透明人間たちのひとりごと

謎の人

 聞き役にまわったKさん。

K「しかし聞き役ってのはただ、聞いていればいいってもんだいじゃないんだ。相槌をうつポイントとか、あるいは話の内容からさらに話を広げていくような適切な質問を考えなきゃいけないんだ。でも、相手に話させるから、話べたでも大丈夫らしいよ」
僕「そっかぁ、難しいけど、Kさん向きだね」
K「ちょ、ちょっと練習してみよっか」
僕「練習、…どんな風に?」

K「うーん。とりあえず。初対面ってことにしよう」

 〓〓〓 合コンにでもいくのだろうか?
僕「僕は男の方がいい?」
 一応聞いてみた。
K「男でいいよ。というか男じゃん」
僕「そうだね。(いったい誰と話すための練習なんだろう)」

K「あ、どうも、はじめまして、Kです」
 あ、始まったんだ。
僕「あ、どうも、こうやって会うのは初めてですよね」
K「ちがうよ。それじゃあ、メル友とあったときみたいじゃん。本当の初対面」
僕「む。」

K「いくよ。   あ、どうも、Kっていいます。みんなからもKって呼ばれてます」
僕「どうも、Sです」
K「最近暑いですね」
僕「暑いねぇ」
K「なにか、暑さ対策とかしてます?」
僕「いやぁ、特に」
K「特にってことはないでしょう。ほら、涼しそうな服着てるじゃないですか」
僕「そう? まあ、長袖よりは涼しいかな?」
K「そうですねぇ、確かに長袖よりは涼しいですよね」
僕「むう」
K「でも、紫外線には気をつけたほうがいいですよ」
僕「焼けるからね」
K「焼けるだけならいいですけど、怖ければ皮膚がんとかになるみたいですよ」
僕「ひゃあ」
K「常日頃から、日焼け止めを塗ったほうがいいんだって」
僕「そうだね」
K「でも、何を買ったらいいのか分からないですよね」
僕「なんだっていいような」
K「だめです。例えば紫外線をカットする数字が高ければいいってもんじゃないんですよ」
僕「数字?」
K「SPF とかPA+とか」
僕「はぁ」
K「強ければいいと思って高いのを毎日つけるとするじゃないですか」
僕「ええ」
K「じつは落とし穴がありましてですね。そういう数値が高いのは海とかにいくときならいいですけど、日常だと刺激が強すぎるんですよ。ものによっては水分を奪われたり、逆に肌荒れの原因になったり」
僕「あらら、怖いですねぇ」
K「でも、安心してください。これ、「プロテクトX!」これなら、日常つけていても、大丈夫、美容液も入っていますので、なんと、つけているだけで肌の栄養も補給できる。そして、紫外線も、もちろんカット。いまなら洗顔料もつけて…いくらだと思います」
僕「うーん。わからないな」
K「通常3000円のところを今ならなんと982円! もちろん税込み」
僕「………」


K「どうかな?」
僕「どうかなって、いや、いらないよ」
K「いや、そうじゃなくって、会話」
僕「ほんとに口下手?」
K「口下手だよ。だから練習したんじゃん」


 しかしどこが聞き役なんだろう。
 そして誰と話す練習なのか、謎だ。
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