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統一教会名称変更の経緯と政治家の関係 

自民総務会長が発言「何でこんな騒いでるのか」「正直、何が問題か分からない」……後に釈明 自民議員との接点続々
2022/07/30 12:53 日テレNEWS

“統一教会”と政治家の接点に、厳しい目が向けられています。名称の変更では当時の文部科学大臣へ異例の事前報告があり、疑問の声が上がっています。自民総務会長は会見で「何でこんな騒ぐのか」「何が問題か分からない」と話し、後に釈明を行う事態も…。

文化庁が承認…“統一教会”名称変更


文化庁が承認…“統一教会”名称変更

2015年、いわゆる“統一教会”が文化庁の承認を受け、「世界平和統一家庭連合」へ名称を変更しました。イベントで徳野英治会長(当時)は「本日、この日本におきましても『家庭連合』としての新しい出発ができることとなりましたー!」と声を張り上げました。

多額の献金や霊感商法などが社会問題化していた教団の、「正体隠し」との批判も上がっています。

当時の文部科学相は自民党・安倍派の下村博文議員でした。21日、名称変更に関わったかどうかを記者から問われ、「全く関わっていません」と関与を否定しました。

野党が変更の経緯について文化庁に情報開示請求をしましたが、変更理由の欄は黒塗りされていました。共産党の宮本徹議員は「なぜ名称を変更したのかという理由の所は真っ黒で…」と言います。教団が提出した文書については全体が黒塗り。当時、何が起きていたのでしょうか?

文化庁担当者、下村氏へ「事前報告」


文化庁担当者、下村氏へ「事前報告」

かつて文化庁の文化部長だった寺脇研さんは「(この時の手順は)いわゆる異例なことですよね。普通の場合は(大臣にまで報告を)上げないのが当たり前ですから」と指摘し、自身の経験から、変更プロセスに疑問を呈しました。

下村氏の説明によると、当時“統一教会”からの名称変更の申請を受けた文化庁の担当者が、下村氏に事前に報告。その後、最終決定者である文化部長が変更を了承し、再び下村氏に報告があったといいます。

4年間、部長を務めた寺脇さんによると、異例なのは「事前報告」です。事前に大臣にまで報告するような案件は在任中、一度もなかったといいます。なぜ、このようなことが起こったのでしょうか?

文化庁「大臣に事前に話すことない」


文化庁「大臣に事前に話すことない」

寺脇さん

「例えば、大臣と関係の深い団体だということであれば報告するでしょうね。特に申請者の側が『うちは大臣とも深い関係でして』って言われたら、それはやはり報告しますよね」

「(下村氏は)行政の手続きとして関与はしていないんでしょうけど、一般論として関与しているわけですよね」

名称の変更に、下村氏の存在が影響した可能性を指摘します。

名称変更に携わる文化庁の宗務課も、日本テレビの取材に「大臣に事前に話すことは基本的にはない」と答えました。末松文科相は29日の会見で「現時点では特定の政治家からの働きかけがあったものではないと聞いてございます」と述べました。

念願の名称変更…盛大な「記念大会」


念願の名称変更…盛大な「記念大会」

創始者の文鮮明(ムン・ソンミョン)氏がかねて願っていたという名称変更を叶え、教団は新たな名称を祝う、盛大な「出帆記念大会」を2015年に催しました。

当時の映像では、音楽に合わせてステージ上で大勢が踊り、「会場総立ちとなって家庭連合時代の出発を決意する場となりました」とナレーションが入っていました。

徳野会長(当時)は「真のお母様が宣言された、この真のお父様への誓いの心情を私たちが相続し、未来への希望あふれる新しい出発をしていこうではありませんかー!」と呼びかけ。教団の友好団体会長は「世界平和統一家庭連合、出帆、大勝利!」と宣言しました。

