医療保険制度に国際比較の視点から日本を知るための視点, 2007/4/8
レビュアー: 歯職人
本講座も第6巻に到達した。本書「医療制度改革の国際比較」は、医療制度という各国が個別の文化的背景の中で、場合によっては相互に影響を与えながらも歴史的には固有に形成されたいわゆる先進国の医療保険制度(医療制度)に、比較の視点の分析を加えながら、その比較の視点の分析の用具の使用方法をも明らかにする。
「小泉医療改革」以降、日本においてはアメリカ型民間主導の医療制度への移行への不安等が喧伝される機会が多いが、イデオロギー的扇動を排した現代の医療経済・政策学の到達点から国際比較が記述されている。
本書第7章「グローバル化の下での比較医療政策」は、やや軽薄な流行語の様相を呈する「グローバル化」を、ベックの用法から「グローバル化」は世界の相互依存性を増す過程、「グローバリティー」はすでに世界規模で存在する示すもの、「グローバリズム」はグローバル化の過程を―主に市場拡張という観点から進めようとする考え方と整理し、注意を喚起している。
読者は本書によって、医療改革への新たな幅広い国際比較の視点を得ることが出来る。
医療制度改革の国際比較 講座 医療経済・政策学 第6巻 (単行本)
田中 滋 (編), 二木 立 (編)
単行本: 174ページ
出版社: 勁草書房 (2007/01)
ISBN-13: 978-4326748365
http://www.populus.est.co.jp/asp/booksearch/detail.asp?m_code=13960&s_key=1158027&scode=1836
医療制度改革の国際比較
田中 滋 (慶應義塾大学大学院経営管理研究科教授) ・二木 立 (日本福祉大学教授) 編著
講座・医療経済・政策学第6巻
A5 ・ 2730 円 (税込)
2007年1月15日発行
978-4-326-74836-5
出版元:勁草書房(s1836)
岐路に立つ日本医療の改革を目指す新たな分析視点「医療経済・政策学」シリーズ第6巻。改革の手法を国際的に比較することにより、日本医療の行くべき道を探る。
経済のグローバル化は各国の医療政策にも大きな影響を与えている。増大する国民医療費に各国はどのように対処し、医療制度を改革してきているのか。先進諸国の医療保障・提供制度の類型論から、民間保険や患者負担、プライマリーケアの国際比較、英米の医療政策評価などの分析を通じ、今後日本医療がなすべき改革を示唆する。
[関連書]
講座医療経済・政策学シリーズ(小社刊)
第1章 先進諸国の医療保障・提供制度の類型論と制度改革の動向
第1節 概観──先進諸国の医療制度の類型
第2節 近年の医療制度改革の動向
第3節 具体的事例
第2章 公的医療制度下の民間保険の国際比較
第1節 イギリスにおける公的医療制度と民間医療保険市場
第2節 フランスにおける公的医療保険制度の動向と民間医療保険市場
第3節 ドイツにおける公的医療保険制度の動向と民間医療保険市場
第4節 民間保険の役割に関する比較
第3章 患者負担の国際比較
第1節 医療保険の自己負担の意味
第2節 各国の自己負担の状況
第3節 医療費自己負担と医療アクセスの公平性
第4章 プライマリーケアの国際比較
第1節 先進各国の医療システムの特徴
第2節 医療システムにおけるプライマリーケアの位置づけ
第3節 プライマリーケアをめぐる論点
第4節 イギリスにおけるプライマリーケア重視戦略
第5節 まとめと日本への示唆
第5章 診断群分類導入の国際的動向と医療費への影響
第1節 欧州における医療制度改革の動向
第2節 欧米諸国における診断群分類の動向
第6章 英米の医療政策評価と日本への示唆
第1節 政策評価とは
第2節 政策評価導入の背景
第3節 英米における業績評価の概要と課題・争点
第4節 英米におけるプログラム評価の具体例と課題
第5節 わが国への示唆
第7章 グローバル化の下での比較医療政策
第1節 グローバル化と医療政策
第2節 グローバル化の下での比較医療政策
事項索引
欧文索引
執筆者一覧
