現実逃避妄想
ルルーシュinワンダーランド/その9>
「も・・・だめだ」
がくりとルルーシュはその場にへたり込んでしまった。
白騎士とチェシャ猫の魔の手から逃れるため、全力疾走(※ルルーシュ比)で、かつてない距離を走った(※※同じく。
但し他者には苦笑いされるだろう)。
「一体・・・何なんだ、ここは」
息を整えようと、近くの木にもたれかかる。ついでに頭の中を整理したかった。
「学校でナナリー(に似たウサギ?)を追いかけて、穴に落ちたんだよな?」
(政庁にいるはずのナナリーもそうだが、何故そこに穴があったのかが分からない)
「それから落ちたところが、森の中にあるソファーの上で・・・」
(穴に落ちたのに森の中って・・・ますますわからん)
「そして、猫のスザクに会って・・・」
(・・・・・・)
「あんな変態猫!スザクであるか!」
ヤツの所業を思い出し、頭に血が上って思わず怒鳴り声を上げたのだが、慌てて自分の手で口を塞いだ。
せっかく逃げてきたのに見つかったら元の木阿弥だ。今度は何をされるか、分かったものじゃない。
ぶるっと身震いして、自分の体を抱きしめた。
「そして、カレンそっくりの白い騎士か」
(あいつも大概おかしなやつだった)
げんなりと首が垂れる。
「しかし・・・一番おかしいのは俺だ・・・よな」
本当は、確認したくもないのだが。一体これはどういう事だろうか?
水色のワンピースに白のエプロン。
ドレスの下にはフリルがふんだんにあしらわれた純白のペチコートと、縁取りにレースがついているニーソックス。
それから、スザクもどきのチェシャ猫に奪われた、白の・・・・カボチャパンツ。
お陰で下半身がすーすーして、落ちつかないといったら!。
スカートを押さえながら、情けないのと腹が立つのとで目頭が熱くなる。
「まったく!昨日はこんなことになるとは夢にも思ってなかった!」
昨日もスザクのせいで、手痛い目にあったが。
「ひどいんです。聞いてくださいよ、殿下!」
「何だ、ジノ。どうした?」
「昨日、ルルーシュ殿下が私たちのラウンジにカレーを差し入れてくれたでしょう?」
「ああ、父上に所望されて昼食に作ると言ったらスザクにしつこくねだられてな。ついでだからラウンズの分も作ったん
だが。それがどうした?」
「スザクのヤツ、私に連絡くれなかったんです!」
「だから、うっかり忘れてたって言っただろ」
「嘘だ!この間もオコノミヤキとやらを作ってくれたときもそう言っていた!」
「だから、ごめんって。それに昨日はジノも食べられたじゃないか」
「ああ、一皿だけな!」
「スザクは4杯も食べた。私もみんなもおかわりした。すごくおいしかった」
「そうか?ありがとう、アーニャ」
「私だっておかわりしたかったのに!」
「まったく、名門ヴァンベルグ家の人間の言葉とは思えないな。意地汚い」
「4皿も食べたお前に言われたくない!」
「スザク、自分がいっぱい食べたいから、わざとジノに連絡しない」
「そうなのか?スザク」
「ち、ちがうよ。アーニャもそんな事言わないでよ」
「ルルーシュ様ぁ。スザクが私に意地悪するんです」
「貴族が食べ物のことで泣くなよ。みっともないな」
「ナイトオブスリーの名前が泣く」
「ひどいっ二人とも!」
「スザクもアーニャもそれくらいにしてやれ。ジノも男がめそめそするな。今度から俺が連絡してやるから」
「本当に!?絶対ですよ、殿下」
「甘えやかしちゃダメだよ。ルル」
「ジノだけずるい」
「わかったわかった。じゃあ、アーニャにもだ」
頭の中で、映像がパンッと弾けた。
「・・・っ!!」
もたれかかっていた背中がずるりとすべる。いやな汗が額から首へと伝っていく。
そうだ。あれは昨日、シュナイゼル兄上の執務室に行く途中、ジノに呼び止められて。
「違う・・・っ。俺は・・・っ」
耳を塞ぐように頭を抱え、ふるふると打ち振るった。
ゼロ。ブリタニアに反逆するテロリスト集団『黒の騎士団』のリーダー、ゼロだ。
<違ウ><ソウジャナイ>
「違う!俺は・・・っ、俺は!」
頭の中で響く声を、首を振って否定する。だけど、でも。
自分の中で、もう一人の己がそれをまた否定してくる。
「う・・・」
ぎゅうっと膝を抱え、その中に頭をうずめた。
怖い。一体自分はどうしたんだ?何が正しい?
昨日まで当たり前にあった事が、足元から崩れていくような感覚に恐怖を感じた。
「ナナリー、教えてくれ。俺は・・・どうなったんだ?」
言いようのない不安に駆られ、助けを求めるように最愛の妹の名を呼んだ。
そうだ、ナナリー。
このおかしな現象は、あのナナリーから始まった。
ナナリーに会えば、全てはっきりする。
根拠はない。だが、答えはナナリーが持っていると、そう直感した。
「ナナリーを探そう」
ルルーシュは意を決し、立ち上がった。すると。
「人の・・・話し声?」
と、言うか騒ぎ声のようだが。しかもなにやら楽しげだ。こんな森の奥で、何をやっているんだろう?
