ライフスタイルをデザインする建築家の・・・ライフスタイル

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最近は子育てを中心に時々建築話、旅行記や映画の事を綴っています。

■第二の姉歯事件は知らずに行われている・・・

2006-09-07 21:32:52 | ■建築-実施・監理
続けて現場ネタですみません。

先週行われた新宿の現場の配筋検査での事。

この物件は半地下RC(鉄筋コンクリート構造)で、1階2階が木造の三階建ての建物。
地下部分の最後の検査が行われました。

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構造設計者が現場で鉄筋の本数、位置、太さを確認するのが配筋検査なのですが、結構是正指示が出るものです。

この程度の規模の物件だと、巷では構造設計者の検査無し(特に分譲住宅)で済ませている場合もあると思うのですが、ソレはいけません。

図面に書かれていることはなんとなく出来ているのですが、イレギュラーな納まりの部分は間違いが沢山。

現場では、構造設計者が(図面を見ずに)バシバシと問題箇所を指摘していきます。

力の流れ方を現場で確認しながら、
「ここおかしい」
と、図面を見て確認するのです。

この技術はさすが。
我々意匠設計者は図面と照らし合わせて合っているかどうかは判断できますが、標準特記仕様書やらJASSだの図面に”言葉”として書かれていることを全て把握しきれないのです。

ましてや、現場にセットされた鉄筋の数も相当なもので、ソレを一瞬だけ見て間違いを探すのは困難です。

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そういった構造設計者の”カン”によって見つかった問題は、

壁の出隅部分の鉄筋の向きが間違っていた。
壁の立ち上がりの巾止め筋が抜けていた。
階段周りに補強筋を追加した。

など・・・
図面だけではわからない問題もあり、構造設計者による配筋検査を行わない場合はそのまま進んでしまうのだなぁと改めて感じました。

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ちょうど、姉歯被告の公判が開始されたところですね。

彼の場合は明らかに”故意”ですが(自分でも基礎事実認めていたようですし)、工事に携わる人間の未熟さによる”瑕疵”は、どこかの現場で起こっている可能性は充分考えられます。

特に分譲住宅では、構造設計者がキチンと現場で確認していることなど皆無の為、この問題は必ず起こっていると思います。

だって、私が検査いく度に是正指示するわけですから。
いかなきゃそのまま工事されてしまうわけで・・・
恐ろしい事です。

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構造設計士に自分が家を建てるのならどんな構造で建てますか?
と、質問したところ返って来た答えは
「鉄骨造」
だそうです。
工場生産なので、工場の溶接さえしっかりしていれば一番安全という認識だそうです。
一番不安なのはRC造。
やはり、鉄筋の間違えもそうですが、現場監理の難しさ故の判断だと思います。
天候しかり、職方の技術によって出来が左右するので難しいのだと。

それほど、世のコンクリートの住宅に不信を持っているという事でしょうか・・・
なんだか、難しいですね・・・

※本物件はグループアプローチ建築設計事務所勤務時代に担当者として設計に携わりました。
現在は退所し、物件写真等は削除させていただいております。


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