大阪本町の問屋街。アヤ子は浅井産業事務所で机をならべる西村進と婚約の仲だが、気の弱いうえ、病苦の母を抱えて借金に悩む進は、新家庭を持つこともできず、安ホテルで愛情をたしかめ合うのが精一杯であった。貧民街のアヤ子の家では、ヤクザの弟建二が勤め先の品物に手をつけたばかりに、穴埋めのため父の準造が勤務先の二十万円を費消、矢のような催促をうけている。準造は朝からヤケ酒を呑み、アヤ子や幸子と口論の絶え間がない。こんな時、アヤ子の頭に浮かんだのは、浅井社長が妻すみの眼をかすめてアヤ子に預けていたヘソクリだ。浅井に無断で二十万円を借金の支払いに回わしてしまったアヤ子は、浅井にすべてを打ち明けた。「気にしいな」と、浅井はみずみずしいアヤ子の体を抱きしめた。
日本映画専門チャンネル ★★★☆
1962年公開の映画です。主演は団玲子。昭和30年代もしくは1960年代の東宝の看板スターの一人であった団玲子の主演の映画って初めて見ました(笑)
これがね・・・可愛いんだなぁ(笑)当時の共演者たちからは「あんぱん」なんてあだ名で呼ばれていたらしいけど、私の好きなタヌキ顔でコケティッシュなんですね。
この映画は往年の名作溝口健二監督作「浪華悲歌(なにわえれじー)」(1936)のほぼリメイクですが、山田五十鈴主演のオリジナルはまだ未見なのが残念です。物語は単純明快で、ヤクザの弟建二が勤め先の品物に手をつけたばかりに、穴埋めのため父(藤原鎌足)の準造が勤務先の二十万円を使い、なんとかその借金を返そうとして恋人(川崎敬三)とも別れ、勤め先の社長(小沢栄太郎)の二号さんにおさまったのはいいけれど、奥さんにバレて、次の金蔓を株屋のオヤジに・・・って話です。
懐かしい顔がみんな若いんです(笑)あたりまえですね、50年以上も昔の作品です。ヒロインの弟役に勝呂誉、妹役に当時まだ宝塚に入団したばかりの初風諄、ヒロインの友人に原知佐子、その他に藤田まことに茶川一郎、赤木春恵なんかも出ています。
そしてなんといっても1961年(昭和36年)の大阪の風景が泣かせます。梅田界隈、なんば界隈、西淀川区や此花区あたりの下町。高架工事中の国道43号線。めちゃ狭い大阪球場。ヒロインが務める船場あたりの生地問屋界隈。
そしてなんといっても白砂青松の浜寺海水浴場(今調べたら、この映画の撮影前には海水浴場は閉鎖されたみたい。どうみても浜寺なんだけど)海はめちゃ綺麗なんだけど、この数年後には埋め立てが始まるんですね。
20万というお金・・・大学生の初任給が15000円位の時代なので、おそらく貨幣価値で言えば10倍どころの騒ぎではないのでしょうが、この映画の中では100万円くらいの雰囲気を感じました。
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