ユダヤ教についての学びの幅や見識が深まるにつれて
浮かんでくるのは、救世主（メシア）の存在と「神」の実在
についての疑問です。
少なくとも、ユダヤ教の大前提には多数の神々の存在
があって、その中から「お前たちユダヤの神はヤハウェ
ただひとりであり、他の神を拝み崇めてはならない」と
厳しく戒めているのが、
『モーセと十戒の石板』 history-maps.com
〝モーセの十戒〟を始めとする戒律、言わば、トーラー
の主旨であると思われます。
トーラー（モーセ五書） daichikun.hatenablog.com
ところで、
一般のユダヤ教徒は最終的な救世主（メシア）登場の
日を、どのように思い描いているのでしょうか❓
『ダ・ヴィンチの罠 反乱劇』の冒頭部分でも紹介した
ように、ユダヤに伝わる伝承では、メシアはツファット、
ベツレヘム、ティベリアのいずれかの地から出現すると
されています。
その地に登場した人物は「サバタイ・ツヴィ運動」に
おいてサバタイ・ツヴィ（偽メシア）が、彼のブレーン
であるカバラ学者のナタン（偽預言者）によって祝福を
受けたように、預言者により祝福を受けることで初めて、
すべてのユダヤ人にメシアとして認められ、エルサレム
ヘと向かうことになるのです。
救世主（メシア）登場の時代は、開かずの門となって
いたエルサレムの「黄金の門」が開き、そこからメシア
が、入城することで幕が開けるのです。
封鎖された黄金の門 www.expedia.co.jp
地上と霊界での戦闘の末に、サタンの勢力を駆逐した
メシア軍は最終的な勝利を収めるのですが、
そのとき、
画像元： dengekionline.com
幻視者たちには、雲間で展開される神と悪魔の戦闘が
見えるともいいます。
画像元：blog.ja.playstation.com
「神」の勝利の後、世界に散らばっていたイスラエル
の10部族が約束の地であるカナンに戻り、メシアを戴く
ひとつの統一された国家が実現することになるのです。
このときになって、天界に保存されていたエルサレム
の霊的本体は、再び地上に降りて「新イスラエル王国」の
首都となり、復活した「ソロモンの第三神殿」を中心に
、「神」とメシアによる神権政治が行われるわけです。
ソロモン第一神殿の模型 sumiremainte.jugem.jp & ヘロデ大王による修繕後の第二神殿の模型
こうして「神の創造」が滞りなく無事に完成された時、
人類の寿命はおよそ1000歳に伸び、サタンは消え、野獣
は獰猛さを忘れて全地が楽園となり、人類の新たな時代
が到来するのです。
エッサイの株から一つの芽が出、
その根から一つの若枝が生えて実を結び、
その上に主の霊がとどまる。
これは知恵と悟りの霊、深慮と才能の霊、
主を知る知識と主を恐れる霊である。
彼は主を恐れることを楽しみとし、
その目の見るところによって、さばきをなさず、
その耳の聞くところによって、定めをなさず、
正義をもって貧しい者をさばき、
公平をもって国のうちの
柔和な者のために定めをなし、
その口のむちをもって国を撃ち、
そのくちびるの息をもって悪しき者を殺す。
正義はその腰の帯となり、忠信はその身の帯となる。
エッサイの株 blog.goo.ne.jp
「おおかみは小羊と共にやどり、ひょうは子やぎと
共に伏し、子牛、若じし、肥えたる家畜は共にいて、
小さいわらべに導かれ雌牛と熊とは食い物を共にし、
牛の子と熊の子と共に伏し、ししは牛のようにわら
を食い、乳のみ子は毒蛇のほらに戯れ、乳離れの子
は手をまむしの穴に入れる」
彼らはわが聖なる山のどこにおいても、そこなう
ことなく、やぶることがない。 水が海をおおって
いるように主を知る知識が地に満ちるからである。
『イザヤ書』11章1-9節
『狼と小羊が共に宿る』イメージ kanazawa-baptist.jimdofree.com
（Ria SopalaによるPixabayからの画像 ）
これが一般的なユダヤ教徒たちが心に思い描いている
究極の「新世界」（メシア到来後の世界）です。
こうしてみると、
キリスト教が、如何にユダヤ教の焼き直しであるかが
わかります。
それもそのはずで、
天国の鍵を持つペテロ www.newlifeministries.jp
窃盗の常習犯であり、大ペテン師にして伝道者の筆頭
に挙げられる人物が使徒パウロであり、窃盗団の首領が
初代ローマ教皇とされる使徒ペテロであるならば、当然
のことに、そのアジトというか、本拠地がヴァチカンで
あることは自明のことでしょう。
ローマ教会（サン・ピエトロ大聖堂）parstoday.com
さて、
「イエス・キリスト計画」が予定通りに完遂される
ことにより、イエスは自分が救世主（メシア）として
