JAL Airbus A350
飛行機 152 「迷医」
若い日の六月。シトシト雨の降る朝。
二、三日腹痛が続くので行きつけのA医院で診てもらった。
虫垂炎、俗にいう盲腸ではないかという事になり
紹介状を書いてもらい、B外科へ。
一通りの問診を受け診察室へ。
そこには私の倍くらいは体重のありそうな“オヤジ”がいました。
白衣を着ていなかったら誰もが“先生”とは思わないだらしない格好でした。
シャツはズボンからはみ出しているし、
バンドは止め穴の所だけで止めて
残りの部分はペラン、ペランさせています。
顔は無精ひげをはやして、ボサボサ頭で、目はトロン....
「腹が痛かとね?」 「そこに横になってみんしゃい。」
「ここは痛かね、ん?」 「ここは?」
そして、即「こらぁ~盲腸たい!昼から切ろう。」
私「エッ!今日ですか?」
B医師「うん、早かほうがよか。」
午後
盲腸手術の儀式を終え手術台へ..。
いままで体にメスなど入れたことの無い私は...冷や汗!
手術開始!
下半身麻酔ということで背中(脊髄)に麻酔の注射!
これがスゴク痛いのですが下半身麻酔なので意識はあります。
「メス!」と、“オヤジ”の声。
「いたたぁ~」今、私の体にメスが。アッ!今度は引っ張ってる。
「いてててぇ~」麻酔は効いてるのかしらん?
「あたたたたぁ」また引っ張ってるような・・・
たぶん、お腹を縫ってるのだろうぅ。。
なんだか意識がぼんやり。。麻酔がいまごろききはじめたのかなぁ。。
「先生!もう一針縫ったほうがいいんじゃないですか?」と、ナースの声。
「そうかぁ~。それじゃぁもう一針縫っとくか」
(うそやろう。。。)
消えゆく意識の中で奇妙な会話を聞いた。
何年かして、またA医院のお世話になった時、
B外科の事を思い出したので聞いた。
「先生はどうしてあの時B外科を紹介したんですか?」
「あ~虫垂炎の時ね。」
「Bは私の昔の同僚で、あいつなら間違いにと思うからだよ。」
「へぇ~そうなんですか???」
「見てくれは悪いが腕は確かだよ。」
そういえば...
手術後三年くらいして、職場の同僚と風呂に入った時、
同僚の盲腸の手術の痕がいやに大きく驚いた事がある。
手術痕だけで判断するのはどうかと思うが、
私の手術痕は、探さなくては解らないくらい小さかった。
本当は、名医だったのかもしれない、あの“オヤジ”!!
しかしなぁ...
「先生、もう一針...」(^^;
ANA Boeing 787-8
Skymark Airlines Boeing 737-800
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