ルルーシュは誘われるように歩き出した。
続く>
お茶会まで行きませんでした。すみません
ルルーシュinワンダーランド/その9>
「も・・・だめだ」
がくりとルルーシュはその場にへたり込んでしまった。
白騎士とチェシャ猫の魔の手から逃れるため、全力疾走(※ルルーシュ比)で、かつてない距離を走った(※※同じく。
但し他者には苦笑いされるだろう)。
「一体・・・何なんだ、ここは」
息を整えようと、近くの木にもたれかかる。ついでに頭の中を整理したかった。
「学校でナナリー(に似たウサギ?)を追いかけて、穴に落ちたんだよな?」
(政庁にいるはずのナナリーもそうだが、何故そこに穴があったのかが分からない)
「それから落ちたところが、森の中にあるソファーの上で・・・」
(穴に落ちたのに森の中って・・・ますますわからん)
「そして、猫のスザクに会って・・・」
(・・・・・・)
「あんな変態猫!スザクであるか!」
ヤツの所業を思い出し、頭に血が上って思わず怒鳴り声を上げたのだが、慌てて自分の手で口を塞いだ。
せっかく逃げてきたのに見つかったら元の木阿弥だ。今度は何をされるか、分かったものじゃない。
ぶるっと身震いして、自分の体を抱きしめた。
「そして、カレンそっくりの白い騎士か」
(あいつも大概おかしなやつだった)
げんなりと首が垂れる。
「しかし・・・一番おかしいのは俺だ・・・よな」
本当は、確認したくもないのだが。一体これはどういう事だろうか?
水色のワンピースに白のエプロン。
ドレスの下にはフリルがふんだんにあしらわれた純白のペチコートと、縁取りにレースがついているニーソックス。
それから、スザクもどきのチェシャ猫に奪われた、白の・・・・カボチャパンツ。
お陰で下半身がすーすーして、落ちつかないといったら!。
スカートを押さえながら、情けないのと腹が立つのとで目頭が熱くなる。
「まったく!昨日はこんなことになるとは夢にも思ってなかった!」
昨日もスザクのせいで、手痛い目にあったが。
「ひどいんです。聞いてくださいよ、殿下!」
「何だ、ジノ。どうした?」
「昨日、ルルーシュ殿下が私たちのラウンジにカレーを差し入れてくれたでしょう?」
「ああ、父上に所望されて昼食に作ると言ったらスザクにしつこくねだられてな。ついでだからラウンズの分も作ったん
だが。それがどうした?」
「スザクのヤツ、私に連絡くれなかったんです!」
「だから、うっかり忘れてたって言っただろ」
「嘘だ!この間もオコノミヤキとやらを作ってくれたときもそう言っていた!」
「だから、ごめんって。それに昨日はジノも食べられたじゃないか」
「ああ、一皿だけな!」
「スザクは4杯も食べた。私もみんなもおかわりした。すごくおいしかった」
「そうか?ありがとう、アーニャ」
「私だっておかわりしたかったのに!」
「まったく、名門ヴァンベルグ家の人間の言葉とは思えないな。意地汚い」
「4皿も食べたお前に言われたくない!」
「スザク、自分がいっぱい食べたいから、わざとジノに連絡しない」
「そうなのか?スザク」
「ち、ちがうよ。アーニャもそんな事言わないでよ」
「ルルーシュ様ぁ。スザクが私に意地悪するんです」
「貴族が食べ物のことで泣くなよ。みっともないな」
「ナイトオブスリーの名前が泣く」
「ひどいっ二人とも!」
「スザクもアーニャもそれくらいにしてやれ。ジノも男がめそめそするな。今度から俺が連絡してやるから」
「本当に!?絶対ですよ、殿下」
「甘えやかしちゃダメだよ。ルル」
「ジノだけずるい」
「わかったわかった。じゃあ、アーニャにもだ」
頭の中で、映像がパンッと弾けた。
「・・・っ!!」
もたれかかっていた背中がずるりとすべる。いやな汗が額から首へと伝っていく。
そうだ。あれは昨日、シュナイゼル兄上の執務室に行く途中、ジノに呼び止められて。
「違う・・・っ。俺は・・・っ」
耳を塞ぐように頭を抱え、ふるふると打ち振るった。
ゼロ。ブリタニアに反逆するテロリスト集団『黒の騎士団』のリーダー、ゼロだ。
<違ウ><ソウジャナイ>
「違う!俺は・・・っ、俺は!」
頭の中で響く声を、首を振って否定する。だけど、でも。
自分の中で、もう一人の己がそれをまた否定してくる。
「う・・・」
ぎゅうっと膝を抱え、その中に頭をうずめた。
怖い。一体自分はどうしたんだ?何が正しい?
昨日まで当たり前にあった事が、足元から崩れていくような感覚に恐怖を感じた。
「ナナリー、教えてくれ。俺は・・・どうなったんだ?」
言いようのない不安に駆られ、助けを求めるように最愛の妹の名を呼んだ。
そうだ、ナナリー。
このおかしな現象は、あのナナリーから始まった。
ナナリーに会えば、全てはっきりする。
根拠はない。だが、答えはナナリーが持っていると、そう直感した。
「ナナリーを探そう」
ルルーシュは意を決し、立ち上がった。すると。
「人の・・・話し声?」
と、言うか騒ぎ声のようだが。しかもなにやら楽しげだ。こんな森の奥で、何をやっているんだろう?
ルルーシュは誘われるように歩き出した。
続く>
お茶会まで行きませんでした。すみません