透明人間たちのひとりごと

宮崎駿の有名税 後編2

 『宮崎駿の有名税』 と題しての第4弾ですが、
後編 の続編としては第二幕に突入します。

 有名であるが故に生じる 僻み、やっかみ、罵声の嵐に
謂われなき誹謗中傷や過剰なバッシングの数々 …

 そうした知名度と引き換えに、支払わなければならない
代償 を税金に例えた言葉が「有名税」です。

 こうした有名税のなかには、支払いも已む無し的な事実
も時にはありますが、そのほとんどは支払いを断固拒否し
受け取りを拒絶して、突き返したくなるような雑言ばかりで
悪質で悪意に満ちた受取手形ばりの売り掛け残金です。 

 さて、このタイトル・コールがそのどちらに属するかは、
皆さんの判断にお任せして、話を進めることにしましょう。

 exclamation ―(前編)―
 http://sun.ap.teacup.com/japan-aid/326.html(参照)
 exclamation ―(中編)―
 http://sun.ap.teacup.com/japan-aid/327.html(参照)
 exclamation ― 後編1 ―
 http://sun.ap.teacup.com/japan-aid/328.html(参照)

 … からの続きになります。


 かつて、韓国では日本の大衆文化の輸入を規制していた
時代があったのですが、1998年から2004年にかけて、徐々
に開放するようになったのです。

 当初、日本映画は国際的に評価の高い某(なにがし)か
の名を冠した受賞作品に限られていて、全面解禁となった
のは第4次開放が行なわれた2004年になってからでした。

 そこでジブリのアニメ作品も次々に公開されていったわけ
ですが、日本でなら間違いなく 「反戦アニメ」 として
認知される 『火垂るの墓』 が、な、な、何と韓国では
「日帝礼賛の極右アニメ」 の烙印が押されると
いう大問題が発生したのです

 2005年4月に予定されていた全国ロードショーが無期限
の延期となって、なお現在に至っているのです。

 2006年に「高畑勲監督展」が韓国で開かれることになり、
漸(ようや)くのことにして、そこで『火垂るの墓』が特別に
上映されたのでしたが、その後も何かのイベントや単体の
映画館での上映など定量的な形式による公開に限られて
いて、興行成績は当然ながら惨憺たるものなのです。

  (ちなみに、後にDVDは発売されたようですが …)

 日本映画全面解禁に商業的にも世界戦略的にも大きな
意味を持つ韓国への進出に喜び勇んだまではよかったの
ですが、ジブリ側の思惑は脆(もろ)くも崩れ去り、いきなり
出鼻を挫(くじ)かれる結果となったのでした。

 この「『火垂るの墓』ショック」 はジブリ経営陣
に大いなる教訓を付与したことは疑いようもありません。

 そこで 『風立ちぬ』 の海外での成功を約束させる
ための最初の号砲 として宮崎駿監督がぶっ放したのが、
護憲」 及び 「慰安婦への謝罪・賠償」 発言となって実践
実行されたと 2号 は考えたわけですねpeace

 曰く、問題が懸念される作品の海外への輸出に関しては
あらぬ誤解を招かぬように事前の周到なる根回しと的確な
る広報活動を徹底しなくてはならないというものです。

 彼がわざわざ 「慰安婦への賠償」 までも謳った
裏には、この映画の提携企業に「三菱商事」が名を連ねて
いたことも無関係ではなかったはずです。

 さすがにこれが「三菱重工」だったら、もう何をどう
言い繕ってもムダだったのでしょうが … ase2

 なにせ、ゼロ戦を組み立てた人の中には三菱の工場に
徴用された朝鮮人や中国(満州)人がいたわけですから、

 日本政府は慰安婦補償問題は日韓基本条約で決着済み
で徴用工への補償については日韓請求権協定で解決済み
との立場ですが、韓国では旧日本製鉄(現・新日鉄住金)に
徴用(強制動員?)された原告への賠償命令が 7月10日に
出され、続く 30日には、三菱重工へも賠償を命じる判決が
出されたばかりです。

 8月23日には三菱重工への慰謝料請求額をさらに2倍に
増額したんだとか …

 (これぞ、まさに溺れた犬を棒でたたくが如し徹底ぶりに
感服の至りですが、韓国の司法は政府方針などまったく
意に介さずに平気でひっくり返せる力があるのでしょうか)

 兎にも角にも、

 そうした興行の成功と出品しているベネチア国際映画祭
でのグランプリ獲得 の栄誉を射止めるためには韓国での
無難な公開というステップが必要不可欠で、さらにダメ押し
の意味での先日の引退発表だったと思われますが、こちら
は逆効果で玉砕の憂き目を見たようです

 実は、このことも韓国での興行の成功と微妙にリンクする
話なのです。

 仮に韓国内で公開の中止やボイコットなどの反対運動が
起こった場合でも、ベネチア国際映画祭でグランプリならず
とも何らかの賞にありつけたならば、上映続行の可能性は
格段に高まるわけです。

 要は、「護憲」 も 「慰安婦の賠償」 も対中国・韓国用の
営業トークであって、本当のところは神のみぞ知るもので
あったとしても推して知るべしなのです。

 本心は本人にしかわからないとは言っても 外交辞令的
な営業トーク、営業「護憲」、営業用「謝罪・賠償発言」では
遠からず反発の声が上がることが予想されます。

 日本国内は別としても日帝被害を1000年間も忘れずに
叫び続けようという韓国です。

 おそらくは彼の作品のなかでも最も論争を呼び、問題の
多い作品となることは間違いないでしょう。

 だからこそ、去る7月26日に異例ともいえるかたちで韓国
の記者たちを東京の小金井市にある自身のアトリエに招き
入れてインタビューを行い、現地での試写会を開いたのも
多分にそうした歴史認識を過剰に意識したことのあらわれ
なのでしょうase2

