『日本競馬論序説』を読み始める。
山口瞳と赤木駿介の共著である。
山口瞳と赤木駿介の対談を軸にして、
山口瞳は「僕の競馬健康法」と「僕の馬券戦術」
赤木駿介は「競馬をトータルに楽しむ法」
それぞれの競馬観を特にギャンブルに対する考え方を道標にしながら、それぞれの考えを展開している。
対談は「パドック党宣言」というタイトルのもと、そこでは特に、赤木駿介の最近の馬券の買い方を紹介提示しながら、競馬と馬券とのさまざまな関わりを振り返りつつ、自らの展望を語っている。
面白いくらい競馬への関わり、その工夫、遊び方、取り組み方は、人それぞれであることがわかる。それは、人それぞれの生き方は十人十色であることと同じである。
僕は、赤木が語る赤木の最近の馬券戦術、単複党宣言に惹かれた。
それは、ちょうど英国ケンブリッチの賭け屋で教えてもらったEWという買い方だ。このEW [イイチウエイ]というのは、単複を一緒に買う、という買い方である。
例えば、アイザックニュートンという馬に、EW 10ポンド賭ける。支払いは単複それぞれに£10ということで£20を支払って、レース結果を待つ。
このとき、アイザックニュートンが1着になれば、そのときの単勝の配当が賭け率15倍で複勝は4倍なら、
£10x15=150ポンド、£10x4=40ポンド
つまり190ポンドの配当になり、170ポンドの儲け
この英国のEW という買い方は、日本の単勝と複勝を併せて一緒に買う馬券なのだ。
彼の地では、馬券の種類が何種類もある。
僕は英国では、馬券はいつもEW の買い方である。ケンブリッチ、ロンドン、ニューカッスルなどなど。
余談だが、ある時ロンドンのいくつかの賭け屋に飛び込んで、競馬を楽しんだことがある。
面白かったのは、ある賭け屋はお客がすべて黒人たち、もう一つの賭け屋はフランス人やイタリア人たちのラテン系の人たち、煙草の煙と匂いが賭け屋の内に充満していた、もう一軒はアジア系の人たち、韓国か台湾の人か。
人は人種で群れるものなのか?僕はどこの賭け屋でも平気であったが、いちばん落ち着いたのは毎日のように通った賭け屋であった。
そして、英国では賭け事が好きなんだと実感したのは、自国の競馬が雪か何かで中止の時にオランダの競馬の賭けを行なっていたのだ。もちろん競馬以外も、例えばドッグレース、最近ではコンピュータを使ってバーチャルの動画競馬さえ賭けの対象であった。
僕は本物の馬の走る競馬だけ興味を持つのだが。馬の血統、競馬の歴史や伝統、競馬にに関わる人びとの夢やロマン、調教師、調教助手、厩務員、馬具を扱う人たち、競馬ジャーナリストなどなど。
1つのレースに出る馬たちにはどれだけの人が関わっているか、そのトータルの結実がレースひとつひとつに反映されているのだから。その深さに惹かれるのだ。バーチャルな動画競馬には、僕は興味を持てないのだ。