尊崇の対象になることは十二分に予測していましたし
、ある程度までの自信と確信も抱いていました。
千年王国ユートピア ja.wikipedia.org
しかし、まさか、「神」と同列、否、同一視されて
しかも「神の子」として終末に再び降臨し、永遠とも
思えるような長き期間にわたる千年王国を築いた後に
もう一度、サタンを解き放ったうえで、最終的な決着
に持っていく偉大なる存在になっているとは ・・・
白い御座の裁き meigata-bokushin.secret.jp
こうした、
終末期についての解説は別の機会に譲るとして、先に
触れた「サバタイ・ツヴィ運動」におけるメシア騒動の
経緯が、「イエス・キリスト計画」と幾つかの点で類似
するだけでなく、結果的にシンクロするかに見えて真逆
の展開を辿る結末に不思議な歴史の深淵を見るのです。
ＡＤ1626年、トルコのスミルナにサバタイ・ツヴィと
いうユダヤ人が生まれますが、奇しくも彼の生まれた日
は、かつてエルサレム神殿が破壊された日であり、将来
、救世主（メシア）が生まれると信じられていた日でも
あったのです。
サバタイ・ツヴィの時代、ユダヤ社会の支配的思潮と
なっていたのはラビ・ルリアが説いた「カバラ」である
「ルリア神学」で、彼も時代の風潮を受けてこの神学を
熱心に勉強しました。
サバタイ・ツヴィ www.kinokuniya.co.jp
ストイックな修行に明け暮れていた彼は、その堂々と
した体格から、周囲の人々を魅了するようなカリスマ的
なオーラを徐々に放っていくようになるのです。
ＡＤ1648年、サバタイ・ツヴィが 22歳を迎えた年に、
「フメリニツキーの乱」（ユダヤ人の大量虐殺事件）が
ウクライナで起こります。
この事件は、もともと、
ポーランド領主に対するウクライナのコサックによる
反乱でしたが、ひとたび暴動が起こると、コサックたち
の鬱憤は、日ごろから嫌悪する対象だったユダヤ人へと
その矛先を向けたのでした。
そのありさまを、ある歴史家はこう描いています。
「あらゆる物を奪い去る凶暴で大規模な殺戮が起こる。
各地で残忍な虐殺が行われ、ポーランド人たちは多く
の場合、自分だけでも助かりたいという愚かな考えで、
ユダヤ人の隣人を裏切った」
ボフダン・フメリニツキー（1595-1657年）
ＡＤ1648年からＡＤ1657年にかけて多くのユダヤ人が
虐殺される「フメリニツキーの乱」が起こります。
虐殺はガリチア（西ウクライナ）を中心にベラルーシ、
さらには ウクライナ南東部にも及び、ユダヤ人の共同体
は崩壊的危機に立たされたのでした。
彼はユダヤ年代記においては「邪悪なフメル」として
記述されています。
この事件で虐殺されたユダヤ人は、50万人を超えた
とされ、悲報はサバタイ・ツヴィの耳にも届きます。
そして、
「この事件こそ、メシア出現の生みの苦しみである」
と宣言したサバタイ・ツヴィは、〝地上の悪〟が絶頂
に達したという信念を一層強めることになるのです。
その結果、彼は、個人的に訪れた神秘体験を通じて
、「自分はメシアだ」という観念を育むようになって
いったのでした。
さて、のちにサバタイ・ツヴィが、彗星のごとくに
現れたメシアとして、各地のユダヤ人社会から絶大な
支持を得るようになった背景には、ナタンという若き
カバラ学者（偽預言者）の存在がありました。
ガザのナタンの肖像画（1906年）
ナタンは早熟の天才として才能を発揮していましたが
、同時に神秘的な資質も備わっていたのです。
彼はある日の神秘体験から、ガザにメシアが現れると
いう神の啓示を受けたと確信します。
そして、
その啓示に従って、ガザでサバタイ・ツヴィと出会う
ことになるのです。
サバタイ・ツヴィに出会ったナタンは、彼こそが預言
されていたメシアだと、ただちに直感します。
それと同時に、
炎の預言者エリヤ bible-seisho.net
自分はメシアの到来を告げる“先駆けの預言者”エリヤ
の再来だと確信するわけです。
このＡＤ1665年の出会いは、
ナタンとサバタイ・ツヴィの、いずれか一方が欠けて
も、ユダヤ史上空前のメシア運動は起こり得なかったと
いう意味で、まさに運命的な出会いでもあったのです。
ところで、
ユダヤ教の口伝伝承では、預言者はパレスチナ以外の
地には現れないとされていました。
故に、イスラエル以外の地に現れた預言者は、すべて
「偽預言者」と見なされてきました。ところがナタンは
、眞にそのパレスチナのガザで預言者になったのです。
これは多くの預言者が活躍した紀元前の『聖書』時代
以来、かつてない衝撃的な事件でした。
しかも、ナタンは、その資質からいっても、学識から
いっても、また、預言者に欠かせない神秘体験のレベル
