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最近は子育てを中心に時々建築話、旅行記や映画の事を綴っています。

■無垢フローリングに優しい低温式床暖房~絆を深める家

2010-03-08 23:48:16 | ■建築-実施・監理
リノベーションの現場で床暖房の施工が行われました。
今回採用したのは低温式の床暖房で、コレまで何度か利用してきたタイプの方式です。
新築マンション等で良く使われる東京ガスの配管と一体になったパネル型の床暖房と違い、現場で敷いた空のパネルに後から配管を敷くタイプです。

現場で微調整が可能な床暖房パネル


配管がパネルと一体でないので、簡単に現場で微調整が可能です。
家具の位置を監督さんが勘違いしていたので、現場で指示し床暖房のパネルを広げてもらいました。
このように間で長さを調整する事で、ピッタリ隙間のない床暖房が可能で、温度ムラのない床暖房がが可能となります。

部屋の中を歩いていて、急にヒヤッとするあの感覚がなくなります。
特にキッチン周りなどでは、パネル一体側のものではパネルが敷けない所が多々出てくるので、爪先だけ冷たいなんて事になりかねないんですけど・・・
コレであれば自由に床暖房の範囲を設定できるのです。

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さて、この床暖房の利点はもう一つ。
それは、無垢のフローリングを利用した時にも床材に優しい床暖房だということ。
配管を太く出来るので、従来のものより湯量を増やし低い温度で循環して床暖房が可能な為。無垢材でも反りづらく、床暖房専用の床材でなくても施工が可能だという事です。※1
以前、このBlogでも紹介しましたが・・・
呼び径5のパイプ(半径2.4mm)、呼び径7のパイプ(半径6.8mm)で比較するとその断面積は、
5.76×3.14mm2、11.56×3.14mm2と実に2倍の湯量の違いがあるのです。※2

お湯の量が多いということはそれだけ冷めにくく、一度に多くのお湯を循環させる事が出来るということ。
だから、高温にしなくても床暖房の効果があるというメリットがあります。
無垢の床材は、育った環境より極端に暑い温度に曝されると反りやすくなるため、低温で床暖房を行えれば木にも優しいという具合です。

ですから、足元だけあっつあつの床暖房という訳にはいきませんが、床全体がジンワリ温かく輻射熱効果が得られる快適な床暖房として利用いただけます。

※1:樹種等によって差があります。どの程度までが許容範囲かにもよります。
(全く反ったり空いたりしないという訳ではありません。高温の床暖房に比べてリスクが少ないという事です)
※2:パイプの内径によって異なりますので参考程度にご覧下さい。
JIS K 6769の管径により計算しています。
(パネル同士を現場で接続する場合は、接続口がさらに細くなる事があります)

架橋ポリエチレンパイプの施工風景


この床暖房の方式では予め式設したパネルの溝に、長い架橋ポリエチレンパイプを埋め込んでいきます。
切れ目のないパイプを現場で施工する為、接続部からの漏水リスクもありません。

→参考:東京ガスのパネル型の床暖房施工写真
良かったら、施工法の違いを比較してみてください。

床暖房の施工中・継ぎ目のないパイプ


溝にパイプを入れるのに、ス~っと脚で器用に入れてく姿は何度見ても面白い。
温度ムラが出にくいように考えながらパイプを入れるのがポイント。

床暖房のパイプを給湯器に繋ぐ


床暖房のパイプは一定量づつにエリアを区切り給湯器へ接続します。
ピンクの配管は鞘管といって空洞のパイプで、この中を白い架橋ポリエチレン管を滑らし給湯器の場所まで戻していきます。

仕上げはテープで貼り付け


最後の仕上げはパイプが浮き上がってこないようにテープで貼り付けます。
基本的に、この上に貼る床材で押さえつけるので簡易的なビニールテープでの施工ですが、工事中に誤ってパイプを傷つけないように目立つ色を使っています。

床暖房の施工中・ほぼ完成


全体を見るとこんな感じです。
まだ、施工途中ですがこの工程を全面的に行えば完了です。
継ぎ目がないので工事中に誤って傷つけなければ、まず間違いなく漏水することがありません。

一応、他の工事中は圧力を掛けていてチェックし、万一穴が開いたときに解るようにして他の工事を進めていきます。

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一重に床暖房といっても様々な方法があり、その工法を選択することが容易ではありません。
リフォームの場合は簡易的に行うのであれば電気式のものもありますが、マンションの場合には電力メーターの上限が決まっている場合も多く使えないこともあります。
また、ランニングコストを重視するとやはり違った工法の選択肢が出てきます。

ですから、この床暖房が最適!
なんて一つの工法をここで言うのはナンセンスですが、最近はこの低温タイプの床暖房が比較的具合が良い事が多いように感じます。
しかし、やはりケースバイケース。
お施主様の暮らし方や家計にあった選択肢を常にいろいろストックしとかなければならないので大変です。。。

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5 Comments

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (hiro)
2010-03-09 09:00:08
なるほど写真で見ることができますとよく分かりますね。ところでこの黒いパネルの素材は何ですか??
返信する
黒いパネルの正体は・・・ (akatuki)
2010-03-09 21:54:56
>hiroさん

どうもこんばんは~。
黒いパネルの正体はアルミパネルに特殊なセラミックコートをしたものです。
パイプの温水の熱をまんべんなく床全体に広げる為の放熱の役割があって、輻射熱の効果を高めるのです。
返信する
Unknown (pink)
2010-03-09 23:21:29
>5mmのパイプ、7mmのパイプで比較するとその体積は、
25×3.14mm2、49×3.14mm2と実に2倍の湯量の違いがあるのです。

これ正確ではないと思いますが??
断面積で比較するとして、円の面積は半径×半径×3.14で、それぞれ約19.6mm2、約38.4mm2で、約2倍という比はあっているのですが。
それとも半径5mmのパイプと半径7mmのパイプということでしょうか?(一般にパイプものは直径が呼ぶとおもいます)

私の読み間違いでしたら御容赦を。

返信する
Unknown (Unknown)
2010-03-09 23:23:39
すみません、
×直径が呼ぶ
○直径で呼ぶ
でした。
返信する
ご指摘ありがとうございました (akatuki)
2010-03-10 00:18:08
コメントありがとうございます。
すみません。。。
解りやすくと思って計算しやすい数値を使ったものです。(ちゃんと半径と書くべきでした・・・)
記事の数値を訂正させて戴きました。
ご指摘ありがとうございます。

径が数ミリの違いでも2倍になるという事をいいたかったんですね。
正確なパイプの内径が解らないのでどう現していいものか悩むところでしたが、ちゃんと調べて訂正させていただいています。

どうもありがとうございました(^ー^)
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