レビュアー: 歯職人
本講座も第6巻に到達した。本書「医療制度改革の国際比較」は、医療制度という各国が個別の文化的背景の中で、場合によっては相互に影響を与えながらも歴史的には固有に形成されたいわゆる先進国の医療保険制度(医療制度)に、比較の視点の分析を加えながら、その比較の視点の分析の用具の使用方法をも明らかにする。
「小泉医療改革」以降、日本においてはアメリカ型民間主導の医療制度への移行への不安等が喧伝される機会が多いが、イデオロギー的扇動を排した現代の医療経済・政策学の到達点から国際比較が記述されている。
本書第7章「グローバル化の下での比較医療政策」は、やや軽薄な流行語の様相を呈する「グローバル化」を、ベックの用法から「グローバル化」は世界の相互依存性を増す過程、「グローバリティー」はすでに世界規模で存在する示すもの、「グローバリズム」はグローバル化の過程を―主に市場拡張という観点から進めようとする考え方と整理し、注意を喚起している。
読者は本書によって、医療改革への新たな幅広い国際比較の視点を得ることが出来る。
医療制度改革の国際比較 講座 医療経済・政策学 第6巻 (単行本)
田中 滋 (編), 二木 立 (編)
単行本: 174ページ
出版社: 勁草書房 (2007/01)
ISBN-13: 978-4326748365
http://www.populus.est.co.jp/asp/booksearch/detail.asp?m_code=13960&s_key=1158027&scode=1836
医療制度改革の国際比較
田中 滋 (慶應義塾大学大学院経営管理研究科教授) ・二木 立 (日本福祉大学教授) 編著
講座・医療経済・政策学第6巻
A5 ・ 2730 円 (税込)
2007年1月15日発行
978-4-326-74836-5
出版元:勁草書房(s1836)
岐路に立つ日本医療の改革を目指す新たな分析視点「医療経済・政策学」シリーズ第6巻。改革の手法を国際的に比較することにより、日本医療の行くべき道を探る。
経済のグローバル化は各国の医療政策にも大きな影響を与えている。増大する国民医療費に各国はどのように対処し、医療制度を改革してきているのか。先進諸国の医療保障・提供制度の類型論から、民間保険や患者負担、プライマリーケアの国際比較、英米の医療政策評価などの分析を通じ、今後日本医療がなすべき改革を示唆する。
[関連書]
講座医療経済・政策学シリーズ(小社刊)
第1章 先進諸国の医療保障・提供制度の類型論と制度改革の動向
第1節 概観──先進諸国の医療制度の類型
第2節 近年の医療制度改革の動向
第3節 具体的事例
第2章 公的医療制度下の民間保険の国際比較
第1節 イギリスにおける公的医療制度と民間医療保険市場
第2節 フランスにおける公的医療保険制度の動向と民間医療保険市場
第3節 ドイツにおける公的医療保険制度の動向と民間医療保険市場
第4節 民間保険の役割に関する比較
第3章 患者負担の国際比較
第1節 医療保険の自己負担の意味
第2節 各国の自己負担の状況
第3節 医療費自己負担と医療アクセスの公平性
第4章 プライマリーケアの国際比較
第1節 先進各国の医療システムの特徴
第2節 医療システムにおけるプライマリーケアの位置づけ
第3節 プライマリーケアをめぐる論点
第4節 イギリスにおけるプライマリーケア重視戦略
第5節 まとめと日本への示唆
第5章 診断群分類導入の国際的動向と医療費への影響
第1節 欧州における医療制度改革の動向
第2節 欧米諸国における診断群分類の動向
第6章 英米の医療政策評価と日本への示唆
第1節 政策評価とは
第2節 政策評価導入の背景
第3節 英米における業績評価の概要と課題・争点
第4節 英米におけるプログラム評価の具体例と課題
第5節 わが国への示唆
第7章 グローバル化の下での比較医療政策
第1節 グローバル化と医療政策
第2節 グローバル化の下での比較医療政策
事項索引
欧文索引
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