時のつれづれ(北多摩の爺さん)

下り坂を歩き始めたら
上り坂では見えなかったものが見えてきた。
焦らず、慌てず、少し我儘に人生は後半戦が面白い。

水ぎわ(大黒ふ頭)の攻防

2020年02月20日 | 時のつれづれ・如月 

多摩爺の「時のつれづれ(如月の3)」
水ぎわ(大黒ふ頭)の攻防

ひと山を越えたのだろうか・・・ ?
横浜港大黒ふ頭に接岸しているものの、検疫によって入国を拒否され、
隔離状態にあった豪華クルーズ船において、
我が国政府は、入港後14日が経過したことをふまえ、
直前のPCR検査(遺伝子検査でウイルスの有無を確認する)で陰性だった乗船客に限って、
順次下船(入国)することを許可した。

事件は・・・ 3,700名が乗った豪華クルーズ船のなかで起こった。
1月20日に横浜港を出港したあと、
鹿児島、香港、ベトナム、台湾、沖縄を16日間かけてクルージングし、
2月4日には横浜港に戻ってくるはずだった。

ところが、2月1日になって・・・ 事態が一変してしまった。
20日に横浜港から乗船し、25日に香港で下船した乗客が、
新型コロナウィルスに感染していたことが判明すると、
水際対策を強めた政府は同船の発熱者(乗船客)に対し、2月3日にPCR検査を実施する。

そして・・・ 2月5日になって数名に陽性反応が出たことから、
即座に14日間の入国拒否を発動し、約3,700名(乗務員1,000名、乗船客2,700名)が
船内に隔離されたというのが事のあらましになる。

多くの外国人が乗船していたこともあって、海外のメディアからも対応を注目されると、
この国のマスコミも一緒になって、やれ人権だの、やれ政府の対応が遅いだのと、
連日の大騒ぎを繰り返す。

下船させるべきだとか、全員にPCR検査を受けさせるべきだと言いたい放題だったが、
14日が経過した19日になって、いざ下船が始まると、
チャーター便で海外に戻った乗船客を引き合いにして、このまま下船させていいのか?
海外の対策と同様に、さらに14日間の隔離を延長すべきじゃないかと言い出す始末

まさに・・・ 「あぁ言えば、こう言うし、こう言えば、あぁ言う。」の手のひら返し
公共の電波を扱う天下のマスコミが、いったいなにが言いたいのだろうか? 
あまりにも見事なダブルスタンダードに、開いた口が塞がらないとは、
こういうことを云うのだろう。

全員にPCR検査を受けされろといった解説者やコメンテーターが大勢いたが、
当時の処理能力からみて、それが物理的に無理だと云うことに気がつかなかったのだろうか?
厚生労働省が木で鼻を括ったような、苦し紛れ的なコメントをしたことも問題だと思うが、
マスコミで仕事をする者なら、ちょっと考えれば分かることなのに想像力が乏しいと言わざるない。

また、全員を下船させて、病院やホテルで隔離しろといった解説者やコメンテーターも大勢いたが、

この国に感染症対応が取れる病院や、受け入れ可能なホテルのキャパシティーがいか程なのか、
キチンと調べて、裏付けを持って発言してるのだろうか?
そんなことすら調べず、政府の説明や対応が拙いと悪口三昧だから、
これまた、想像力が乏しいと言わざるない。

我が国は法治国家である。
故に、法律に書かれてある、できることしか・・・ できない。
政府の責任者が14日間の隔離をした後、発病してなければ下船させると公言したんだから、
これ以上隔離を延長すると、人権侵害といわれたときに論理的な根拠を失いかねない。

今回の下船が良かったのか? それとも失敗だったのか?
その答えは、2月19日から下船を許可して2週間後の3月4~5日ごろになって、
はたして何人の陽性が出てくるのか?
その人数次第になるのではなかろうか?

2月5日までは乗務員・乗船客の皆が、船内で濃厚接触していたという現状を踏まえると、
横浜港に接岸後、2週間隔離された乗客が、検査で陰性となり下船してから、
さらに2週間の自宅待機を経たんだが、
それでも・・・ こういった状況だから、1人も陽性者が出ないとは思っていない。

ただそうは言うものの、500人超の日本人乗客が、
公共の交通機関を利用して自宅に戻ったことを踏まえると、
新たな陽性者が10数名ぐらいであれば、特に根拠があるわけじゃないが、
この状況下での感染率が2%以内ということでもあり、
感染経路が分かっており対策に手を打てることもあって、
14日間の船内隔離は、成功とまでは言わないが、失敗じゃなかったとみて良いんじゃないだろうか。

国民の誰もが不安に思うのは尤もだが、一党独裁の社会主義の国ならいざ知らず、
民主主義の法治国家では、一つひとつ段取りを踏むため、
こういった問題を解決するのに時間がかかるのは致し方なく、
それが嫌なら、為政者に大きな権限を与えられるよう、法律を改正するしかない。

