武弘・Takehiroの部屋

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太宰治 VS 三島由紀夫(未完)

2024年05月10日 14時32分05秒 | 芸術・文化・教育

<昭和の人気作家・太宰治と三島由紀夫について、思いつくままに自由に論じていきたいと思う。ただし、私は文芸評論家でもないし、両氏の著作を全て詳しく読んだわけでもない。したがって、素人の論評ということでお許し願いたい。2021年9月12日>

最近、2年前の映画『人間失格・太宰治と3人の女たち』をDVDで見た。この中でけっこう面白かったのが、若い作家の三島由紀夫(高良健吾役)が太宰(小栗旬役)を激しく罵倒するシーンだった。
三島がある会合の席で太宰を面罵したことは聞いていたが、映画ではなかなか迫力があった。実際はどうだったか知らないが、要約すると三島のセリフはこんなものだ。
「僕は太宰さんの文学が嫌いです。やたらと死を臭わせる弱々しい文学が・・・
死の臭いでどれだけ客の気を引いても、みんな あなたがどうくたばるかにしか興味を持ちません。あなたは文学を見世物小屋の興行にしてしまった。
本当に客の前で死んでみせる覚悟はあるんですか?」
すると太宰は、みずからの首を締め上げてその場に倒れ込んでしまう。それを見た三島は、さらに言う。
「醜悪だ、こんなの・・・空しくはないんですか、何を書いたって誰も本当には理解しない。それが分かってて、何のために書くんですか? 最低だ、あなたは。なんでまだ生きていられるんだ!」
そう言って三島は立ち去ったが、もちろんこれはフィクション・映画の中のセリフだ。 しかし、太宰が列席者の前で、まだ若造の三島由紀夫に侮辱された事実は本当だろう。
これは1946年(昭和21年)12月のことだったが、当時、人気ナンバーワンの作家・太宰治に対し、21歳の若造の三島がよく言ったものだと思う。

さて、話が飛ぶが、1970年(昭和45年)の11月、三島由紀夫は「楯の会」のメンバーと共に自衛隊の市谷駐屯地に侵入し、バルコニーから演説して自衛隊の決起を促したあと、割腹自殺を遂げた。有名な「三島由紀夫事件」である。
そのころ、私は某テレビ局の政治部記者をしていたが、2年先輩の記者で大の“太宰ファン”であるKさんが、事件直後に次のように言い放った。
「あの馬鹿がとうとう自殺したな、ざま~見ろ!」
Kさんはまるで勝ち誇ったようにそう叫んだ。私は少々 唖然としたが、太宰ファンであれば多くの人がそう感じたかもしれない。それほど、太宰が三島に侮辱されたことを根深く思っていたのだろう。 (未完)


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