いまから、およそ5億5千万年前のことです。
それまでわずか数十種を数える程度にしか
なかった生物の種類が、突如 1万種を超える
という一大事件が発生します。
カンブリア紀の有爪動物ハルキゲニア
出典:www.seibutsushi.net
この5億数千万年前に地球を舞台に
起こった大いなる出来事は、およそ30億年に
わたる単細胞生物たちのロング・スパン時代
を経て、漸(ようや)く 多細胞生物が出現した
と思う間もなく、その直後から爆発的多様化
が始まり、今日(こんにち)生存している生物
の基本的形態のほぼすべてが一挙に出揃う
という大イベントとなっていたわけですが、
カンブリア紀の生物たちの世界
(上から、ピカイア、マーレラ、アノマロカリス、ハルキゲニア)
出典:www/seibutsushi.net
この時代の奇妙キテレツな形をした生き物
(カンブリア・モンスター)たちの大発生は、
カンブリア紀最大最強の狩人アノマロカリス
出典:www.d9.dion.ne.jp
さながら
地球が生命の巨大な実験場で
あったことを物語るものでした。
ピカイアとオドントグリフス
出典: www.d9.dion.ne.jp
脊索動物のピカイア(中央の白い2匹)
こいつが我々のご先祖様のようです
さしずめ、脊椎動物に進化する過程での
脊索動物界のアダムとイヴでしょうか
所謂(いわゆる)、
これが生物のビッグバンと呼ばれる
【カンブリア大爆発】なのですが ・・・
先カンブリア時代(地球誕生の約46億年前
以降から5億4200万年前以前の約40億年の
期間)のあいだに、
出典:cambrian-cafe.seesaa.net
それぞれの系統の祖先がそれぞれの体の
メカニズムを獲得する段階にまで至っていた
のですが外見上の違いはほとんど見られず
、それぞれ似通った姿かたちをしていました。
さまざまな体のつくりをもっていた生物たち
が外見的にも多種多様で斬新なデザインの
衣装を身に纏(まと)ったというのが、
【カンブリア大爆発】のシナリオで
あり、演出であり、大実験でもあったのです。
出典:cambrian-cafe.seesaa.net
えっ、誰の実験かって ・・・
さすがに、この男、レオナルド・ダ・ヴィンチが、
シナリオ・ライター兼デザイナーで、演出も
実験も手掛けたということは ・・・
あるわけないですよね
さてと、蛇足ながら、
『ダ・ヴィンチの罠』のおまけと
して、「カンブリア水族館」の
特設展示コーナーを取り急ぎご用意
いたしましたので、暫しの間お楽しみ頂きたく
是非にも、ご観覧、ご堪能くださいませ。
5つの目を持つオパビニアに捕食されるアイシェアイア
出典:www.d9.dion.ne.jp
アイシュアイア(バージェス動物群)
出典:ameblo.jp
こんな姿で曖昧模糊としている所為か名前も
アイシュアイア、アユシュアイア、アイシェアイア
、アユシェアイアとなんとも紛らわしいのですが、
オパビニアにはあっさりと捕獲されたようです。
オパビニア(バージェス動物群)
出典:umafan.blog72.fc2.com
オパビニアにはトンボの幼虫ヤゴが口を
伸ばした時のような獲物を捕らえるための
長い突起を頭部の先に持っていますが、
オパビニア(バージェス動物群)
出典: prcm.jp
やはり、5つ目は奇怪で奇抜です。
目がまわることはないのでしょうか
カンブリア・モンスターたちは、
化石が発見されたエリア(場所や地域)に
因(ちな)んで、それぞれバージェス動物群、
チェンジャン動物群、シリウスバセット動物
群、その他の地域、に区分されていますが、
なかでも圧倒的な数を誇るのはバージェス
動物群です。
カナダのブリティッシュコロンビア州にある
バージェス頁岩(けつがん)の中から大量の
