時のつれづれ(北多摩の爺さん)

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満額回答に浮かれてる場合か!

2024年03月14日 | 時のつれづれ・弥生 

多摩爺の「時のつれづれ(弥生の42)」
満額回答に浮かれてる場合か!

1月の半ばから始まった春闘(賃上げ)だが・・・ いよいよ佳境に入った。
昨日、各労働組合が求めた平均5.85%以上の賃上げに対し、
大手企業から集中回答が行われ、期待を大きく上回る満額回答が出されたようだ。

歴史的な物価高への対抗と、激化する人材確保に向けて、
昨日の段階では、満額回答が相次ぎ、方向性としては明るいようだが、
課題はこれから見えてくるであろう、この国の労働者の約70%にあたる中小企業の賃上げに、
大手からつながる、賃上げの勢いが続くか否かだろう。

中小企業の多くは、町中の小売り店やサービス業などの、
最終の取引先(消費者など)が自前で確保されている、自立型の店舗を除けば、
基本的に大手の下請けや、孫請けになっている企業が多いことから、
納品価格に賃上げの原資分が転嫁されなければ、賃上げそのものが厳しくなるのは必然である。

だれが、そのチェック(適正な価格への転嫁)をするのかだが、
公正取引委員会が・・・ 良い仕事をしているようだ。

大手の自動車製造メーカーや、外資系のホールセールクラブ(倉庫型卸売・小売)がやっていた、
下請け泣かせに是正勧告をだし、大手の食品油メーカー4社にカルテルの疑いで立入検査し、
独占禁止法違反の調査を始めているようであり、
下請法や、独占禁止法などに違反があるなら、ぜひとも辣腕をふるって欲しいと願ってやまない。

そんなところに、30万円だった初任給を40万円する会社があるとのニュースがあった。
いまから約半世紀前、私が社会人になった昭和48年に、勤めた会社の初任給は、
いまでもハッキリ覚えているが・・・ 高卒で42,100円だった。

事業の第一線を退いた55歳のときには、月給でも年収でも約20倍を稼いでいたので、
自分で自分を褒めてやりたいぐらい、凄く頑張ったとは思うが、
今年の新卒者は・・・ 私が40年弱かけて辿りついた給与の半分からスタートできるんだから、
羨ましいというより「なんじゃ、こりゃぁ」で・・・ 驚きを隠せなかった。

私の務めた会社では、管理職は55歳で早期退職し、20%カットされてグループ会社に行き、
60歳でさらに20%カットされ、63歳では年金生活の慣らし運転ぐらいまで大幅にカットされ、
その後は、65歳で完全にリタイアだから・・・ 興味本位で恐縮だが、
40万円の給与で、社会人をスタートできる新卒者たちの到達点が、ちょっと気になってしまった。

ということで・・・ ネットを検索していたら、
初任給40万円には、固定の残業代として80時間分の172,000円と、
固定の交通費が含まれているというから、表現は適切じゃないかもしれないが、
「ひょっとして・・・ ブラック?」なんて思いが、なんとなく脳裏を過っていた。

80時間の残業については、能率の問題であって義務づけられてるとは思わないものの、
80時間分の残業代っていうことは、週休二日なら1ヶ月の勤務は約20日だから、
1日当り4時間は毎日残業することが、暗に求められているようで、
なに気にプレッシャーを感じてしまうが・・・ 如何なものだろうか?

また、固定の交通費がいくらなのか、その記載はなかったが、
交通費という表記が間違いではないものの、通勤費は手当なので人件費と支給することが正しく、
給与に整理することは問題ではないが、居住地を考慮せず固定給にしてしまうと、
家賃を抑えるため郊外から通えば、通勤時間と交通費が負担増になるし、
職場(都心部)の近くに住めば、今度は家賃が負担増になることから、
通勤費と家賃がトレードオフの関係にあり、個人的には通勤費だけは実費であってほしいと思う。

まっ、給与は就職先の選択条件の一つではあるはずだが、
就職先を選ぶ「いの一番」は、第一感は・・・ なにを仕事にしたいかであって、
給与や休暇などの待遇は、おそらく二番目になると思うが、
残業時間や、家賃、通勤費は、生活を形成する上でとっても大事なことになるので、
年寄りがチャチャ入れることでないとは思うものの・・・ 熟慮することをお薦めしたい。

話しが随分横道に逸れてしまったが、
今日から始まる予定の、中小企業の賃上げの回答に注目したいと思う。

全てが全て、納得する結果になるとは思えないが、
この国の70%の労働者が、毎日汗を掻き、精を出してる中小企業が、
賃上げを出来るか、否かの局面に来てるというのに、
この期に及んで尚、野党から後方支援をするような声が、聞こえてこないのはなぜだろう?

