歯科技工管理学研究

歯科技工管理学研究ブログ
歯科技工士・岩澤 毅

疾走12年 アサノ知事の改革白書 (単行本) 浅野 史郎 (著)

2007年01月01日 | amazon.co.jp・リストマニア
権力の魔力に絡め取られなかった、地方分権の旗手による自由な生き方指南, 2007/1/1

レビュアー: 歯職人

 「ゼネコン汚職」で地に落ちた宮城県庁に単身乗り込んだ浅野前宮城県知事による回顧録です。
 本書の読後感は、ズバリ爽やかです。
 私たちは幾たびか「地方分権の旗手」の逮捕劇、無念の退陣を見た。
 地方分権の進展により都道府県知事の権力が増強する中、庁内の唯一者としての権限が長期政権を生み、その長期の唯一者の権限が魔力となり、当初は持っていたのであろう志が虚しくなる姿を見た。
 アサノ知事が身をもって示した生き方から、我々は地方自治体の選挙民として、地方自治体の住民として学ばなければならないことは多い。
 主権者の選挙権は、単に選挙の際に投票用紙に記名すればよいのではない。
 特に地方選挙においては、ポスター張り一つ土建業界の力を借りずに実行できる候補者は、組織政党により擁立された候補者以外は稀てある。
 本書を読み主権者としての地位を与えられたものとせず、主権者たらんとするならば、主権者としての権限行使は、政治家を「優、良、可、不可」と勤務評定する以前に、床屋政談に時間をついやする以前に、これはと思う人物を発見し政治家生み育てることにあると納得させる。
 『小泉官邸秘録』飯島勲 (著)と併読することで、総理と知事が必要としたものが自分のスタッフにあり、既存の官僚システムの「神輿の担ぎ方」の伝統の落とし穴を感じる。
 決して好きな言葉ではないが、「民度」を上げる必要があると思わせる「アサノ知事の改革白書」である。

目次

第1章 私が知事を辞めたわけ―五十七歳転職最後のチャンス
第2章 組織スキャンダル―情報公開に聖域なし
第3章 選挙は楽し―基盤なし借りなしで三選
第4章 議会との緊張関係―万機公論に決すべし
第5章 地域おこしの醍醐味―楽天イーグルス負けても元気
第6章 福祉の現実と理想―障害者施設解体宣言
第7章 地方活力の時代―目指せ地方分権全国知事会のとりくみ
第8章 知事の責任―県警犯罪捜査報償費

最新の画像もっと見る