化石が発見されたことから命名されました。
出典:barbarossa.red
先ほど登場したカンブリア紀の最強・最大
にして無敵のプレデター(捕食者)とされる
アノマロカリスでさえ、大きさは50㎝くらいで
最大級でも精々が80~90㎝くらいですから
アノマロカリス(バージェス動物群)
出典:nashew-mm2f1.blogspot.jp
想像に反して意外と小さな怪物だった
わけです
出典:wikipedia.org
人間とバージェス動物群のスケール比較
出典:nashew-mmf1.blogspot.jp
5つ目のオパビニア(緑色)の体長が5㎝
ほどで、ハルキゲニア(オレンジ色)が2㎝
ですからねぇ
何だか大きさがわかった途端に、
アノマロカリス wikiperia.org
無性に伊勢エビのお造りやテルミドールが
食べたくなりましたが
ジャイアントロブスターの姿焼きであるとか
アノマロカリスの兜(かぶと)焼きならば、
そりゃあ、「ワイルドだろ !!」って、
些(いささ)か古るすぎたかも ・・・
要するに、カンブリア大爆発の生物たちは
最大級でも90㎝程度が限界で、ほとんどは
数cm以下の小動物だったのです。
まあ、実験的作業の過程に巨大なムダは
必要ありませんからねぇ
「ヘタな鉄砲も」 なんとやらの方が
バラエティ豊かで見ていて楽しいし、色々な
試行錯誤があって興味が尽きません。
それでは、
その他のカンブリア・モンスター
たちも、是非、ご覧ください。
イソクシス(バージェス動物群)
出典:cambrian-cafe.seesaa.net
餃子のかたちをした殻に包まれた節足動物
ですが、こいつも美味しそうです
ウィワクシア(バージェス動物群)
出典:chu.momo.punyu.jp
体の表面は鱗状の骨片で覆われ、背面に
生える左右一列の鋭い棘で身を守ります。
これまた和菓子のようで美味そうですね。
エクマトクリヌス(バージェス動物群)
出典:cambrian-cafe.seesaa.net
原始的なウミユリの仲間で、ヒトデやウニに
近い棘皮(きょくひ)動物です。
これも洋菓子風ですが、食べ物を連想する
のはもうやめましょう。
エルドニア(バージェス動物群)
出典:cambrian-cafe.seesaa.net
クラゲのようですが、遊泳性のナマコとも …
まさに、マークですね
オドントグリフス(バージェス動物群)
出典:cambrian-cafe.seesaa.net
靴ベラや鼻緒のない草履のようなかたちを
した生物です。
オドントグリフス(バージェス動物群)
出典:umafan.blog72.fc2
まるで、細長い洗濯板のようでもあるし、
一反もめんやぬりかべのようにも
見えるのですが
水木先生 !!
カンブロパキコーペ(その他の地域)
出典:cambrian-cafe.seesaa.net
1つ目の蟻や蜂に進化しそうな造形です。
ゆるキャラとしても人気が出そうですが ・・・
ケリグマケラ(シリウスバセット動物群)
出典:cambrian-cafe.seesaa.net
ムカデやフナムシにも見えるけど、盲目の
プレデターという感じで、パンブデルリオンと
共にアノマロカリスの近縁なのだそうですが、
どだい大きさが違いすぎます。(体長8㎝)
ゴチカリス(その他の地域)
出典:cambrian-cafe.seesaa.net
巨大な1つの目と頭の横から突き出した
左右の小さな両目、カンブロパキコーペの
進化形、それともカンブロパキコーペの方
が退化形なのか
しかし、
これぞ「三つ目が通る」ですね。
手塚先生 !!
シダズーン(チェンジャン動物群)
出典:www.geocities.jp
こちらでは目玉おやじが気持ち良さそうに
泳いでいますよ
水木先生 !!