声を発し、サポートしているのかもしれないが、
メディアが注目し、報道するような春闘(賃上げ)関連の質疑を行ってきたのだろうか?
メディアが真面に取り上げてないと云うことは、
厳しいようだが、その程度の質疑だったということになるのではなかろうか?

昨日、総理は経済界や労働組合の代表者と意見交換する・・・ 「政労使会議」の場で、
価格転嫁に応じない企業(元請け)については、今月中に企業名を公表すると発言している。
支持率が上がらないなかでも、けっこう良い仕事していることに、
もっと着目し、情報発信すべきだと思うが・・・ メディアの対応は、それで良いのだろうか?

また本来は、そういったサポートをするのは、労働組合から支援を受けた野党の仕事で、
国会で要求し、促す役割だと思うが、残念ながら野党の影すら見えていない。
いったい・・・ なにやってんだろうか?

奇しくも、参議院で政倫審が行われるその日から、
大手の集中回答を受けた中小企業が、順次賃上げの回答をだすようである。
政倫審の想定される答弁に、怒りの声を挙げることは、とっても大事だと思いもするが、
同じぐらいの熱量で、賃上げや働き方改革を語り、議論を交わしてほしいと願ってやまない。

今年の春闘が、成功だったのか、失敗だったのか、
それとも・・・ またまた、課題を先送りしてしまったのか?
その答えは、価格転嫁に応じない企業の公表を含め、これから順次分かってくるだろう。

昨日の大手企業の満額回答は、まずは良いスタートが切れたと捉えるべきで、
本番はこれからであり、浮かれてる場合じゃないと思うが・・・ 如何なものだろうか?


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6 コメント

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Unknown (sekichan48)
2024-03-14 08:14:06
大企業がこぞって満額回答は素晴らしいですね。中小企業や弱小企業の経営者様にも頑張って奮発して貰いたい限りです!
Unknown (hama7853)
2024-03-14 08:37:06
おはようございます

昨日は、大手企業の満額回答が出ましたね
中小企業が多い日本
下請け、孫請けにも頑張ってほしい所ですが
悪い影響が無いといいんですが
大手にも下請けを大事にしてほしいですね
おはようございます。 (Jiro)
2024-03-14 11:08:29
難しい問題だと思いますがどうなんでしょうか?
大企業の内部留保が社内に貢献ですが、中小の
ノルマと成果?この方程式は上手くいくのでしょうか?
人間を削って給料UP?過酷な未来?心配です。
Unknown (多摩爺)
2024-03-14 13:48:46
sekichan48さん、こんにちは

朝から外出していて、返信が遅くなり申し訳ございませんでした。
仰るとおりで、今年が中小企業を含めた賃上げのターニングポイントになれば良いですね。
Unknown (多摩爺)
2024-03-14 13:54:13
hama7853さん、こんにちは

朝から外出していて、返信が遅くなり申し訳ございませんでした。
大企業は、自分たちだけではビジネスが成り立たないことを・・・ もっと、もっと、もっと自覚すべきです。
総理が発した「価格転嫁に応じない企業について今月中に公表する。」とのコメントに期待したいと思います。
満点は無理としても、合格点が取れる春闘であれば嬉しいですね。
Unknown (多摩爺)
2024-03-14 14:00:57
Jiroさん、こんにちは

朝から外出していて、返信が遅くなり申し訳ございませんでした。
内部留保はいくらあっても非現金ですから、資金繰りの方が心配で、
ゼロ金利政策にストップがかかれば、賃上げどころじゃなくなる企業が出てくるので、
価格転嫁もさることながら、日銀がキャスチングボートを握ってるかもしれませんね。
また、人は削られる前に逃げてしまうので、人材確保のために、賃上げは必須だと思っています。

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