発達障害・知的障害の生徒様の個性と可能性を伸ばす

322.日常の言語~

322.日常の言語~

「知的障害児者、発達障害児者 個性と可能性を伸ばす!」: 造形リトミック教育研究所

(つづき)「百聞は一見にしかず」、日常で実際のものや場に直面して「言葉」を経験するメリットについてきのうお話ししました。ちょうどその日、ひとりの講師が言っていました、

・・・国語のテキストで「いろいろな鉄道」について読んでいるので、そこに出てくる路面電車や地下鉄、貨物列車を「実際に見に行ってください」って、みんなに言っているんです。するとどの親御さんも、「はい、行ってきます!」と答えてくれるんです!・・・

 いいですね。そういうことなんです。テキストで、
「路面電車は、道路の上の線路を走っています」と読んでも、リアルに読み取り、感じ取れる生徒さんは少ないでしょう。
「路面電車は、自動車のように信号で止ります」、「本当だ!」とテキストの言葉を実際に体験してきてください。

 電車は電車でも一両の電車、路面電車の速度、振動、音、匂い、感触、形態、デザイン、道路の上の線路・・・さまざまな要素の中から、その生徒さんなりに親御さんと言葉を交わしながら何かをぜひ経験してきてもらいたいものです。

・・・ホームで貨物列車が通過したら、「これが、貨物列車!」と”その場で”教えてあげてください!とも言ったんです・・・

 そうですね、まさにその場で教えてあげてください。「金太郎」「桃太郎」の名にふさわしく、先頭の電気機関車が十何両もの貨車を力強く引っ張っていきます。私たちも、圧倒されます。その感動を伴って「これが、貨物列車!」、と教えてあげてください。

 さて、日常における言語トレーニングのメリットは、こんなところに求められます、として
・日常はまさに実際の場であるので、具体的なものや状況と言語が直結しています。
・日常はまさに実際の場であるので、話し手にも聞き手にも感情が伴います、までお話してきました。

最後にその3つめです。
・日常はまさに実際の場であるので、ダイナミックな言葉の働きを感じ取ることができます。

 先の電車たちのように、対象のダイナミックさがまずあります。それに加え、日常にはその場にいる人たちの関わりのダイナミックさがあります。言葉のやり取りの中に身をおいて、雰囲気や臨場感を味わい、吸収することができます。

 言語教育にとっては、幼稚園や保育園、学校での統合教育はお勧めです。言葉のダイナミズムがあるからです。しかも子どもの声は直截的で、表現はストレートで端的です。

 あちらからもこちらからも元気な声、あちらではけんか、こちらでは泣いている声、先生の声と友達の声、先生の言葉がけに対する子ども達の声・・・。たとえ自分からの言葉がまだ出ていなくても、クラスでの全体の言葉の流れが、言葉を生み出し発しさせる”感情の動き”を起こさせます。

「今日のプールは中止でーす」「えー!」「どうしてー?」
「雨が降ってきたからね」「やだー」「はいりたーい」・・・というような、ごく自然な言葉のやり取り。そんな中で気持ちは、この全体の言葉の波に乗るように動き出します。この気持ちの動きは、まだ言語にはならずとも言葉の発芽と言っていいものです。

 教室やご家庭の「学習の場での言葉」と「日常での言葉のやりとり」、言語トレーニングとして何れにもそれぞれに貴重な要素があります。ですから、何れの場も大切にしていきましょう。両者に共通に言えることは、言葉とは、人と人との関わりにおいてじっくりていねいに「育てていくもの」だと言うことです。
 

造形リトミック教育研究所
>>ホームページ http://www.zoukei-rythmique.jp/
>>お問い合せメール info@zoukei-rythmique.jp

なかのひと
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