教団は、名称変更が正体を隠すためではないかとの批判について、「事実無根で的外れな臆測」だと反論しています。

元文科政務官が「マザームーン」連呼


元文科政務官が「マザームーン」連呼

教団の名称が変更された2015年に、当時の下村文科相のもとで政務官を務めていたのが、自民党の山本朋広議員です。

2017年にあった教団のイベントで、山本氏は韓鶴子(ハン・ハクチャ)総裁を「マザームーン」と連呼していました。

山本朋広議員(2017年)

「本日は母の日ということで、マザームーン(韓鶴子総裁)にカーネーションの花束をプレゼントさせていただきました」

「皆様からマザームーンに対しての感謝の思いがマザームーンへ伝わる」

29日午前、山本氏がカメラの前に姿を現すと…。

スマホを耳に当て、大勢の記者が待つ中へと歩き始めました。呼びかけられても「もしもーし、もしもーし、もしもーし、もしもし? 玄関? もしもーし、もしもーし、もしもし?」とスマホを耳から離さないまま。記者が質問する隙を与えず、そのままその場を去りました。

物議…「組織的な支援」匂わせる発言


物議…「組織的な支援」匂わせる発言

山本氏をめぐり、ある発言が物議を醸しています。2017年の教団のイベントで、教団と自民党の双方が否定する、組織的な支援を受けているかのような発言をしていました。

山本朋広議員(2017年)

「本当に皆様にはわれわれ自民党に対し、大変大きなお力をいただいていますこと、改めて感謝申し上げたいと思います」。

この意味について29日午前、改めて山本氏に問いかけました。

――“統一教会”のイベントで発言した「自民党に対して大きな力をいただいている」は具体的にどういう意味?

山本氏

「きちんと事務所にご連絡いただければ、対応いたしますので」

――“統一教会”とはどういった関係?

「ごめんなさい」

――選挙で協力をもらっているなど、そういう関係は?

「…」

車に乗り込み、「事務所に連絡すればきちんと対応する」として、その場では何も答えませんでした。その後、事務所に教団との関係などについて質問状を送りましたが、29日夜の時点で回答はありませんでした。

「賛同会員」の安倍派議員、今後は?


「賛同会員」の安倍派議員、今後は?

今月10日に投開票された参院選で当選し、議員となった自民党・安倍派の井上義行氏は、19日にコメントを発表し、自身を教団の「賛同会員」だと明らかにしました。

多くのトラブルを抱える教団と政治家との接点に厳しい目が向けられる中、今後どうつき合っていくのか。改めて話を聞きました。

――賛同会員であったと。

「うん」

――今後も今までと変わらない形でお付き合いを続けていく?

「そうですね、はいはい。あのコメント以外ないものですから。どうもお疲れさまです」

自民幹部、会見で「何が問題なのか」


自民幹部、会見で「何が問題なのか」

政治家と教団の関係が連日取りざたされる中、自民党三役の1人、福田達夫総務会長が29日の会見で言及しました。

福田達夫総務会長

「正直、僕自身が個人的に全く関係がないので、何でこんな騒いでるのか、正直よく分からない」

「何か本当に明確にですね、わが党が組織的にある団体から強い影響を受けて、それで政治を動かしているんであれば問題かもしれませんけど、申し訳ない、僕の今の理解の範疇だと、そういうことが一切ないので」

「ただ単に信じている方の母体が“統一教会”に関するところだったというぐらいのことで、問題であるとか、自民党がそこの団体のですね影響を受けて政治を動かすというような誤解を招くようなことだけはして欲しくないなと思いますし」

「その上、お相手の方もだいぶご迷惑なのかなと正直思っております」

「正直言います。何が問題なのか僕はよく分かんないです」

夜に釈明…周辺にも「分からない」


夜に釈明…周辺にも「分からない」

しかし夜になって、自身の発言について釈明する内容のコメントを発表しました。

「本日(7月29日)の総務会長記者会見における発言につき、御説明申し上げます」

「これまでも被害者を生み出すような社会的に問題が指摘されている団体との関係が問題であることは、言うまでもありません」

「それゆえに、自分としては、そのような団体との付き合いはしておりません」

「個人として何か抜き差しならない関係になっていて、その結果、その方の政治活動に非常に大きい影響を与えているのであれば、それは問題と思います」

「一部から御質問をいただいているような、そのような団体との付き合いについて『何が問題か分からない』という趣旨の発言ではございません」

福田氏は周辺に、「自分は“統一教会”と関係ないので、何が問題になっているのか分からない」などと説明しています。

(7月29日『news zero』より)