目のように見える部分は口で、レンコン風の
胴体に大きな尾びれがついています。
この尾びれを魚のように左右に、あるいは
イルカの如く上下に振っていたかは不明で、
上の魚のバージョンに対して、下がイルカ
仕様のCG画像です。
ディノミスクス(バージェス動物群)
出典:cambrian-cafe.seesaa.net
ガーベラの花のようですが、立派な動物で
棒状の軸を海底に突き刺して固着した生活
を送っていたようです。
パンブデルリオン(シリウスバセット動物群)
出典:cambrian-cafe.seesaa.net
ケリグマケラと同じくアノマロカリスの近縁で
目はありません(体長20㎝程度)。
11対のヒレの下に11対の足があり、海底を
歩きながら小さな生物を食べていたようです。
フルディア(バージェス動物群)
出典:cambrian-cafe.seesaa.net
コウイカを思わせるような独特のフォルムと
「バカボンのパパ」のような表情の
目もとが何とも魅力的ですよね。
赤塚先生 !!
マーレラ(バージェス動物群)
出典:www.geocities.jp
別名「レースガニ」とも呼ばれていますが、
カニの仲間かどうかは不明で、節足動物と
いうことしか分かっていません。
レースは布のレースのことで、レース生地
のように美しいことに異論はありません。
出典:cambrian-cafe.seesaa.net
とにかくカッコ良すぎです
ミクロディクティオン(チェンジャン動物群)
出典:cambrian-cafe.seesaa.net
毛のない毛虫、イモムシや蝶や蛾の幼虫
(足の長いモスラ)のような ・・・
ヨホイア(バージェス動物群)
出典:cambrian-cafe.seesaa.net
エビのような節足動物ですが、その風貌が
バッタともイナゴとも、あるいはバルタン星人
(宇宙人)を思わせる奇妙なモンスターです。
レアンコイリア(バージェス動物群)
出典:cambrian-cafe.seesaa.net
形態からはノミのようにも、エビやカニの
仲間にも、昆虫のようにも見えますね。
海底を這いずり回っては腐肉などを漁る
スカベンジャー(腐肉食動物)のようです。
ワプティア(バージェス動物群)
出典:cambrian-cafe.seesaa.net
甲殻類とされていますが小さなエビのようで
由比(駿河湾)特産の桜エビがちらつきます。
おっと、
また食べ物を連想してしまいました
随分、卑しい奴だと誤解されそうですが、
たとえとしては分かりやすいはずです。
ところで、
巻頭を飾った有爪動物のハルキゲニア
ですが、これには間違いがあるそうです。
わかりましたか
答えの発表の前に、もう一問、出題します。
胴体はハルキゲニアの進化形のようで顔や
目玉らしきものが蜂や蟻やトンボを思わせる
出典: blogimg.goo.ne.jp
この生物は前に向かって歩いているのか
それとも奥を向いて歩いているのでしょうか
それでは解答です。
この生物(ハルキゲニア)は奥に向かって
歩いているのです。
えっ、そんな、・・・ と思ったアナタ、
すっかりダマされましたね。
まるで『ダ・ヴィンチの罠』のような
トリックですが、彼の仕組んだ「罠」と
違って、こちらはダマす意図も隠す目的も
皆目ないのです。
タネ明かしをしましょう。
ハルキゲニアの化石が発見された当初は
下の画像のように、棘(トゲ)を使って海底を
歩き、背中に触手を生やしたかたちの生物
であると考えられていました。
出典:umafan.blog72.fc2.com
尾の部分に風船状に膨らんだ球がついて
いて、これが頭だとされていたわけですが、
出典:umafan.blog72.fc2.com
それまでは尻尾だと思われていた部分に
小さな目と口があることが分かり、前後も
上下も逆であったことが判明しました。
ハルキゲニア(バージェス動物群)
出典:nashew-mm2f1.blogspot.jp
出典:www.geocities.jp
どうやら、
この姿が正解のようです
足跡さえなければどっちとも言えたと思うと
