「お金下ろしてきて」と義母が言うので
カードください、と言ったら、
部屋に探しに行ったまま、なかなか来ない。
保険証を入れた透明のポーチを開けて
一つずつ見ているが、そんなところには無い。
「緑色の長財布ないですか?
この前、それに入れて渡したはず」
「・・・緑色の・・・?
ないねえ。」
「なくすといけないから、これに入れて、って
私の長財布を貸してあげたんだけど。」
「・・・この前、家に置いてきたな。」
んなわけない!
この頃さっぱり見かけないから、
こっちにあるはず。
「緑?・・・赤でなくて?」
赤い長財布は、義母のもので、
前回、冬同居から実家に戻った時にどこかへ紛失して
結局見つからず・・・
キャッシュカードとマイナンバーを再発行したのだった。
「ちょっと、荷物見てもいいですか。」と断って
義母の部屋を捜索したが、見当たらない。
またなくしたとか~??(汗)
「るかさんに渡したんでなかった?」
「いえいえ、そんな大事なもの、私、預かれませんよ!」
「・・・一応、見てきます。」と、
あるわけない、と思いながら
あるべき場所を開けると
「!」
あった!!(汗)
ドキ~~~っ!
なんで?
部屋に戻って、義母に
「ありました。」と報告。
「すみません、私、預かったの忘れてたんですね」
「いやいや私もなんだか
るかさんに渡したような気がしてたんだけど」
とりあえず、よかった、なくしたかと思った、と二人とも言い
気まずい空気が流れた。
私も相当ボケている。
絶対に預かっていないと思い込んでいた。
「お金のことなので、預かるわけにいかないと思ってて。」
(ヨメが盗った、とは、絶対に言われたくない)
「信用してるから、いいんだよ。
どうせもう何も隠してないから。」と義母は言うが
通帳を頼まれた時も、中身は見ないように心掛けて来た。
元銀行員の気遣い(笑)
それにしても
またなくしたの?
いったいどこにやっちゃたのか~
・・・と言う思いから、つい、語気が強くなった私。
その私のところから財布が見つかったというのに
義母は、一切責めなかった。
ただ穏やかに、何事もなかったように
事を収めた。
優しい人だ~、そう思った。
私は同じ場面で、そうあれるだろうか。
10人兄弟の長男である義父に嫁いで
百戦錬磨、いろんな辛いことがあったはず。
こうやって胸に収めて通り過ぎて来たのだろう。
後日、あの日のことをつくづく思い出すにつれ
もしかしたら義母も
私に預けたことは忘れていたのではなかろうか、
そして見つかった時もただ
ああよかった、と安堵しただけだったのか。
どちらにしろ、私は救われた。
「ほーら見ろ、そうだと思っていた」とでも言われたら
腹が立っただろうし、後を引いたと思う。
自分は間違っていない、という態度は
人を不快にするとわかっていても
義母が相手だとつい、忘れてしまっていた。
おばあちゃん、ごめんなさい。
これからは自分も疑うからね。