2024/12/07 07:10 オトナンサー
スーパーの総菜売り場や鮮魚売り場などでは、閉店時間のほか、商品の賞味期限や消費期限が近づくにつれて、「2割引き」「3割引き」などと、値引き率を徐々に上げていくことがあります。それでも売れないときには、「半額」と大きく目立つシールが貼られますが、中には半額にしても売れない商品もあります。
その際、「7割引き」になるかと思いきや、なぜか半額よりも高く値引きされた商品をほとんど見ません。なぜ、「半額」よりも大きな値引き率で売らないのでしょうか。商品を値引きする際の基準のほか、半額よりも大きな値引率で売らない理由について、経営コンサルタントの大庭真一郎さんが解説します。
店のブランドイメージが低下
スーパーでの値引き率は、賞味期限や消費期限を迎えるまでの時間や日数に応じて、数パターン設定しているケースが多いです。
例えば、総菜や生鮮品など、基本的にその日のうちに売り切る必要のある商品の場合、店によっては、その日の閉店時間の3時間前で「1割引き」、1時間前で「2割引き」、30分前で「半額」といった基準を設けているケースがあります。
また、その日のうちに売り切る必要はなくても、加工食品や乳製品、パン製品など賞味期限が比較的短い商品の場合、賞味期限の5日前で「1割引き」、3日前で「2割引き」、前日で「半額」といった基準を設けているケースもあります。
商品の値段を半額にすると、多くの場合、店側の利益がほとんどなくなるため、思い切った判断といえます。それでも、「半額シール」を貼るというのは、何が何でも商品を売り切ってしまいたいという店側の判断の現れです。
先述のように、その日の閉店時間や賞味期限・消費期限が迫った商品に半額セールに貼るケースが一般的ですが、店が新しい商品を入荷して陳列スペースを確保したいときや、夕方など客数が多い時間帯に「他の商品のついで買い」を促したいときなどに、半額シールを貼って売れ行きを加速させるケースもあるのです。
ところで、店がなくなる前の「売り尽くしセール」を除き、半額よりも大きく値引きした商品をほとんど見ません。なぜなら、商品の原価率が50%以上の場合、半額よりも大きな値引きを行ってしまうと、店側に損失が生じてしまうからです。
また、高い値引き率で販売することが常態化してしまうと、それを目当てに来店する客が増え、定価で販売しても売れにくくなってしまいます。さらに、値引き率を高くし過ぎることで、店のブランドイメージが低下し、客離れが生じてしまうこともあります。このような理由から、半額よりも高い値引きは、ほとんど見られないのです。
商品が売れなければ、コストを全く回収できないだけでなく、廃棄のためのコストも別に必要になります。そのため、原価のロスと、廃棄のコストが丸々店側の損失になるということを考えた場合、半額よりも高い値引きで売り切った方が得だという考え方もあります。
一方、値引き率に関しては、どの程度の値引き率を設定すればどの程度の確率で商品が売れるという根拠は存在しません。一度でも半額よりも高い値引きで販売してしまうと、客の目には「半額」の値引き率が「損」に映ります。
さらに、一般的に店側は、売れ残るリスクを想定した上で、想定した数量の売れ残り商品を半額で販売したとしても、販売した商品全体で利益が出るように計算をしています。これらのことから、半額よりも高い値引きで売るケースが少ないのです。
もし、よく買い物に行く店が、当たり前のように売れ残った商品を半額よりも高く値引きしている場合、次の2つの可能性があることを考えた方がよいと思います。
1つ目は、半額よりも高い値引きで販売し、店のもうけが少なくなることで、魅力のある品ぞろえや、客が快適に買い物ができる店作りなどへの投資余力が低下してしまうことです。そうなると、その店で買い物をすることに対する自分自身の満足度やメリットが低下してしまいます。
2つ目は、売れ残った商品を半額よりも高く値引きして販売しても、店側に利益が出る場合、原価率が著しく低い、すなわち、店側の利幅を著しく高くして販売をしているということになります。そのような商品は、客にとってお買い得感の低い商品だということになります。
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