ビデオが普及し始めた1980年代。若松孝二は時代に逆行するように名古屋にミニシアター“シネマスコーレ”を作ってしまう。そして、結婚を機に東京の文芸坐を辞め、地元名古屋に戻ってビデオカメラのセールスマンをしていた木全純治をいきなり支配人に抜擢する。こうして若松にさんざん振り回される木全だったが、経済的苦境も持ち前の明るさで、どこか楽しげに乗り切っていく。そんなシネマスコーレには、映画監督を目指す金本法子や田舎の映画青年だった井上淳一といったまだ何者でもない若者たちが吸い寄せられるように集まってくるのだったが…。
WOWOW ★★★★
2018年に公開された「止められるか、俺たちを」の10年後を描いた続編です。主人公の井上くんは1965年生で、後々にはこの映画の監督でもある井上淳一となるわけですが、2012年に亡くなった映画監督の若松孝二が設立した若松プロダクション出身で、前作ともども、この2もほぼほぼ実話です。若まちプロ出身の映画関係者は現状みんなすごい活躍で、一番の出世頭は前作を監督した白石和彌かと思われます。
さて、前作が1960年代後半から1970年代前半の話ということもあって、学生運動や日本赤軍、パレスチナ問題など若松監督&若松プロダクションも巻き込まれていく時代(巻き込まれていくと言うよりも、自らが当時の文化の中心にいたって感じですが)だったのに比べて、たった10年で日本の世の中がこうも変わってしまうのかという感じがひしひしと伝わります。私は1979年に大学に入学しましたが、すでに学生運動など殆どなかったし、この映画の舞台の1983年には私も大学を卒業し・・・って、もう40年以上も昔の話ですが。
現在もある名古屋のシネマスコーレという50席ほどのミニシアターは若松監督自身が作った映画館ですが、このミニシアターを取り巻く「映画好き」っていうか「映画キ◯ガイ」たちの青春群像劇です。
いいなぁ・・・こういうミニシアター(笑)我が区にも「第七藝術劇場」という十三シネマ→サンポード・アップルシアター→第七藝術劇場と名前や運営状態を変えながら、間に何回かの休館をへて50年の歴史を飾る100席ほどの映画館がありますが、もう何年も行ってませんが。
映画好きにはたまらない作品ですし、若松監督の人柄や若松プロダクションの面白さ、現在は邦画をリードする映画製作者をたくさん輩出しているという事実を楽しめる作品です。
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