薄日射す公園に咲く紫のアガパンサスに涼を貰ひし
携帯のシャッター切れど勘頼りマクロ設定ピンボケばかり
別名は白君子蘭意外にもバックシャンなれ八方に咲き
露子とふ同級生を思い出す姓の変わりし夏休み明け
したたかに強き花です帽子花放射能さえ何するものと
早朝の公園に来る男らは雨に咲く花見て息をつく
夏の蝶人の不幸の蜜を吸ふ花から花へ人から人へ
唐突に蝉の声して見上ぐればここにいるぞと姿の見えず
散歩する吾と爺様を二度三度追い越して行くジョギングの女
もうそんな時期かと知りぬ朝顔の青紫の薄紅に萎え
烏来て水浴びをする蒸し暑き梅雨の晴れ間の人工の川
玄関に提灯のある夏祭りコンチキチンの鐘の聞こえる