武弘・Takehiroの部屋

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ムハンマド(マホメット)を讃美した大詩人・ゲーテ

2024年06月02日 04時43分04秒 | 偉大な作家、人物

<以下の記事を一部修正して復刻します>

ゲーテ

ヨーロッパ人が最も敬愛する文学者と言えば、ドイツの大詩人であるゲーテもその1人だろう。イギリスのシェークスピアと並ぶ文豪と言ってよい。私もゲーテは大好きだが、彼はペルシャやアラビアなどにも深い造詣を持っていた。 晩年の有名な『西東(せいとう)詩集』は、「ヘジラ」と言って、ムハンマドが信者たちを連れてメッカからメジナへ移住したことをモチーフにしている。
このようにゲーテはムハンマドから強い影響を受けているが、それは彼が23歳の時に作った『マホメットの歌』という詩を読めば明らかである。若い時からゲーテはムハンマドに傾倒していた。『コーラン』も繰り返し読んだという。この詩はムハンマドの一生を讃えたもので、その壮大で英雄的な内容は、正に“疾風怒涛”の天才詩人にふさわしい作品となっている。
つい先日、フランスのパリでイスラム過激派によると見られる銃撃テロが発生し、12人が射殺されるという痛ましい事件が起きた。犯人は「ムハンマドへの侮辱に復讐した」と言っているようだが、ムハンマドを題材にした風刺画が直接の原因になったらしい。それは別にして、ヨーロッパでもゲーテのようにムハンマドを讃美した詩人がいるのだ。そのことを分かって欲しい。
そこでゲーテの詩を以下に紹介するが、あまりに長いのでその一部を掲載したい。 なお、詩の訳文は、人文書院が発行した「ゲーテ全集」の第一巻より、故高安国世(たかやす くによ)氏によるものである。

『マホメットの歌』(Mahomets Gesang)

『見よ 岩間の泉を よろこびに明るく 星の輝きに似て 雲の上高く よき霊たちが 繁みのなか 岩のあいだ 幼い彼をはぐくんだ
 若人の姿りりしく 雲間から大理石の岩床に躍りくだり 天空をふり返って 歓呼の声をあげる
 峯の道に 色とりどりの小石を押し流し いち早く先達の足どりに 兄弟の泉々を 道すがら統(す)べ集める
                     《中略》

 「きたれ 汝らすべて!」 かくていよいよ彼の 偉容は増し 種族こぞって 王者を高く担い上げる 滔々たる勝利の行進に 国々は彼の名を受け 町々は 彼の足下に生れやまぬ
 とどめがたい勢で彼は進み続ける むらがる塔の焔の頂き 大理石まばゆい家々を 彼のありあまる力の創造を あとにする
 無数の船を このアトラスは 巨大な肩に担い 彼の頭上には 数千の旗が風にはためき 彼の偉業を証(あかし)する 
 かくて彼は 兄弟らを 愛人を 子供らを よろこびに高鳴りつつ 待ち迎える創造者の胸へと連れもどす』

以上がゲーテの詩だが、キリスト教徒でもイスラム教徒でも、相手のキリストやムハンマドを尊重していけば、悲惨なテロ事件は起きるはずがない。表現の自由、言論の自由も大切だが、お互いの宗教・信仰にもっと理解を深めようではないか。


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