プチ早期退職者の資産運用+αブログ

個別銘柄:アルヒ(配当狙いで拾っていらTOB)

 昨年末から配当狙いで拾っていたアルヒのTOBが発表された。その後、業績の下方修正と減配が発表され、TOB期間も延長されたこと、その後TOBが成立したことも追記しておいた。


アルヒの値動きと売買

 アルヒは、固定金利住宅ローン「フラット35」販売首位で、債権回収のほか住宅検索・人材紹介等もやっている。駅で看板を見かけたこともあるので、実際に住宅ローンを検討したことがある方以外でも、ご存じの方は多いかもしれない。

 アルヒは2017年12月のIPO銘柄で、IPO以降の週足チャートに私の売買記録(現在は買いだけ)を追記したものを以下に示す。




 アルヒの2022年3月期の配当は60円、今期も60円の見込みであり、1,000円で買えば配当利回りは6%になる。2021年11月発表の2022年3月期上期決算での最終損益の15%減益が嫌気され、下げ基調だった株価が一段安となり、月末には1,000円割れでもみ合っていた。

 元々割安になってきていたし、住宅(ローン)需要もなくなる訳ではないし、配当性向にも余裕があったので、配当狙いで拾っていこうと思った。しばらく様子を見ていたが、逆に少し戻りかけてきたので2021年12月14日に100株だけ999円で買ってみた。もう少し下げれば買い増すつもりだったが、株価は反発してしまい、その時期には仕込み損ねた。

 しかし、2月下旬になって再度1,000円割れとなったので、2月21日に100株を999円で買い増し、その後も3月央にかけて100株ずつ買い増していった。私のよくやる盆栽投資だ。途中963円でも買ったが、3月17日に990円で買い、その時点でメイン口座、サブ口座合わせて累計500株となり、一応仕込み終了となった。

 株価/業績が冴えなかった理由は、四季報2022年春号の記載から抜粋すると「中古物件不足、住宅高騰でフラット市場が停滞。システム経費重く前号から一転、営業減益」となっていたからだった。

 その後も株価は底練りを続けたが、私は追加の買い増しはしなかった。しかし、フラット35を悪用した不動産投資にアルヒがかかわったのではないかというニュース(後述)で下げたのと、口座に少し資金が残っていたので、5月27日に100株だけ945円で買い増した。

 9月14日にはSBIグループによるアルヒの1,500円でのTOBが発表され、翌9月15日はストップ高、9月16日は1,400円絡みの値動きとなった。


アルヒのTOBの内容

 9月14日の引け後に発表されたTOBは、SBIホールディングスの子会社のSBIノンバンクホールディングスが連結子会社化を目指してTOBを実施するというもので、アルヒ側も同時に賛同を表明した。両社のリリースは以下にある。

SBIホールディングス|アルヒ株式会社株式に対する公開買付けの開始に関するお知らせ

SBI ホールディングス株式会社の完全子会社である SBI ノンバンクホールディングス株式会社 による当社株式に対する公開買付けに関する意見表明 及び SBI ホールディングス株式会社との業務提携契約締結に関するお知らせ  

 TOB価格は1,500円、買付予定数の上限は1,753万600株、現保有株と合わせて発行済み株式数の51.0%取得を予定しており、アルヒの上場は維持される。また、買付予定数の下限(1,115万6300株)に満たない場合には応募株券等の全部の買付けを行わず、上限を超えた分は買い付けず、上限に満たなかった場合は上限までの範囲で市場内取引等の方法により追加で取得予定(手法、条件、実施 時期及び適否については未定)となっている。

 なお、SBIホールディングスは、現在、アルヒの株式を約94万株(発行済み新株引受権を考慮した潜在株式勘案後株式総数に対する保有割合2.60%)を既に保有している。取得株式数にはこの分が含まれる。


TOBは成立するか?

 今回のTOBは時価から5割ほどのプレミアムが付いていて、昨年の秋以降に買った人にとってはプラス評価だ。短期でこれだけプラスになるなら、応募する株主は一定数はいて、TOBは成立しそうに思う。TOBに応募するのは面倒なので少し安くても市場で売却する人も多いし、逆にそれを拾ってTOBに応募する人もいる。

 しかし、過去の値動きを見ると1,500円は高値圏からは遠いし、あえてTOBに応じない(同程度の株価でも市場で売却しない)株主も多いかもしれない。しかも、配当水準が今後も変わらなければ、1,500円でも4%の利回りで悪くはない。さらに上限に満たず、より有利な条件で追加買い付けになる可能性もない訳ではない。

 TOB資料を見るとDCF法によって算出した適正株価は1,353円から1,643円となっている。なので、1,500円でも割高ということはない。この手の適正株価の算出は結構いい加減だと思っているが、今回は安くTOBしたい場合なので、割高に評価されていることはないだろう。

 何か派手なことをやりたい無能な経営者が割高な企業買収を行う際には適正株価が異様に高く算出されていたりする。そうして妄想したような買収効果は上がらず、買収後しばらくして巨額の減損になったりするが、当の経営者は買収判断は適切だったと言い張るのだ。典型例の一つがトール社を買収した日本郵政だ

 私は高配当利回りに着目して1,000円以下で拾っているので、9月末の配当の権利取得後、1,500円近辺なら一部は売却して利確しておきたいと思っている。一方、あまり年間譲渡益(税金)を増やしたくないし、TOB後にシナジー効果が本当に出るかもしれないので、残りは継続保有するつもりだ。


