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真夜中の「トイレ」で命を失わない…2月は寒冷ストレスが蓄積

今季最強の寒波がやってきた。屋外では大雪や路面凍結などのトラブルで大騒ぎだが、屋内での病気発症や事故にも気をつけたい。寒冷ストレスが蓄積している2月は、ちょっとしたアクシデントが大ごととなる。とくに睡眠途中に便意を催すことの多い中高年にとって寒い夜中のトイレは要注意だ。相武台脳神経外科(神奈川県相模原市)の加藤貴弘院長に聞いた。
「夜中のトイレは足元の悪い中、寝ぼけ眼で歩くわけで当然転倒の心配がありますが、冬の夜トイレで注意したいのは、脳内出血、脳梗塞、くも膜下出血、心筋梗塞といった血管の病気です。布団の中はおおよそ30度、冬の室温は10度程度、トイレはそれ以下のケースが多い。布団から出てトイレに向かう間の急激な温度変化は血圧の大きな変化を招く。結果、脳や心臓の血管を詰まらせたり、脳の血管が破れて出血する場合があるのです」
血圧が高い高齢者は尿意を感じたからといってすぐに起き上がってはいけない。布団の中で「いま、トイレに行って大丈夫か」と自分の体に問いかけしたり、少し体を動かした後にゆっくり立ち上がるといい、と加藤院長は言う。
「血圧の高い人は、冬と夏の血圧差が10㎜Hgある人も多く、なかには20〜30㎜Hgも違う場合もあります。ところが、自分は血圧コントロールができていると勝手に思い込んでいる人は少なくありません。私は自身の体調を医師や家庭用血圧計などの検査数値など、他人任せ、機械任せにして安心するのは間違いだと思います。医師や検査機器が正常を示していても、『なんだかいつもと違う』と感じることはあるものです。自分の体調は自分にしかわからない。リスクの高い冬の夜中は動き出す前に『いま動いて大丈夫か』などと体調について自問自答することが大切だと思います」
そもそも寝ている人が起き上がって体を動かすには脳は大量の血液を必要とする。加齢などで動脈硬化が進んで血液が流れにくい人は、急に立ち上がると血液の供給が間に合わず、立ちくらみや転倒を起こす。
■排尿失神にも要注意
夜中にトイレに行く場合は、ガウンなどを羽織り、スリッパを履くなどして暖かい格好をすることだ。
「トイレでは強くいきんではいけません。軽くいきむだけで最大血圧は60〜70㎜Hg上昇するといわれています。ところが活動量が減り腸の動きが衰える中高年の多くは便秘がちで、なんとか排便しようとさらに強くいきもうとする。そうなれば血管にさらなる負担がかかり、最大血圧はさらに上昇し、脳卒中や心筋梗塞を発症しやすくなります」
実際、便秘の人はそうでない人に比べてこれらの病気を発症しやすいことがわかっている。突然死全体のうち5%は、高齢者のトイレでの脳卒中や心筋梗塞が占めるといわれ、心疾患による突然死の約8%がトイレでの排便中に起きている。
大事なことは日頃から便秘にならないよう、白菜など食物繊維の多い野菜、納豆やヨーグルトといった発酵食品を意識して取り、お通じを良くするよう努めることだ。
トイレでは排尿失神にも注意したい。
「おしっこをぎりぎりまで我慢していると血圧は上昇します。その状態で排尿すると血圧が一気に下がり、脳への血流が乏しくなって意識を失ってしまうのです。立位で排尿する男性に多く、中高年の過労で自律神経が弱っている人、お酒の利尿作用で頻繁に排尿に行く人、高血圧の人などは注意が必要です」
排尿失神自体は脳血管疾患や心血管疾患とは異なり、時間が経てば回復する。が、怖いのは夜中のトイレで意識を失い、排尿失神による転倒で頭などを強く打ち、脳振とう、脳挫傷、急性硬膜外血腫などが起きた場合だ。
「排尿失神が起きたときのダメージを小さくするため、男性も座って排尿するよう心がけましょう」
※ 2025/02/08 09:26 日刊ゲンダイDIGITAL
の掲載記事から引用しました。参考になれば幸いです。
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