2006.1.28 (土) 支部長・会員対象法律勉強会 事後抄録 岩澤毅
1.社会保険歯科診療と歯科技工の法的位置(大臣告示7:3の意味は?)
この文言を含め法律の解釈を知るためには、「法の支配」の構造を知ることが大切です。
法の支配の構造は階層構造であり、また憲法・法律・他の秩序としてこの階層構造は権限の委任・委譲の連鎖です。
では、この「通則の5」の解釈は?(A)or(B)
(A) (B)
歯科点数表「通則」は、健康保険法の第76条に根拠を持ちます。
では、健康保険法第76条とは?
1項-保険者は、療養の給付に関する費用を保険医療機関又は保険薬局に支払う
ここで、支払先すなわち誰に支払われるかを規定している。保険医療機関である歯科診療所が受け取るもの(歯科技工士に支払うことは、規定に無く、念頭にすら無い。)
2項-療養の給付に要する費用の額は、厚生労働大臣が定めるところにより、算定する
2項と、他の法律(社会保険医療協議会法)を根拠に中医協の審議を経て、費用の額は診療報酬点数表として告示される。(大臣告示)
この「第12部の通則の5」が、いわゆる我々の言う所の「7:3」です。
客観的な法解釈論から次のように結論付けることが出来ます。
通則の5の解釈(A)の従来技工業界の一部が望んだ解釈は法的には正確性がなくかえって混乱を招いたと考えることが正答と考えます。
今後は解釈(B)を正しく広め、「7:3の呪縛」から歯科技工業界が解放され、活力ある業界のためにも科学的な原価計算に基づいた戦略を進めるようにしなければならないと考えます。当然この原価計算には技術基準が一対となることが重要と考えます。
この認識のズレ(Aを正しいと信じた誤解)は、弊害が大きく歯科技工士にとって「7:3」と言う根拠なき数値(国民の安心安全の担保に十分でなく、労働環境の向上にも十分でない数値)は、いまだに亡霊のように技工業界の擬似的目標ごとき働きをし、原価計算等の歯科技工料金の科学時算出と普及の弊害となっている、いわば歯科技工士にトラウマのように作用しています。
このトラウマからの離脱が重要と考えます。
●「7:3」の法的な位置
健康保険法における歯科技工の法的な位置は、「おおむね7:3」が我々のものと考える場合、左の図のように考えていた。しかし我々は健康保険法に直接支配を受けていない。
2.再読!歯科技工士法(「国外で作成された補てつ物」が、歯科技工士法で止められないのは何故か?)
以下の5点が重要なポイントです。
1.歯科技工法制定時の国会議事録から、歯科技工の法的位置を読み取ることが出来る。
2.法が、既に存在した歯科医師への業権侵害排除を念頭に議論されている。
3.歯科技工の重要性とは別に、歯科技工を歯科医療の外に置かれた。
4.歯科技工法は、歯科技工行為から論理を構築し、補てつ物のモノ規定がない。
5.歯科技工(士)法は、歯科医療そのものを規制する立場にない。
図解による要点(客観的な事実として我々の位置を知る→自由の理解)
●国外で作成された補てつ物が、何故歯科技工士法で規制できないか!
法的には歯科技工が歯科医療に寄与する為にあるが、歯科医療の外に置かれたため、歯科医療を規制する立場にない
まとめ
長年、歯科医療の為に働いている我々歯科技工士です。それ故に健康保険制度に寄与している事実は重い。しかし法律的には健康保険法の中に歯科技工士は当事者としては存在していない。
また歯科技工(士)法の制定の経緯にもあるように歯科医師の業権を侵害しないよう作られた歯科技工(士)法は歯科医療にとって重要な仕事である「装置」(議事録より)を作るその行為を規定しているが、歯科医療の中には置かれない形で成立した。また行為から歯科技工を論理構築しているので、補てつ物のモノ規定が存在しない。国外での技工行為や歯科補てつ物自体を規制できないのが、現行法の限界でもある。
しかし、健康保険法の内部にいない我々は、法律的に本来自由な立場にあることを忘れてはならない。歯科補てつ物自体を規定していない法の穴を突いて国外から輸入される恐れのある歯科補てつ物に対しては、新たに特別法「歯科補てつ物法・歯科補てつ物並びに歯科補てつ物等の作成の業務委託に関する法律」により歯科補てつ物の規定を行うこと等で、国民の本質的な不利益を解決することが、今必要な活動と考える。
1.社会保険歯科診療と歯科技工の法的位置(大臣告示7:3の意味は?)
