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放置すると悪臭 触ると腹痛 意外と難しい「おへその掃除」問題

健康づくり



医師の明かす「オススメのそうじ方法」
 あなたは「おへそのそうじ」をする派? それともしない派?

ずいぶん前に小欄で、「耳かき」について書いたことがある。耳あかは自然に外に押し出されるので、基本的にはそうじをしなくても大丈夫なのだが、それ以上に問題なのが「耳かき」という行為に伴う快楽に惹き寄せられて癖になってしまい、外耳道炎などの障害を引き起こしている人が少なくない――という内容だった。

ではおへそのそうじはどうなのか。そこに快楽はあるのだろうか。そもそも「へそのごま」の正体は何なのだろう。

「へそのごま」そうじは賛否両論

 私たちが日頃「胡麻」と呼ぶのは、ゴマ科ゴマ属の植物の種子のこと。カルシウムや鉄分、マグネシウムなどの栄養成分が豊富に含まれていて、その成分を配合したサプリメントなどを利用する中高年の人たちが、元気で若々しい生活を送っているとかいないとか……。

そんな結構なものがおへそから収穫できるならありがたい。おへそからごまを取っては食べ取っては食べを繰り返していれば不老長寿が実現することになってしまう……が、読者諸賢ご推察の通り、そんなことはない。

順天堂大学元先任准教授で、現在は千葉県成田市にある岩沢クリニックに勤務する太田剛志医師(婦人科腫瘍学)は一刀両断する。

「へそのごまは、ただの垢です。垢とは皮膚の角質が古くなって脱落したもの。溜めたところで役には立たないし、逆に悪臭の元になるだけです」

 ならばおへそのそうじは積極的にするべきなのか――。これについては、医師の間でも意見が分かれるらしい。

「へそのそうじはすべきでない、という医師はいます。理由は“おなかが痛くなるから”なのですが、そうじしないでいると垢がたまるだけなので、においの温床になるのも事実です。私は『痛くならないようにそうじする』ことを推奨しています」(太田医師、以下同)

へそを触るとなぜおなかが痛くなるのか

胎児期の赤ちゃんがお母さんから栄養の供給を受けるために存在する「へその緒」。生れ出て肺呼吸が始まればへその緒は不要となり、血流が途絶えて脱落する。「おへそ」はその脱落した痕跡だ。

「周囲と異なり、へその奥はクッションになる皮下組織が薄く、皮膚と腹膜とがほぼ表裏一体となっている。しかもその周囲には神経や血管が走っている。汚い指で腹膜をいじれば、その刺激で痛みが起きても不思議ではない。だから『へそをいじるな』という医師の意見は一理あるのです」

じつは手術での「へその利用」が進んでいる

 近年、外科手術の手技として腹腔鏡手術やロボット手術の導入が進んでいるが、その際におへそはよく利用される。腹膜一枚張っているだけなので簡単に腹腔鏡を挿入できるうえ、おへそそのものには神経も血管もないので安全だ。お腹の表面に開ける穴を一つ減らすことができるので、審美面でも優れている。最近では「単孔式」といって、へその穴だけを利用して胆石や胆のうポリープ、大腸がんなどを腹腔鏡で切除する手術を行う医師も出てきているほどだ。

おへそを利用する手術の前には、衛生上の理由から「そうじ」が行われる。

「へその形状は個人差があり、完全に蓋をするように閉じられている人もいれば、少し内部が見える人、あるいは妊婦や肥満の人などはお腹の圧力で押されてへそが裏返しになる“でべそ”の状態になる人もいる。完全に蓋がされていればそうでもないけれど、内部が見えるような形状の人は、ごま(垢)のにおいが洩れてくることがあります」

太田医師によると、へそのごまのにおいは、ピアスの穴に垢が溜まったときに発する悪臭に似ているとか。記者の耳にはピアスの穴が開いていないのでよく分からないのだが、穴がある人はちょっと嗅いでみてほしい。

オススメの「そうじ方法」は…

太田医師は、「においが気になるなら、やり過ぎない程度にそうじをすればいい」という意見だ。

「お風呂の中でへそをよくふやかして、垢を浮かせて取り除くのが安全な方法。手術の前に看護師が患者のへそのそうじをするときは、オリーブオイルを垂らして、へその内部をふやかしてから綿棒でやさしく拭き取るようにします。いずれにしても、底の部分は、裏側がすぐに腹膜なので絶対触らないこと。側面の垢だけを取るようにすること。それができないならやらないほうがいい」

おへその深さは人それぞれで、当然深い人ほどごま(垢)もたまりやすい。太田医師によると、おへそが浅い人はそれほどにおわないので、放置しても構わないとのこと。でべその人は腹膜が外側に出てしまっているので、これはアンタッチャブルだ。

話をまとめる。

へそのごまの正体は「垢」なので、放置すれば異臭を発することになる。
へその底は「腹膜一枚」の脆い構造なので、そこを触るのは危険だ。

そうじをするならへそ全体を湿らせて、ごま(垢)をふやかしてから、側面だけを綿棒などでやさしく撫でるようにして取り去ること。
それが恐い、あるいは上手にできる自信がないならやらないこと。

ちなみにおへそは耳と違って、引っ搔いても快楽物質は出てこないとのこと。その意味では「常習性」はなさそうなのだが……。

(長田 昭二)
2021/10/09 17:00 文春オンライン
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