BAR pulito mese

北の街札幌でpulito meseという
お店を営むママの奮闘BLOGです!!
笑ったり泣いたり怒ったり^^:

雨の日は誰かが迎えにきてくれる。。。

2006年04月20日 | ♪^^心の詩
雨が降ると私は大きな窓の前に立ち
大きなカーテンに包まるように外を眺めていた。

窓が大きかったんじゃない。
カーテンが大きかったんじゃない。

私が小さかったんだ・・・。


小さい頃、雨が降ると私は決まって窓にたち外をじーっと見ている子だった。

最初は居間の大きな窓・・・。
水溜りに落ちる雨をみていた・・・。

次は居間の隣の小上がりの窓に立つ。
畑の土に雨が落ちていく。
私が可愛がっていたぴこちゃんが眠っている。

次に、おばーちゃんのタンスとおばーちゃんが魔法を使う和室の窓を開ける。
手をだして、雨を手のひらにのせる。

そして、母の寝室。
仏間。

誰も使わなくなっていた父の仕事部屋・・・。
当時、応接間とよんでいたんだっけ。

昔、住んでいた家は大きくて広いお家だった・・・。

そして、2階にあがり姉達の部屋。
家中の部屋を訪ねては窓を開け、頭をヒョコっとだしてみたり
手をだしてみたり。

ただ、ボーっとしてみたり・・・。(笑)可笑しなコだ。


次に、黄色いカッパを着て赤い長靴を履く。
あ、赤い傘も・・・。

そして、5段ある階段から傘を広げ両手で持ち
ひょ~っと飛ぶ!

飛びたかったんだ。
飛べるかもしれないと思っていたかもしれない・・・。
本当に飛んだら怖いくせに・・・。(笑)


何度も何度も飛んでみるけど、
「今日は風がないからダメだな」なんて、あきらめると
今度は水溜りにダイブ!

長ぐつの中に水が入る。
冷たいけど気持ちがいい・・・。
長ぐつの中は、ビショビショだけど足を踏むたびに
ブニュブニュする音がたまらなく鼻歌まじりだ。


外には誰もいない。
川の流れの音・・・薄暗い夕暮れ・・・。
時折、風が吹くと雨の滴が葉から葉に落ちていく・・・・。
そんな光景を、何故かしらはっきり覚えている。


斜め向かいの犬小屋。
白いワンコがヒョッコリと顔だけだして私をみていたっけ。
ぬれちゃうのに・・・って思いながら、時折白いワンコを気にしていた。

ガラガラ~。

「もう、お家に入りなさい。ママが帰ってきたら
怒られるよ。」

ばーちゃんが呼びにくる。


黄色いカッパをきてしゃがんで石遊びをしていた私は振り返る。
カッパのお帽子が邪魔をして、
右目がみえない。


「ばーちゃん、ちょっとこっちに来て。」


ガラガラ~。と、お家の戸がしまった。


私は、首を元にもどし
ばーちゃんが出てきてくれることを祈りながら、
しゃがんだまま。

気にいらない石を水溜りになげる。


じゃぽん。


ばーちゃん、でてこない。


じゃぽん・・・。


じゃぽん・・・。


ガラガラ~。


ばーちゃんがでてきた!
でも、振り返らない・・・。顔はニヤニヤしてるくせに(笑)


ばーちゃんは、私と一緒にしゃがみこむ。

「この、石・・めんこいね?」


「ばーちゃんに石拾ってあげるか?」


「笑・・キレイな石みつけて、お家に入ろう。
あぁ・・また長ぐつ、こんなにして。ママに見つかったら怒られるから。」


「・・・・・・・・・・・・・・・・。」
首を横に振る私。



「ばーちゃん、これきれいだよ。」


小さな手で石ころを差し出す。


「あらあら、本とだね。キレイな石だからお家に入って乾かそう。
ばーちゃんの部屋にかざるから。」


「うん。」


私は、黄色いカッパについている透明のポッケに
沢山の石を詰め込んだ。
石の重さで、かぶっていたお帽子は下にさがり
更に私の視界を狭くした・・・。(笑)



そういえば、この日から
ばーちゃんの部屋には石コロが増えていったし
お天気のいい日には、ばーちゃんときれいな石ころ探しにもいったっけ。




雨が降るとたまに、この日事を思い出す。




今でも、雨が降ると窓の前に立ち外をぼ~っとながめる癖は
変わらない。



変わったといえば、

黄色いカッパを着なくなり、赤い長ぐつもはかない。
そして、赤い傘で飛ぼうともしない。

9階から飛んだら、とんでもないことになる・・・。




私は、雨の日はあまり嫌いじゃない。


誰かが迎えにきてくれそうな気がする。



誰かが優しくしてくれるような気がする。



そんな事を想いながら本を読むようになったのは、


いつの頃からだろう。




雨の日、ばーちゃんがいつも傘を持って

学校の門のところで待っていてくれた。

雨にぬれて、大きなランドセルを背負ってトボトボと歩いて
ふと、顔をあげるとばーちゃんが赤い傘を持って

手を振りながら小走りで迎えにきてくれたときのように・・・。