アルヒは元々SBIグループ

 TOB資料にも記載はあるが、アルヒは元々SBIグループのSBIモーゲージで、韓国KOSPI市場に上場していた。しかし、「本業と強いシナジーが見込めないから」と2014年にカーライルグループのCSMに売却された。詳細は、以下のニュースリリースにある。



 その後2017年12月に公開価格1,300円でIPOされた。IPOに関する情報は、以下にまとめられている。IPOに際して適正株価から20~30%ディスカウントされていたとすると、当時の適正株価は1,625~1,857円だったということになる。



 回の買収目的には「シナジー効果を期待して」とある。なんか変な気もするが、状況が変わって経営判断を変えたのかな? 金儲けに熱心にSBIのことだから、今回のTOBはお得だと判断したことは間違いないだろう。


アルヒの不正融資疑惑

 今年5月27日のYahooニュースに、フラット35を悪用して不動産投資をした人たちがいて、その不正融資にアルヒが係わったのではないかというニュースが流れていた。それを受けてアルヒは年初来安値を付けていた。

 3月央に500株までの仕込みを終えてアルヒについては静観していたが、少し下げ幅が大きかったのでアルヒへの意識が戻った。それでニュースの内容等について少し調べ、大きな問題はないだろうと判断して100株だけ945円で買い増した。そして、以下のツイートをした。



 ちなみに、アルヒの現時点までの年初来安値942円はこの日に付けている。気になるニュースに即応できるのは、早期退職、ヒキニートの強みだ。

 なお、上記ツイートの元のYahooニュースは既に削除されているが、アルヒフラット35被害者同盟というのができていて、その活動によってかつての話が蒸し返され、ニュースになったりする。私の上記ツイートは、その活動を指してのコメントだ。

 その時調べた不正融資関連の情報として、以下のツイートもした。





【2022.10.7追記】

 株価はずっと1,400円絡みの動きを続け、中間配当の権利落ち後も1,400円をわずかに下回る動きを続けている。1,500円のTOB価格にもっと近づいてもよさそうだが、申し込んでも抽選に外れる可能性や現在の地合い等を市場参加が考慮した上で売りと買いが釣り合っている妥当な株価ということなのだろう。

 そのため、今朝がた1,397円で100株だけ売却して資金回収することにした。個別管理上は、2021年12月14日に999円で買った分になるので、税引前譲渡益は3.95万円、利益率39.6%、年利換算48.6%となかなかの成績となった。残りは現時点では継続保有のつもりだ。


【2022.10.28追記】

 10月27日の大引け後、アルヒは23年3月期の連結最終利益を従来予想の43億円から31億円に27.9%下方修正した。また、今期の年間配当を従来計画の60円から55円(前期は60円)に減額修正した。

2022年10月27日 業績予想及び配当予想の修正に関するお知らせ


 この下方修正に伴い、公開買付届出書に記載すべき重要な事実の変更が生じたため、公開買付届出書の訂正届出書が提出され、公開買付期間が2022年11月11日まで延長された。

2022年10月27日 「SBI ホールディングス株式会社の完全子会社である SBI ノンバンクホールディングス株式会 社による当社株式に対する公開買付けに関する意見表明及び SBI ホールディングス株式会社と の業務提携契約締結に関するお知らせ」の一部変更に関するお知らせ


 単純に考えると、下方修正と減配によってアルヒを継続保有する価値が下がったので、TOBに応じた方が得と考える人が増えそうだ。また、一方でTOB成立後にTOB価格の1,500円を維持できるのかという懸念も増した。

 上記理由に加え、資金確保もしたかったので、本日午前中に1,393円で100株だけ追加売却した


【2022.11.14追記】

 11月11日までTOB期間が延長されていたが、TOBが成立し、SBIグループが議決権所有割合の51.0%を保有する筆頭株主になることが開示された。

2022年11月12日 SBI ホールディングス株式会社の完全子会社である SBI ノンバンクホールディングス株式会社 による当社株式に対する公開買付けの結果並びに親会社及び主要株主である筆頭株主の異動 に関するお知らせ

 TOBの応募株数 24,637,258株が買付上限株数 17,530,657株を上回ったので、応募した内の28.8%は買い取られないことになった。週明けの11月14日は思惑で買っていた人等の売りが出て、大きく下げて1,254円で始まり、後場に入ってすぐの時点では1,330円台で推移している。

 10月27日に下方修正と減配も発表されているので、積極的には買われづらい状況で、落ち着きどころを探す展開となるのだろう。私としては、200株は売っておいてよかったという感じだ。残り400株は一応、長期保有のつもりでいる。


【2022.11.16追記】

 記録として追記しておく。

 抽選に外れて売却可能になった人の売り物が出たようで、11月15日には大きく続落し、本日(11月16日)も下げて1,075円の安値引けとなった。業績悪化、減配を考えれば、TOBの件がなければ再度1,000円割れになっても不思議ではない。

 とは言え、思っていた以上に下げてきたので欲張らずに売却した200株を買い戻しておこうと、2時半ころ200株 1,080円で買指値しておいたら、引きにかけ少しまとまった売りが出たのか1,075円で約定した。この値動きだと明日も続落しそうだが、300円ほど安く買い戻せたのでよしとしよう。減配後でも利回りは5%超えになるし。


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