の深さからいっても、真正の預言者と見なしていいだけ
の資格を備えてると信じられていたわけです。
人々は、ナタンを預言者として、またエリヤの再来と
して受け入れます。そこで、彼が「この人こそメシアだ」
と唱えたサバタイ・ツヴィこそが、待ちに待った本物の
メシアであるということになったわけです。
「エリヤ」ホセ・デ・リベーラ画 ja.wikipedia.org
ナタンに導かれて、彼は「自分こそメシアである」と
聖地エルサレムで宣言します。
同時に、二人の兄弟をユダヤとイスラエルの王に任命
した彼は、自らを「地の王の中の王」と名乗ります。
まるで、ドン・キホーテの物語のような展開ですが、
メシアが現れたというニュースは手紙によりすぐさま
ヨーロッパ、アジア、アフリカのユダヤ人コミューンに
伝えられます。
人々は熱狂をもってサバタイ・ツヴィを迎え入れます。
共同体コミューンのシナゴーグ（ユダヤ教会堂）では、
「我らの主、王、師にして、イスラエルの神の油注がれし
聖にして義なるサバタイ・ツヴィ」への祈りが捧げられ、
世界各地のユダヤ人社会から救世主ツヴィのいるトルコ
に使節団が送られたのでした。
ＡＤ1665年のメシア宣言から １年とたたないうちに、
ユダヤ教はサバタイ・ツヴィを中心とした強固な統一を
達成します。
サバタイ・ツヴィは古い律法を廃止したり、全世界を
26人の高弟に分割して分け与えるなど、「ユダヤの王」と
して振舞い、エルサレムからトルコのスミルナ、そして
コンスタンティノープルと、巡幸して歩いたのです。
彼をメシアとして信奉する信徒（サバタイ派ユダヤ人）
は貧富、教養の別なく、あらゆる階層に及びトルコ国内
だけで何十万人にも達したのです。
こうした事態はトルコ政府にとって、まことに危険な
状態であり、トルコ政府は、政情を揺るがす危険人物と
してサバタイ・ツヴィを捕縛し、投獄しますが、牢獄内
でも有り余る貢ぎ物に囲まれながら、「ユダヤの王」と
して彼は振舞い、益々ユダヤ教徒を熱狂させたのです。
１９０６年のサバタイ・ツヴィのイラスト（ユダヤ歴史博物館）history-maps.com
人々はサバタイ・ツヴィに会うために使節団を組んで
トルコに殺到します。
サバタイ・ツヴィは彼らの前で救済はその年、つまり
1666年のうちに起こると宣言します。
そのため大勢のユダヤ人が、自分たちの居住国を離れ、
サバタイ・ツヴィとともにパレスチナの地に戻る準備を
開始したのでした。
しかしながら、
彼をメシアとする「サバタイ・ツヴィ運動」は急速に
しかも予想外の方向に進む展開を見せ始めるのです。
もちろん、そこには、ユダヤの民衆が待望するメシア
到来の有無にその根本となる原因があったのですが、
ユダヤ人の余りの熱狂ぶりを見過ごすことができなく
なったトルコ政府はサバタイ・ツヴィをスルタン（君主）
の前に引き出して、
「ユダヤ教を捨てるか、死を選ぶか」
と強く迫ると、
サバタイ・ツヴィは、あっさりと棄教します ！
それまで頭にかぶっていたユダヤ式の帽子を捨て去り、
イスラム教信者であることを示す白いターバンを被って
退席したのです。
ええっ！stampo.fan ショック stampo.fan
な、な、何と、サバタイ・ツヴィはイスラム教に改宗
してしまったのです。
結局のところ、
一般的なユダヤ教徒たちが心に思い描いていた究極の
メシア出現後の素晴らしい世界、いわゆる「新世界」
は実現しなかったのです。
以上、
『ユダヤ教徒の「カバラ」とメシア運動の歴史』および
『ユダヤ教徒の「終末思想」と ユダヤ教神秘主義思想
「カバラ」』（inri.client.jp & www1.s-cat.ne.jp）の記事
から適宜に抜粋し、引用・構成・加筆編集しました。
さて、
こうした予想外の展開や急転直下する意外なる出来事
については、次回での話（つづき）とさせてください。
そういえば、そのむかし、駅前の商店街に、
「新世界」というパチンコ店があったけな！
「パチプロじゃあるまいな！」
「そんなことを言ったら所在地がバレるわよ！」
・・・ って、おいおい、
（新世界なのか、ニュー・ワールドなのか？）
スターチルドレン www.konohana-yuan.jp
スターチルドレン note.com
画像元： domani.shogakukan.co.jp
それでも、ある程度までは所在地が特定できるかもよ！？
大阪のマルハンや東京（鷺の宮）とか！ う～む (^▽^;)(^^ゞ
… to be continued !!
でも、現在は存在しないから東京でも大阪でもないよね！
なんだかなぁ！
サバタイ派（ユダヤ陰謀論の原点？）note.com
画像元： dengekionline.com
ダ・ヴィンチによる推理は続きます。
