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まさみつ君との遭遇

2021-12-05 13:49:45 | 日記
怪電話の主はまさみつ君でした。

一念発起して就職活動を始めるにあたって、何故か中学時代の同級生のたっつぁんに接触してきたのでした。
たっつぁんが言うには、まさみつ君はやる事なす事おお事になる芸術家肌の男なので是非僕も会ってみろという事でした。

翌日たっつぁんが寝ていると何やら気配を感じ、見ると部屋の中にまさみつ君がみどりのタヌキの入った袋をぶら下げて立っていました。たっつぁんの部屋は実家の二階にあって、玄関から入ると母親が出て来て二階に上がるように言われます。

僕がたっつぁんの部屋に入るとたっつぁんとメガネをかけた小太りの陽気な顔の男がコタツに入っていました。「こんにちは」と挨拶して僕もコタツに入りました。右側には陽気な顔をした男です。
男は両手を忙しく動かしながら「ブーン」とか「ピッピッピッピッピッ」とかしゃべり続けています。僕が挨拶してもずっと「バチバチバチバチバチ」とか言っています。擬音の合間に聞き取れる言葉から考えると色々な機械を使った溶接作業のやり方を説明しているようでした。たっつぁんは溶接の仕事をしていた事があるので詳しいはずなのに、「あれ?今の全自動だろ?なら半自動どうだっけ?」とか何度もリクエストして、その度に男は音付きで作業の動きをやっていました。
五分位すると男はこっちを見て急にはっとした表情になって「誰ですか?」と言いました。

正面のたっつぁんがしきりに目配せしてくるので、溶接をした事がない僕も始めから教えてくれるよう何度もリクエストしました。

まさみつ君は調理学校卒業後喫茶店の厨房に入ったのですが、それを辞めて以降、溶接工場や段ボール工場、電気工事店などで働いていましたが、もう何年も車で近所の老人の病院への送り迎えをして週に二回五千円をもらう生活をしていました。陽気なので老人には人気があるそうでした。一度は老人をのせて往復400キロ移動して15万円もらったそうです。しかし最近その老人の息子が定年退職して自分で親を運ぶようになったのでまさみつ君の仕事はなくなってしまい、実家の母親からは、もうお前の世話はしないから家を出ていけと言われて、それで仕事をさがさないとならなくなっていました。
まさみつ君は酒は全く飲みませんが、パチンコと競輪が好きで、さらに高いタバコを一日二箱吸います。足りない分は母親がスーパーで買い物をする時に車を出した手間賃と高騰したガソリン代の分という名目で結構な額の小遣いをもらっているようでした。



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