ちょっと残念ですが
それでも
頑として、「後ろ向きに歩いているんだ」って
言い張るのかもね ・・・
尤(もっと)も、こうしたマチガイは世の常で、
それが『ダ・ヴィンチの罠』の狙いで
もあるわけで、ペテン師あつかいやインチキ
呼ばわりするのはさすがに可哀想です
さてさて、
「カンブリア水族館」の展示ブース
は如何でしたか
ほんの一部しかお見せできませんでしたが
楽しんで頂けましたでしょうか
大袈裟でなく、全宇宙の森羅万象を
網羅するような“阿吽”の世界を表現
しようとしていたダ・ヴィンチの遠大な夢は
ミラノ公 ロドヴィコ・スフォルツァの依頼
によるサンタ・マリア・デッレ・グラツィェ教会
の食堂を飾る壁画 『最後の晩餐』と
して見事に結実の暁をみることになります。
しかし、
ダ・ヴィンチの「大実験」たる宿願の
成就は、壁の腐敗や絵の具の剥落
により、無残にも打ち砕かれることになる
のですが ・・・
いまは、
新約聖書における『最後の晩餐』の
場面をモチーフに重層する脚本と濃厚な
演出を駆使して表象する壁を舞台に
した時空劇についての話を進めます。
それでは、
壁画時空劇場の舞台劇『最後の晩餐』
の上演プログラムをもう一度、見てみましょう。
RENAISSANCE STORY
【L'Ultima Cene】
脚本・演出・助演 レオナルド・ダ・ヴィンチ
序 幕 <『東方三博士の礼拝』の世界1>
バルトロマイ、ユダ、ヨハネ、イエス、
トマス、マタイ、シモン他、全キャスト
によるビッグバン以前の混沌空間
第一幕 <『東方三博士の礼拝』の世界2>
バルトロマイ、小ヤコブ、アンデレに
よるビッグバンの衝撃と光の誕生
反物質とダークマター(エネルギー)
第二幕 <『岩窟の聖母ルーブル版世界>
ユダ、ペテロ、ヨハネ、イエスによる
物質の出現及び人類の誕生と進化
『岩窟の聖母』ルーブル版 『岩窟の聖母』ロンドン版
第三幕 <『岩窟の聖母』ロンドン版世界>
イエス、トマス、大ヤコブ、フィリポ
による改竄された歴史の闇と真実
第四幕 <『東方三博士の礼拝』の世界3>
マタイ、タダイ、シモンによる文明
の衝突とイデオロギー(宗教)戦争
最終幕 <『最後の晩餐』から復活の朝餉>
オールキャストによる永遠の循環
を希求して大団円(終演)を迎える
― 以上 ―
ですが ・・・
今回の「カンブリア大爆発」は、
プログラム上では第2幕前半の設定で、
キャストはイエス、ヨハネ、ペテロ、ユダです。
舞台は『岩窟の聖母』に描かれている
太古の海の中での出来事で、
イエス、洗礼者ヨハネ、聖母マリア、大天使
ウリエルが姿を変えて活躍します。
『最後の晩餐』のヨハネ 『岩窟の聖母』のマリア
その後、
シルル紀には植物の陸棲化が始まり、
『ダ・ヴィンチの罠 系統樹』に
http://sun.ap.teacup.com/japan-aid/486.html
記したように、つづくデボン紀に入ると
「魚の時代」(お魚天国)となり、遂には
脊椎動物が君臨する世界となっていくのです。
さしもの「カンブリア大爆発」を
起こした「大実験」でも不滅のシンボル
「ウロボロス」にまでは発想が
及ばなかったようで、
切り折り紙のウロボロス by Kawai Masakazu
結局は丸くは収まらなかったんじゃ
・・・ って、いったい何の話でしょう
とにかく、
その後、シーラカンスのように足のヒレ付き
の魚が出現して、両生類に進化し、植物の後
を追うように上陸を開始します。
それから、さらに爬虫類と哺乳類に分かれ、
一方は恐竜から鳥類へと、他方は人類へと、
それにしても、
いくら「大実験」だったとしてもだぜ、
上下前後を間違えるとは何たるザマじゃい
「わしゃあ、こいつが
不憫でならんのじゃ」
「このフォルムと可愛い爪が
何ともいじらしいんじゃあ」
こちらが頭で、こちらがオシリ(尻尾)です。
「それを間違えたのは、
研究者の方ですけど」
… to be continue !!
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