これは、現在の野党が政権を取っていたとしても、同じことしかできないんじゃなかろうか。
じれったくても、一つひとつの段階を見守るしかないのが、
民主主義という国の欠陥なのかもしれない。

よって、平時の時にこそ、いざという時のことを想定して国会で議論を深め、
選挙や国民投票などによって、国民の理解を求めておくことが大事だと、
いまさらながら気づかされることになる。

それにつけても・・・ そもそも、このクルーズ船はイギリス船籍で、
船主はアメリカだというではないか。

香港で下船した乗客の感染が見つかってから、横浜港に入ってくるまでの3日間、
彼らはなんの警戒もしなかったばかりか、
WHOの非常事態宣言までも無視して、
船長主催で濃厚接触を助長するイベントを開いていたにも拘わらず、
船長も船主も・・・ いまだに会見一つせず、それを求めるマスコミもいないのが不思議で堪らない。
これって、おかしいことなんじゃなかろうか?

政府の対応が良かったなんて・・・ 言うつもりはない。
しかし、新型ウィルスだということを踏まえれば、亡くなった方々は気の毒だと思うが、
過去にこういった症例がないわけだから、対応が後手後手に回るのは仕方がないことであって、
そのことを責めても、事態が好転するわけでもない。

その昔、ぼやきをネタにする人生幸朗(じんせいこうろう)、生恵幸子(いくえさちこ)という
夫婦漫才の大御所がいた。
決め台詞は「責任者でて来い。」だったが、いままさに求められているのは・・・ これ!
この決め台詞に尽きる。

2月5日以降は、我が国の厚生労働省が主導して船内をコントロールしたかもしれないが、
この船の指揮命令系統のトップにいるのは・・・ 外国人の船長である。

個人的には・・・ まず、船長や船主が会見し、
一つひとつの指揮命令について、誠実に説明すべきだと思うが、間違っているだろうか?
政府の対応について、なんだかんだという人が多い、気持ちは分からんでもないが、
彼らは横浜港に入港するまでの数日間、船の中はどういったシステムで運用されていたのか、
そこんところを検証しようと、船長や船主に会見を求めていない、
何故なんだろう、それが不思議で堪らない。

船長は、1月30日にWHOが出した非常事態宣言をどう受け止め、どういった対応をしたのか?
船長は、2月1日に香港で下船した乗客が新型コロナウィルスに感染していたという連絡を受け、
どういった対応をしたのか?

また、船主である米国の会社は、前述した二つのターニングポイントに対し、
船長になにを指示したのか?
さらには2月5日以降、我が国の厚生労働省からの指示を受け、日々どのように対応したのか?
まず、そこんとこからハッキリさせとくべきだろう。

また、蛇足だが・・・ 崎陽軒からご厚意で差し入れられた「シウマイ弁当」は、
どこに行ってしまったのか?
差し入れの弁当一つとっても、一事が万事でこの調子だから、
とてもじゃないが、この船の指揮命令が機能していたとは・・・ 思えない。

2020年2月、大井ふ頭で繰り広げられた水際での攻防戦
この船を預かっていた最高責任者の言葉がないまま、ひと山を越えようとしている。
結果は芳しいものではないとしても、
現場で汗を掻き、頑張った者たちが、マスコミによって悪者にされようとしている。

政府の肩を持ちたいわけじゃないが・・・ あえて言うなら、
「責任者でて来い。」なんじゃなかろうか?
故・人生幸朗師匠に甦っていただき、大きな声で吠えてもらいたいぐらいである。

そして最も訴えたいのは、発生させた国のトップ(責任者)は、
世界をこれだけの不安と恐怖に陥れながら、
いまだに「申し訳なかった。」の一言も発していない。
(言ってたかもしれないが、私の記憶にはない。)
これはホントに・・・ 腹立たしいことじゃなかろうか。

いまは、今目の前で起こっていることをくい止めることが最優先だが、
一段落ついたところで、このウィルスを発生させた国がやった隠蔽と対応の拙さについて、
その国と懇ろな関係にあるWHO関係者を除いた調査団を派遣し、
一部始終を詳細に究明するとともに、
国連決議などで、相応の賠償を求めるべきだと思うが・・・ どうだろうか?

もはや・・・ テロといっても、過言じゃないレベルにある。
個人的な意見を言っても何にもならないが、
仕方がないと思える限度、許せると思える限度を大きく超えているじゃなかろうか。


コメント    この記事についてブログを書く
« ノム(野村克也)さん逝く。 | トップ | 出羽の秘湯 鶴の湯温泉 »

コメントを投稿

時のつれづれ・如月 」カテゴリの最新記事