時のつれづれ(北多摩の爺さん)

下り坂を歩き始めたら
上り坂では見えなかったものが見えてきた。
焦らず、慌てず、少し我儘に人生は後半戦が面白い。

情報漏洩とマルハラについて

2024年03月09日 | 時のつれづれ・弥生 

多摩爺の「時のつれづれ(弥生の40)」
情報漏洩とマルハラについて

メールと違って、書き出しの挨拶などが不要で、テキストメッセージを使って、
気軽に連絡を取り合うことができるコミュニケーションツールに・・・ チャットと云うものがある。

余程の長文でなければ、やりとりの内容がスマートフォンの画面に全て表示されるし、
相手に伝わったか否かを既読という表示で確認でき、履歴を遡ることもできる便利さに加え、
スタンプや写真を使って、コミニュケーションを取ることができるので、
東日本大震災の後、急速に普及拡大し、
いまや、この国の9割程度の人々が利用しているツールも・・・ その一つだろう。

開発されてからまだ、10年そこそこのツールだが、
当初は「こりゃ、便利なものができた。」と、喜んでいたものの、
そんな思いとは裏腹に・・・ 現役時代に、私が担当していた部門では、
業務上のやりとりで、このツールは絶対に使わないようにと、キツく指示をだしていた。

その理由は二つあって、一つは開発したのはこの国の法人だが、親会社が他国にあり、
データの保存先(サーバー)や、バックアップセンターの所在地が分からなかったことと、
もう一つは、デフォルトで友達追加がオンになっていて、
電話帳データと同期されていることに、違和感というか、なにかしらの不安を感じたからだった。

現在は、どちらの不安も解消されているようだが、
当時の私は、社外秘を目にしたり、意思決定に関与する立場にあり、
情報管理には細心の注意を払う必要があり、退職したときにはマジで「ホッ。」としたぐらいだから、
情報管理における、公私の分別には神経質で・・・ 嫌みなぐらい拘りのある人間だったと思う。

開発された会社では、データの保存先を国内に移転させたり、
友達追加はデフォルトではオフにしたりで、かなりの企業努力をされたようだが、
残念なことに、昨年暮れに第三者から不正なアクセスがあり、50万超の個人情報が洩れてしまい、
今週の火曜日に、総務大臣より再発防止を求める、行政指導を受けてしまっている。

それにつけても・・・ ここまでツールが普及し、生活の一部になってしまうと、
このツールへの信頼度が高いのか、それとも無関心なのか、はたまた如何ともし難いのか、
そこんところの真意は分からないが、情報漏洩を咎める声は乏しく、
SNSが炎上することもないんだから・・・ こればっかりは不思議で堪らない。

以前この企業は、民主国家ではない他国に、システム管理を委託していたことがあり、
個人情報に30数回ものアクセスがあったことが発覚して、
大騒ぎになったはずだと思うが・・・ もう忘れてしまったのだろうか?

マイナンバーカードと健保の紐付けでは、あれほど大騒ぎしたのに、
野党はいま、政治と金の追求に力が入りすぎていて、
個人情報の扱いについては・・・ どうでも良くなったようである。

また、メディアもメディアである。
コミニュケーションツールを使ったやりとりに・・・ 中高年が句読点を付けて返信すると、
若者は威圧感を感じるので、パワーハラスメントの可能性があると云いだし、
「マルハラ」という造語まで作り上げ、ああでもない、こうでもないとの報道を繰り返している。

この国のメディアは、情報漏洩によって、企業が行政指導を受けているにも拘らず、
注意喚起を促すわけでもなく、そこそこの報道でお茶を濁して、
「。」や「、」の句読点があるの、ないのといった、話せば分かる程度の「マルハラ」の方に、
各局のMCが笑いを交えながら、時間を割いて似たような報道をしてるのである。

けっして「マルハラ」を軽んじているわけではないものの、
ひょっとしたら、私の感覚というか、価値観がズレているのかもしれないとも思ったりして、
なんか・・・ 釈然としないでいる。

だからといって、情報漏洩を起こしてしまった企業のあらを探して、
厳しく責めたてろと・・・ 言っているのではない。
悪い奴らが知恵を絞り、隙を突いてひと稼ぎしようと狙っていると思えば、
すでに慣れっこになっているかもしれないが、情報漏洩を軽く扱わないでほしいのである。

情報の重みと、ひょっとしたら起こりうるかもしれない・・・ 「もしも?」に着目すれば、
笑いを交えた話題よりも、今後起こりうる可能性への注意喚起と、再発防止にむけての提言について、
その筋の専門家に、個人でできることと、企業がやるべきことに分けて知恵だしを求め、
丁寧な報道をすべきだと思うが・・・ 如何なものだろうか?

併せて、安易に「友達追加」をすることによって、
了解を得てない人々の情報が、必要のない人々の端末を介して、
悪い奴らが狙ってることについても、いま一度丁寧に注意喚起を促すべきではなかろうか?

たかが、コミニュケーションツールかもしれないが、
されど・・・ 国民の90%超が利活用するコミニュケーションツールでもある。

昨年、グループ会社の派遣社員によって、顧客情報を流出させてしまった、
大手の通信キャリア(親会社)では、再発防止策の徹底を図った上で・・・ 幹部の首が飛んでいる。

それで良いのか、どうかまでは分からないし、
流出した情報の規模が違うと云えば、それまでだと思いもするが、
今回行政指導を受けた会社もまた、大手通信キャリアの傘下にあるはずだが、
系列会社が行政指導を受けたことには触れておらず・・・ なにかが引っかかっている。

その昔「友達の友達は、皆友達だ。」なんて、豪語していた人がいたが、
個人情報を売り買いできる、いまの時代にそんな屁理屈は通らないし、
通してはならないと思うが・・・ 如何なものだろうか?


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