仕事が進まないことがあって
しばらくオカリナを吹いていた義母だが、
自宅で開いているソーイング講座の翌日のこと。
「昨日来てた…Yシロさんのズボン、
あれ私にちょうどじゃないかしら。」
と言い出して
「あれを縫ってみるかな。
あれ、あそこの、生地屋で布を買って。」
…この言い方だと、まるで
自分で行って一人で縫うかのようだけど
もちろん一人では何も出来ない。
昨日、午後にアカペラの練習があったので
午前中のパッチワークをお休みして
天気が崩れる前に、近くの満開の桜を
見せに連れて行こうと思っていた。
義母の言う、その生地屋さんは
お花見する公園のすぐ側なので
お花見団子を買って、
お花見と、お買い物に連れ出した。
小学校教諭だった義母は
公園に溢れる子どもたちを見て嬉しそう。
…生地を買った義母は、今朝から
熱中していたオカリナそっちのけで
私と一緒に二階の作業場へ
出勤する気満々、準備万端で座ってる。
仕方ない〜
私は二週間後に迫ったアカペラコンサートに着る
4人分の衣装の仕上げと、
うかうかしていたらいつのまにか
10人待ちくらいになっちゃった
頼まれもののお仕立てが気になって
義母にズボンを教えるどころじゃないのは
彼女もわかっているはずなのに…
ミシンを出して、糸をかけて。
製図して、裁断して、
縫うべきところに針を打って。
しつけをかけると言うので、
しつけ糸を針に通して、
手元にライトをセッティングしてあげて
さあ!あとはミシンを踏むだけですよ。
姑だと思わず、
自分の祖母だと思えば
何も苛立つことはないのかもしれない。
ただの、92歳のおばあちゃん。
小さい頃、同居していた祖母のことは
大好きだったし、優しく出来た。
そう自分に言い聞かせようとしたけれど
また上からな物言いにカチン。
…言い方!
相手は全く気づいていないけど…。