,000円を挟んだ値動きが続いている。それで、9月末の分割後まで保留していた1万円到達の記念売を本日行った

 個別管理上、2004年12月13日に3,890円(5分割前)で買った分の内の100株だけを2,000円で売った売却益12.16万円、利益率155.8%、年利換算9.3%となった。2.5倍ほどで売れたことになるが、保有期間が16年10ヵ月にも及ぶので、年利換算すると大したことはない。その間、配当ももらっているので十分だが。

 トヨタ自動車株はすべて一般口座分で、売却益からは税金以外に国保保険料も取られることになる。それも理由で、今後も長期保有を基本に考えている。

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