「選挙のため」旧統一教会と関係、集会に祝電も「何もしなければ敵に回してしまう」
2022/07/30 07:19 (読売新聞)

 安倍晋三・元首相が銃撃されて死亡した事件の後、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と政治家の関係に注目が集まっている。多くの政治家が選挙で応援を受けるなどしているが、過去に「霊感商法」などが社会問題化した宗教団体であり、関係を見直す動きも出ている。

保守系に浸透

 「選挙で個人のボランティアとして様々なお手伝いをいただいた」

 岸防衛相は29日の記者会見で、同連合との関係をそう説明した。衆院選の際、有権者に支持を求める「電話作戦」などを同連合関係者にやってもらっていたという。「当時は問題がないという判断をしていた」とする一方、「それが正しかったのか、しっかり検討していく」と述べた。

 同連合の創設者・文鮮明氏が「反共」を掲げる政治団体「国際勝共連合」を発足させたのは1968年。当時から、安倍氏と岸防衛相の祖父にあたる岸信介・元首相ら自民党を中心とする保守系の政治家と関係を築いてきたとされる。

 今回、関係が明らかになった政治家も多くは自民党の国会議員たちだ。

 末松文部科学相は2020〜21年、家庭連合関係者に政治資金パーティー券計4万円分を購入してもらった。下村博文・元文科相も16年、自身が代表を務める政党支部が関連団体から6万円の献金を受けていた。

 野党も、国民民主党の玉木代表が同連合の関連団体の元社長から16年に計3万円の寄付を受けたほか、日本維新の会の松井代表も、約20年前に関連団体の集会に出席していた。

「賛同会員」も

 なぜ、政治家たちは同連合と関係を結んできたのか。政界関係者の多くは「選挙のため」と話す。

 自民党の井上義行・参院議員は、再選を果たした7月の参院選の公示直前に同連合の「賛同会員」になっていた。自身の公約と同連合の考えが一致していたことが理由といい、秘書は取材に「選挙で支援を受けるため」と明かした。

 多くの政治家が同連合の集会に祝電を送っていたことも明らかになっている。元衆院議員は取材に「実態のよくわからない団体も多いが、集会への出席を求められた際に何もしなければ、選挙で相手を敵に回すことになる。だから祝電を打っていた」と振り返った。

 地方の首長も、同連合側から支援を受けてきた。富山県の新田八朗知事は、初当選した20年の知事選で同連合から支援を受けたことを明らかにし、「手作りの選挙運動をしており、当時の私にとってはありがたいことだった」と語った。

つながりを誇示

 一方、同連合の元信者の男性は取材に「文鮮明氏と政治家が握手する写真を何度も見せられた」と話し、同連合が政治家とのつながりを利用していたとの見方を示す。

 同連合は1980年代以降、「先祖のたたり」などと不安をあおって高額なつぼや印鑑を売りつける「霊感商法」や、見知らぬ人同士による「合同結婚式」を巡るトラブルが社会問題となっていた。

 北海道大の桜井義秀教授(宗教社会学)は「祝電を送るだけでも、団体にとっては応援のメッセージとなり、宣伝に使われる恐れもある。有権者にとって支援団体は投票先を選ぶ重要な情報であり、政治家は支援を受ける団体を明示すべきだ」と話した。

世界平和統一家庭連合=1954年に文鮮明氏が韓国で設立。平和や共生を理念に掲げ、結婚と家庭を重視する。日本では64年に宗教法人の認証を受けた。2015年に旧統一教会から現在の名称に変更した。

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