入札談合関与行為(官製談合)について
ここまで説明した入札談合は主に事業者同士のものでしたが、発注側の公務員による入札談合関与行為、つまり官製談合も法律によって厳しく取り締まられます。
本来であれば住民のために働く公務員が業界の発展を妨害したり、住民のメリットを損なうわけですから、これは当然のことです。
官製談合防止法(入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律)によると、官製談合には次の4つのパターンがあります。
官製談合防止法 第2条第5項
この法律において「入札談合等関与行為」とは、国若しくは地方公共団体の職員又は特定法人の役員若しくは職員(以下「職員」という。)が入札談合等に関与する行為であって、次の各号のいずれかに該当するものをいう。
一 事業者又は事業者団体に入札談合等を行わせること。
二 契約の相手方となるべき者をあらかじめ指名することその他特定の者を契約の相手方となるべき者として希望する旨の意向をあらかじめ教示し、又は示唆すること。
三 入札又は契約に関する情報のうち特定の事業者又は事業者団体が知ることによりこれらの者が入札談合等を行うことが容易となる情報であって秘密として管理されているものを、特定の者に対して教示し、又は示唆すること。
四 特定の入札談合等に関し、事業者、事業者団体その他の者の明示若しくは黙示の依頼を受け、又はこれらの者に自ら働きかけ、かつ、当該入札談合等を容易にする目的で、職務に反し、入札に参加する者として特定の者を指名し、又はその他の方法により、入札談合等を幇ほう助すること。
第1号は事業者に談合を行わせる「談合の指示」、
第2項は入札前に受注者を指名したり希望する業者について伝える「意向の表明」、
第3項はあらかじめ入札価格や参加する事業者の情報をリークする「秘密情報の漏洩」、
第4項は依頼を受けて特定の事業者を入札参加者に指名する「談合の幇助」です。
これらの犯罪を犯した公務員には、5年以下の懲役または250万円以下の罰金が科されます。
第8条
職員が、その所属する国等が入札等により行う売買、貸借、請負その他の契約の締結に関し、その職務に反し、事業者その他の者に談合を唆すこと、事業者その他の者に予定価格その他の入札等に関する秘密を教示すること又はその他の方法により、当該入札等の公正を害すべき行為を行ったときは、五年以下の懲役又は二百五十万円以下の罰金に処する。
加えて、先ほど引用した刑法の「公契約関係競売等妨害(96条)」も官製談合に適用されます。
刑法第96条第1項
偽計又は威力を用いて、公の競売又は入札で契約を締結するためのものの公正を害すべき行為をした者は、三年以下の懲役若しくは二百五十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
ここにある「偽計」には、入札に関する情報(最低価格など)を事業者にリークする行為が含まれるとされています。
(入札ネット+α引用)
https://twitter.com/i/status/1629046958945091584