児玉東大名誉教授「日本の状況だけじゃなく世界を見ればもう五輪は無理だと思います。『世界の健康と平和の為に』と言うのが五輪憲章なのです。インドやブラジルで今酷いことになっているのに、実質的に五輪をやるのは無理と思います」(BSTBSの番組で)
「人々の命と暮らしを守るために、東京五輪の開催中止を求めます」
現在、国際オリンピック委員会(IOC)、国際パラリンピック委員会(IPC)、政府、東京都、および公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会は、2021年の東京オリンピック・パラリピック開催を強行しようとしています。
ところが、周知のように東京都のみならず、国内各地、さらには世界各国では今日に至るまで新型コロナ感染拡大はまったく止まっておりません 。昨年末から開始されたワクチン接種も、現在のところ欧米などの一部地域で普及しているにすぎず、感染防止の決定打とはなっておりません。
—— 命や暮らしを危険にさらしてまで東京五輪を開催するのか
このような状況下で、本年7月に東京オリンピック・パラリンピックを安全に開催できると考えることは極めて難しいと言わざるをえません。この状況で開催すれば、「平和の祭典」であるはずの五輪は、その理念から大いに逸脱することになります。出身国によって、満足のいく準備をまったくできなかったアスリートとそうでないアスリートのあいだに、多大な格差が生じます。また、東京に来たところで、感染のストレスにたえずさらされ、厳しい制限を課せられては、満足のいくパフォーマンスを発揮することは不可能です。
東京オリンピック・パラリンピックを7月に開催するためには、大勢の医療従事者の方々、また医療施設や医療設備などの貴重な資源、その他のさまざまなリソースを割かなければなりません。しかし、すでに各種団体が指摘するように、現在の東京都および日本全体にその余裕はまったくありません。外国からの観客を制限したところで、五輪は大規模な人の移動と接触を引き起こします。五輪によって感染状況が悪化することは大いにありうると言えます。
ただでさえ深刻な不足に直面している医療資源を五輪に回すことは、コロナ禍で疲弊している医療従事者の方々をさらに苦しめ、住民および参加者の命と暮らしを危険にさらすことになります。
—— 五輪中止で利用可能となった資源を人々の命や暮らしを守ることに使おう
また、新型コロナ感染症により、多くの人々は命を脅かされると同時に、経済的にも困窮を強いられています。とりわけ、非正規雇用で働くことの多い女性・若年層・高齢者の暮らしは、わずか一年たらずで劇的に悪化しました。現在、多くの方が、民間団体の主催する食糧や住居の各種支援に頼って暮らしています。このような状況のなか、五輪の延期にともなう追加費用は3000億円にも上りました(経費総額は1兆6440億円)。
人々の命と暮らしを守ることが自治体の本義であるならば、東京五輪は一刻も早く開催中止を宣言し、窮乏にあえぐ人々に資源を割くべきではないでしょうか。
—— 国内外から高まる五輪中止の声に耳を傾けて即刻中止判断を
すでに国内外での新聞等による各種世論調査では、五輪開催の中止または延期を求める声がいかに多いかが繰り返し示されています。また、国内外のメディア、多くの政治家たち、またアスリート自身も五輪開催を難しいとするとの意見を繰り返し発表してきました。
政府や都がいまだに五輪中止の判断や要請をしていないことはあまりに遅い失策ですが、今からでも東京オリンピック・パラリンピックの今夏開催中止を即刻決断し、五輪中止によって利用可能になった各資源を、新型コロナウィルスの感染拡大を防ぎ、人々の命と暮らしを守るために向けることを強く求めます。
宇都宮けんじ(弁護士)〈宇都宮けんじ公式HP〉
1946年愛媛県生まれ。1969年東京大学法学部中退、司法修習所入所。1971年弁護士登録、東京弁護士会所属。弁護士として、クレジット・サラ金問題に早くから取り組み、多重債務に苦しむ多くの人を助けてきた。また、反貧困ネットワーク代表世話人として、貧困問題の解決に向けた運動にも取り組んでいる。
▼本署名運動詳細はコチラをご覧ください
https://utsunomiyakenji.jp/stoptokyoolympic/
人々の命と暮らしを守るために、東京五輪の開催中止を求めます