  … しかし、

 そうした事前の努力の甲斐もあり、興行的にはまずまず
の滑り出しのようで福沢諭吉の顔が印刷された一万円の
札束がガッポリ と入って来そうな勢いにあるようです。

 その福沢諭吉は韓国の国柄について 『脱亜論』
なかでこう書いてます。

 「不幸なるは近隣に二国あり、… この支那・朝鮮の二国
 の者たちは、自分の身の上についても自分の国について
 も改進の道を知らない。… 一から十まで外見の虚飾のみ
 を事とし、… 真理原則の知見なきのみか、道徳さえ地を
 払い、残酷破廉恥を極め、なお傲然として自省の念なき
 者のごとし。 … されば、わが国は隣国の開明を待ちて
 アジアを興す猶予はあるべからず。 … 我は心に於いて
 アジア東方の悪友を謝絶するものなり」

 明治と平成という時代の相違はあっても、その真髄
不滅 のように感じられます。


 現在の日本は右傾化と長引くデフレ経済下の不景気に
苦しめられ、大震災からの復興や原発事故は未だに先が
見えないままで、周辺国との軋轢と不和に辟易としている
状況にあります。

 『風立ちぬ』 の時代背景も現在と似たり寄ったりで
世界恐慌後の不景気と大震災、周辺国との間に絶え間の
ない争いがあったことは、(中編) にて、その類似性を
すでに指摘済みですが、

 そこでは、『紅の豚』 と 『風立ちぬ』 と現在の世情・世相
との共通性についても押さえておくようにお願いしました。

 そして同時に、宮崎駿監督がとんでもない 「軍事オタク
であることも念頭に置いておくようにと …

 さらに、『紅の豚』 を除き、『風立ちぬ』 の制作まで、彼が
一貫して子供向け作品を作っていたとしても、その根底に
は夢とファンタジーを隠れ蓑に、一見 それとはわからない
かたちで軍事マニアの顔を覗かせているということ …

 そして、彼は、

 子供中心で子供の視点に立ち、悪役や敵対勢力を大人
のキャラクターにして登場させていますが、その悪人役や
敵役がどこか複雑で重層的で憎めない存在であること …

 つまり、善悪・正邪・是非・表裏 などの二元論
には一切惑わされていないのです。

 同様に、

 描かれる前時代的な世界観から、エコロジー指向の描写
が目立ちますが、本人はそれを好ましく思っていないようで
そうしたことも胡散臭さに拍車が掛かるわけです。

 これらが、(前編)で指摘した唯物思想の現実主義者
リアリスト たる宮崎駿なのです。

 総じて、戦争の悲惨さ、愚かさを描いているようですが、
風の谷のナウシカ』 など複数の作品に登場する戦火に
飲み込まれる街の描写などは彼自身が幼少期に体験した
宇都宮大空襲」 のイメージがそのまま反映されているの
かもしれませんね。
 後編1 での情報にあった「すげえ」

 という感想そのままに …

 ところで

 もう、そろそろ 総括 をして、まとめなくてはいけないの
ですが、全国学力テストの国語A(小6)の正答率が全国で
最下位だった静岡県人の、のんびりした県民性に免じて …

 次回、後編3 で、

 宮崎駿の重加算有名税を徴収したいと思います。

 そうしたのんびり屋の気質性格も含めて


 知事は相当にご不満の様子なのですが …

コメント一覧

はだかのケン
韓国では、激しい抗議と上映中止を求める声がネチズンを中心に広がっているようですよ!
日帝礼賛極右アニメって「風立ちぬ」で、この言われようでは「火垂るの墓」が公開不可能なのもうなずけるね。
どこまで、日本が憎いのかねぇ? 
ココナン
やっと「火垂るの墓」の話が登場しました。
「ゲンと火垂るの墓」の記事にもコメントしましたが、日の丸、君が代、ゼロ戦とくれば、大日本帝国の象徴そのものなのに、一部のネチズンが極右映画だと言って騒いでいるほかは、いたって冷静なような気がします。
文中にもあるように強制徴用されたとされる三菱の工場で作られたゼロ戦の設計者が主人公の割には思ったほどの抵抗がないのは、やはり、スタジオジブリの作戦が効を奏したということでしょうか?
日帝礼賛映画との批判もある一方で「反安倍首相」的な姿勢や過去の作品あるいは「護憲」に「慰安婦謝罪賠償」発言などから右翼だと罵倒するのはよくない、作品全体を見て考えるべきだ。…などの意見もあって比較的バランスがとれているようです。
やぶにらみ
ミノムシなら蓑を被るんだけど、みのさんは針のムシロだな!
かわいそうだけど、ほっかぶりできないもんね。
おいら
http://sin-sei.at.webry.info/
有名税といえば、みのもんたは相当な有名税を払うことになるかもな・・・
バカボンのパパのパパ
払えるものなら、わしも有名税を払いたいのだ!
皮肉のアッコちゃん
いやぁ、ひっぱる、ひっぱる。
のんびり屋なのか、策士なのか!

その根性は拍手ものです。
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