この文言を含め法律の解釈を知るためには、「法の支配」の構造を知ることが大切です。
法の支配の構造は階層構造であり、また憲法・法律・他の秩序としてこの階層構造は権限の委任・委譲の連鎖です。
では、この「通則の5」の解釈は?(A)or(B)
(A) (B)
歯科点数表「通則」は、健康保険法の第76条に根拠を持ちます。
では、健康保険法第76条とは?
1項-保険者は、療養の給付に関する費用を保険医療機関又は保険薬局に支払う
ここで、支払先すなわち誰に支払われるかを規定している。保険医療機関である歯科診療所が受け取るもの(歯科技工士に支払うことは、規定に無く、念頭にすら無い。)
2項-療養の給付に要する費用の額は、厚生労働大臣が定めるところにより、算定する
2項と、他の法律(社会保険医療協議会法)を根拠に中医協の審議を経て、費用の額は診療報酬点数表として告示される。(大臣告示)
この「第12部の通則の5」が、いわゆる我々の言う所の「7:3」です。
客観的な法解釈論から次のように結論付けることが出来ます。
通則の5の解釈(A)の従来技工業界の一部が望んだ解釈は法的には正確性がなくかえって混乱を招いたと考えることが正答と考えます。
今後は解釈(B)を正しく広め、「7:3の呪縛」から歯科技工業界が解放され、活力ある業界のためにも科学的な原価計算に基づいた戦略を進めるようにしなければならないと考えます。当然この原価計算には技術基準が一対となることが重要と考えます。
この認識のズレ(Aを正しいと信じた誤解)は、弊害が大きく歯科技工士にとって「7:3」と言う根拠なき数値(国民の安心安全の担保に十分でなく、労働環境の向上にも十分でない数値)は、いまだに亡霊のように技工業界の擬似的目標ごとき働きをし、原価計算等の歯科技工料金の科学時算出と普及の弊害となっている、いわば歯科技工士にトラウマのように作用しています。
このトラウマからの離脱が重要と考えます。
●「7:3」の法的な位置
健康保険法における歯科技工の法的な位置は、「おおむね7:3」が我々のものと考える場合、左の図のように考えていた。しかし我々は健康保険法に直接支配を受けていない。
2.再読!歯科技工士法(「国外で作成された補てつ物」が、歯科技工士法で止められないのは何故か?)
以下の5点が重要なポイントです。
1.歯科技工法制定時の国会議事録から、歯科技工の法的位置を読み取ることが出来る。
2.法が、既に存在した歯科医師への業権侵害排除を念頭に議論されている。
3.歯科技工の重要性とは別に、歯科技工を歯科医療の外に置かれた。
4.歯科技工法は、歯科技工行為から論理を構築し、補てつ物のモノ規定がない。
5.歯科技工(士)法は、歯科医療そのものを規制する立場にない。
図解による要点(客観的な事実として我々の位置を知る→自由の理解)
●国外で作成された補てつ物が、何故歯科技工士法で規制できないか!
法的には歯科技工が歯科医療に寄与する為にあるが、歯科医療の外に置かれたため、歯科医療を規制する立場にない
まとめ
長年、歯科医療の為に働いている我々歯科技工士です。それ故に健康保険制度に寄与している事実は重い。しかし法律的には健康保険法の中に歯科技工士は当事者としては存在していない。
また歯科技工(士)法の制定の経緯にもあるように歯科医師の業権を侵害しないよう作られた歯科技工(士)法は歯科医療にとって重要な仕事である「装置」(議事録より)を作るその行為を規定しているが、歯科医療の中には置かれない形で成立した。また行為から歯科技工を論理構築しているので、補てつ物のモノ規定が存在しない。国外での技工行為や歯科補てつ物自体を規制できないのが、現行法の限界でもある。
しかし、健康保険法の内部にいない我々は、法律的に本来自由な立場にあることを忘れてはならない。歯科補てつ物自体を規定していない法の穴を突いて国外から輸入される恐れのある歯科補てつ物に対しては、新たに特別法「歯科補てつ物法・歯科補てつ物並びに歯科補てつ物等の作成の業務委託に関する法律」により歯科補てつ物の規定を行うこと等で、国民の本質的な不利益を解決することが、今必要な活動と考える。